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ミコナ

信じらんねえ

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サンギータは止まりません。

「それとさ、『赤ん坊とか小さいガキは殴らなきゃ分からない!』とか言ってる奴もいるけど、そういう奴が虐待をやらかすんだろ? 自分より弱い奴を平気で殴れるとか頭おかしいじゃん。私でも自分より弱い相手を殴るとかおかしいって思うのに、平気で殴れる奴とかってどうなってんだよ? 大人になってもそんなことも分かんないのかよ。考える頭がないのかよ。そんなんでよく大人だとか言ってられるよな。信じらんねえ」

これに対してはティーさんも、

「ホンマやな。ハカセもルリアも、わざとミコナを叩いたことはあらへん。咄嗟に手が出てもたことは何回かあったけど、それを正しいことやとは思っとらん。よくないことやったと思っとる。よくないことやと思ってても、危ない時とかには咄嗟にってことがあるだけや。それを『叩くべきや』って考えるから、叩かんでもええ時まで叩いてもうたりする。そういうことやとワイも思う。

サンギータはんが自分より弱い相手は叩かんようにしてるんやったら、それを貫いてほしいとワイも思うんや。そしたら、サンギータはんがお母さんより強なっても、叩いたりせんってことやろ? 歳とって自分より弱なった親を叩けるようなお人も、要するに自分より弱い相手でも叩けるからそんなことができるんやろし」

しみじみと言いました。

サンギータの言うことを否定したい人もいるでしょう。でも、子供の<想い>に向き合うこともできない人が、子供にも様々な想いが渦巻いているという現実とさえ向き合うこともできない臆病で怠け者な人が、<大人>と呼べるのでしょうか?

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