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ミコナ

少しだけ大人に近い

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そんなこんなで改めて状況を確認。午後にはティーさんがミコナを迎えに行きます。

フカは、タムテルの様子を見に行ってますけど。ただ、そのタムテル自身、以前とは表情が変わってきてるんです。放課後、フカに自分の話を聞いてもらうことで、雰囲気が少し明るく柔らかくなった。

タムテルの母親はまったく相変わらずです。彼女も子供の頃にフカのような相手に出会えていたら今みたいになっていなかったかもしれませんけど、そのまま大人になってしまうと、今さらなかなか自分を変えることも難しい。

大人は、自分を否定されるのをとにかく嫌いますからね。自分が苦労してここまで来たのを否定されるような気がするからでしょう。だから簡単じゃない。

その点、タムテルはまだ子供です。自分で築いてきたものも少ない。これから築いていくところなんですから。だとすれば、大人よりは柔軟でもいられる。

もちろん、子供ならではの頑なさというのもありますけど、それはもうフカは元々はルリアであり、ミコナを育ててきた経験もありますから。

子供だって人間です。自分の言葉に耳を傾けてくれない相手には親しみも信頼感も持てません。じゃあ、自分の言葉に丁寧に耳を傾けてくれる相手には……?

フカがしてるのはそれだけのことです。タムテルの気が済むまで彼の言葉に耳を傾けてるだけ。

それを今度はティーさんがサンギータを相手にするわけですね。

まあ、そうは言っても、サンギータはすでにタムテルよりも明確な<自我>を獲得しています。タムテルよりは少しだけ大人に近い。

だから自分で築いたものもある。

デスメタル女子小学生として認知されてることや、自身のチャンネルそのものとか。ですね。

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