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ミコナ

そんな風に言われるだけなのは

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こうして庭に立てたテントの中で、サンギータはティーさんとたくさん話をしました。たくさん。本当にたくさん。もしかしたらこれまでの人生でしゃべったすべてを合わせたのと変わらないかもしれないくらいに。

それだけサンギータは、自分の本心をあまり誰かに話すことがなかったんです。特に大人には。大人に話せば、

『子供のクセに生意気な!』

『大人を敬え! 親を敬え!!』

そんな風に言われるだけなのは分かっていましたから。

だけど、彼女にはそれが許せなかった。自分達はいい加減なことをしてるのにその上で子供から敬われて当然だと考えてる大人が。いい加減なことをするならそういう目で見られるのが当たり前なのに、自分達はそうやっていい加減なことをしている誰かを見下してるのに自分だけはいい加減なことをしつつ敬ってほしいのですか?

ずいぶんとムシのいい話ですよね。小学生のサンギータにさえ分かるムシのいい話です。

なのに大人でもそれが分からない人がいる。自分が正しいと思ってるから周りが『それはおかしい』と言っても聞く耳を持たない。ましてや子供の言うことなんて『子供のクセに』と思っていて耳を傾けるという感覚そのものを持たない。

だから、サンギータのように分かりやすく反抗しても、それが自分の態度に問題があったからだと想像することさえない。

小学六年生の子供が、

『さっさと自分でお金を稼いでこんな家から出ていきたい』

なんて考えるような環境が<普通>じゃないと考えることもない。それなのに、自分のやってることは<普通>だと考えている。

不思議ですよね。本当に不思議です。

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