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ミコナ

失敗した時には反省することが大事

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「俺はそれを責めはせん」

オウのその言葉に、カリナはしゃくりあげながら、

『先輩は優しすぎます。もっと泣いて怒ってってしていいと思うんです……』

そんな風に思うけれど 言葉になりません。口に出したら途端に嘘くさく聞こえるような気がしたからです。愛する人を残してこの世を去らなければいけなかった人の言葉に比べれば。

こうしてまた五分ほどしてやっと落ち着いてきたカリナに、オウは、

「すまんな。俺が人間なら抱きしめてやったりもしたところなんだが……と、いかん。これはまあセクハラかな」

香里奈の肩にとまったままそっぽを向きつつ、そう言ったのです。

オウのこの態度は実は、以前、ミコナに対してやや厳しいことを言ってしまったのを反省してのものでした。『他にもっと言い方があった』と。

分かりやすく素直にはなれないけど、でも内心ではいろんなことを考えて、反省すべきところは反省しなければと 思っていたりするんです。

ママにもそういうところがありました。

大人だって人間です。失敗もします。やりすぎたり言いすぎたりということもあります。つい感情的になったりもします。そういう失敗すらしてはいけないということではなくて、失敗した時には反省することが大事だと、ママは分かっていました。

オウもそういう一面を受け継いでいるわけですね。ただ、元のママよりも、もう一つ素直になれないところはありますけど。ウルやティーさんが別々になってしまったからです。それでも結局はちゃんと反省もするんです。できるんです。

ミコナは、ママのそういうところをちゃんと見ていた。自分の失敗を棚に上げて、それを他人のせいにするということがありません。

カリナもこれまでミコナをそばで見てきてそれが分かっていました。

それが、ママがミコナをどれほど愛していたのかを示していると感じていたのでした。

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