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ミコナ
監督権
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タムテルの母親は、一事が万事この調子でした。とにかく周りが自分に合わせてくれないと気が済まない。自分の都合が最優先。自分に従うのが当たり前。
そういう人なんです。特に、タムテルに対しては、『絶対服従』を求めました。歯向かうことは許しません。
しかもそれは、彼が赤ん坊の頃から。
母親が何か他に用事をしている時に彼がおしっこをしたりすると、
「なんで今おしっこするの! ママは今、忙しいの! ママの用事が終わってからおしっこしなさいっていつも言ってるでしょ!」
と怒鳴って、彼の太ももをつねったりするんです。それで彼が泣き出すと、
「うるさい! ママの言う通りにしないあなたが悪いんでしょ! 甘えなさんな!」
とも、怒鳴ります。そのせいもあって、彼は、よく、大変な勢いで泣いたりしていました。その泣き方があんまりにもあんまりだったので、何度も児童相談所が様子を見に訪れたりもしたくらいです。
だけど母親は、
「よその家庭の育児に口出ししないでください! 親には監督権というものがあるんです! この子の将来に責任も持てないあなた方が、何の権利があって口出ししてくるんですか!?」
などと言って追い返したりもしていました。
彼女は、自分の行いこそが正しいと思っていて、それに異を唱える人間は、無能な愚か者だと考えていたんです。
しかも彼女は、タムテルに対し、自分に服従することは教えましたが、他人との関わり方については何も教えてこなかったのです。それは、多くの他人が集まる保育園や学校の役目だと思っていました。
『そのために何人も集めてるんでしょ?』
そんな風に考えていたんです。
そういう人なんです。特に、タムテルに対しては、『絶対服従』を求めました。歯向かうことは許しません。
しかもそれは、彼が赤ん坊の頃から。
母親が何か他に用事をしている時に彼がおしっこをしたりすると、
「なんで今おしっこするの! ママは今、忙しいの! ママの用事が終わってからおしっこしなさいっていつも言ってるでしょ!」
と怒鳴って、彼の太ももをつねったりするんです。それで彼が泣き出すと、
「うるさい! ママの言う通りにしないあなたが悪いんでしょ! 甘えなさんな!」
とも、怒鳴ります。そのせいもあって、彼は、よく、大変な勢いで泣いたりしていました。その泣き方があんまりにもあんまりだったので、何度も児童相談所が様子を見に訪れたりもしたくらいです。
だけど母親は、
「よその家庭の育児に口出ししないでください! 親には監督権というものがあるんです! この子の将来に責任も持てないあなた方が、何の権利があって口出ししてくるんですか!?」
などと言って追い返したりもしていました。
彼女は、自分の行いこそが正しいと思っていて、それに異を唱える人間は、無能な愚か者だと考えていたんです。
しかも彼女は、タムテルに対し、自分に服従することは教えましたが、他人との関わり方については何も教えてこなかったのです。それは、多くの他人が集まる保育園や学校の役目だと思っていました。
『そのために何人も集めてるんでしょ?』
そんな風に考えていたんです。
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