225 / 837
ミコナ
あなたは誠実な方なのですね
しおりを挟む
『夢の中ではなくこうして実際にお話しできるようにしてほしいのです』
それが、セイラが今日、ミコナの家に来た一番の理由でした。
『お祖母ちゃんの妹さんとお話がしたい。そのためにかぷせるあにまるの完成を求めてる』
そういうことですね。
するとハカセは、
「僕は今まで、具体的な依頼を基に発明したことはありません。すでに作ったものの改良については引き受けたこともありますが」
少し戸惑ったように応えます。でもセイラは、
「ですが、もうすでに<かぷせるあにまる>は存在しますよね? これも改良ということにはなりませんか?」
と問い掛けます。けれどハカセは言うんです。
「今のかぷせるあにまるは、完成品じゃありません。まずは完成してからでないと、具体的なスケジュールはお話しできない。完成しなければどこを改良すればいいのかが分からないんです」
と。それは、発明家としてのハカセの本音でした。どこに問題があったから計算通りにいかなかったのかが、今はまだ分からない。まずはそこをクリアしないと、改良の段階に移れない。
ハカセの言いたいのはそういうことでした。そんなハカセをセイラは真っ直ぐに見詰めて、
「やはり、あなたは誠実な方なのですね。研究を援助してもらえるとなればたとえ口から出まかせでも聞こえのいいことをおっしゃる方も少なくないですのに……
分かりました。やはり、あなたにお願いしたいと思います。期限は一年。研究費として五百。一年以内に完成すればさらに五百、お支払いいたします」
臆することなくためらうことなくはっきりとそう言ったのです。
「……!」
さすがにハカセも、それには息を呑んだのでした。
それが、セイラが今日、ミコナの家に来た一番の理由でした。
『お祖母ちゃんの妹さんとお話がしたい。そのためにかぷせるあにまるの完成を求めてる』
そういうことですね。
するとハカセは、
「僕は今まで、具体的な依頼を基に発明したことはありません。すでに作ったものの改良については引き受けたこともありますが」
少し戸惑ったように応えます。でもセイラは、
「ですが、もうすでに<かぷせるあにまる>は存在しますよね? これも改良ということにはなりませんか?」
と問い掛けます。けれどハカセは言うんです。
「今のかぷせるあにまるは、完成品じゃありません。まずは完成してからでないと、具体的なスケジュールはお話しできない。完成しなければどこを改良すればいいのかが分からないんです」
と。それは、発明家としてのハカセの本音でした。どこに問題があったから計算通りにいかなかったのかが、今はまだ分からない。まずはそこをクリアしないと、改良の段階に移れない。
ハカセの言いたいのはそういうことでした。そんなハカセをセイラは真っ直ぐに見詰めて、
「やはり、あなたは誠実な方なのですね。研究を援助してもらえるとなればたとえ口から出まかせでも聞こえのいいことをおっしゃる方も少なくないですのに……
分かりました。やはり、あなたにお願いしたいと思います。期限は一年。研究費として五百。一年以内に完成すればさらに五百、お支払いいたします」
臆することなくためらうことなくはっきりとそう言ったのです。
「……!」
さすがにハカセも、それには息を呑んだのでした。
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる