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ミコナ

オトコ女

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だけど、ヒエラルキーといっても、そんなに犯罪的なイジメみたいなものを含んでるわけじゃありません。ただなんとなくグループを作って、その中でいい気分になったり、他のグループと勢力を競い合ったりという、些細なものです。

それでも、そういうことに興味のない人にとっては大変に迷惑なことには違いなく、カリナはそういうのが苦手な人でした。

一方、カリナを庇った当時のママは、見た目こそは普通の女の子らしい女の子でしたけど、もうこの頃には結構、『他の子のことなんて知ったことじゃない』『一匹狼上等』なところがかなり出てきている状態でした。

そのせいで、男子からも『女子としての』人気は正直なく、『オトコ女』と呼ばれ、でも同時に、男同士みたいな付き合い方のできる男子とは『男友達として』は、仲良くしていていたりもしたそうです。

でも、見た目の印象の違いはやっぱり大きくて、ルリアの名前までは知らなかったカリナは、ずっと、同一人物だとは気付かなかったのです。

気付かなかったけれど、その時の印象が強く残っていて、再会してから、かつての<恩人>に近い印象のあるルリア(本人ですけど)に憧れたわけですね。



余談ですけど、この国では、子供が祖先の名前を受け継ぐことも多く、それどころか、親の名前をそのまま受け継ぐ場合も少なくないので、実は、同姓同名という人が、珍しくないんです。だから名前だけでは、同じ人かどうかというのがよく分からない。

あくまでその人を見て、本人かどうかというのを確かめることが多いんです。そのための顔認証システムも進歩してる。

この国では当たり前すぎて、誰も意識してないですけど。

ルリアみたいに成長とともに大きく印象の変わる人ももちろんいますけど、それはあくまで人が受ける印象なので、一見したら別人みたいに見えても、顔認証システムを通せば本人かどうかは一目瞭然だということです。

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