178 / 837
ミコナ
どっちについていくか
しおりを挟む
ソリティの両親は、もう長い間、お互いに顔を合わすこともありませんでした。仕事を理由にほとんど家にも帰らないんですから。
たまに家に帰った時、相手がいると、
「急用が入った」
とか言って出ていってしまうんです。お互いの顔を見るのさえ嫌だったんでしょうね。
そんな調子でも何年かはどっちも我慢してたみたいですけど、ソリティが四年生になったばかりの頃、彼女のお母さんが久しぶりに帰ってきたと思ったら、
「お父さんと離婚することにしたから。あんたは、どっちについていくか自分で決めなさい」
とだけ言って、自室にこもってしまったんです。ソリティの意見はまったく聞こうともせず。
これは、お父さんの方も同じでした。二人して娘のソリティにはなんの相談もなく勝手に決めてしまったんです。
丁度この頃、ソリティも、グループを作ろうとしてセイラに負けてしまって……
女子グループのリーダーにもなれなくて、しかも自分の両親は、何の相談もなく離婚を決めて、もう、何もかも嫌になってしまったというのが、本当のところだったみたいです。
『私なんて、いてもいなくても同じなんだ……!』
彼女はそう思ってしまった。
だから、無気力になってしまった。誰のことも信じられなくなった。それが原因。
アルマは、そのことを理解していました。理解していたからこそ、なにも言えなかった。子供の自分にはどうすることもできない問題だと悟ってしまったから。
そしてアルマの両親も、よその家のことだから口出しできなくて。
ソリティの両親とも昔からの付き合いだから、二人が、一度こうと決めたらテコでも動かない人だというのもよく知っています。
でも、ソリティのことは可哀想だとも思う。
だかせめて、自分達だけでも彼女を付けとめようと思うんですけど、その気持ちはソリティには届かなかったのでした。
たまに家に帰った時、相手がいると、
「急用が入った」
とか言って出ていってしまうんです。お互いの顔を見るのさえ嫌だったんでしょうね。
そんな調子でも何年かはどっちも我慢してたみたいですけど、ソリティが四年生になったばかりの頃、彼女のお母さんが久しぶりに帰ってきたと思ったら、
「お父さんと離婚することにしたから。あんたは、どっちについていくか自分で決めなさい」
とだけ言って、自室にこもってしまったんです。ソリティの意見はまったく聞こうともせず。
これは、お父さんの方も同じでした。二人して娘のソリティにはなんの相談もなく勝手に決めてしまったんです。
丁度この頃、ソリティも、グループを作ろうとしてセイラに負けてしまって……
女子グループのリーダーにもなれなくて、しかも自分の両親は、何の相談もなく離婚を決めて、もう、何もかも嫌になってしまったというのが、本当のところだったみたいです。
『私なんて、いてもいなくても同じなんだ……!』
彼女はそう思ってしまった。
だから、無気力になってしまった。誰のことも信じられなくなった。それが原因。
アルマは、そのことを理解していました。理解していたからこそ、なにも言えなかった。子供の自分にはどうすることもできない問題だと悟ってしまったから。
そしてアルマの両親も、よその家のことだから口出しできなくて。
ソリティの両親とも昔からの付き合いだから、二人が、一度こうと決めたらテコでも動かない人だというのもよく知っています。
でも、ソリティのことは可哀想だとも思う。
だかせめて、自分達だけでも彼女を付けとめようと思うんですけど、その気持ちはソリティには届かなかったのでした。
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる