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今日はカレーだよ
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「今日はカレーだよ」
カリナと一緒に夕食を作りながら、ウルはそう言いました。実は、午前中にはもう仕込みは終わらせていて、ここからは仕上げの段階です。
<ミコナのママのカレー>です。
ママは、ルウから手作りで作るので、それこそ<ママの味>だという。
ハカセも、餃子ほどではないけれど、カレーも好物です。特に、ママのカレーは。
と言うか、<ママのカレーの口>にさせられてしまった。と言った方がいいかもしれません。
結婚してママが生きている間は、ずっと、ママのカレーでしたし。
たまに外でカレーを食べると、何となく物足りない気分にさえなるほどでしたから。
美味しいんです。お店のカレーも美味しいところのは美味しいんですけど、何かが違う。
すると、<ママのカレーの匂い>につられて、ハカセも研究室から出てきました。
「ママのカレーだ……」
キッチンと一体になったリビングに満ちた匂いが、ハカセの記憶を揺さぶります。
そして、ミコナも。
ミコナはまだ小さかったので、彼女が実際に食べていたのは、ミコナ用に作られたものでしたけど、匂いはもちろん、かいだことがあります。
なんだかとても懐かしい気持ち。
「辛さは控えめにしてありまっけど、基本はハカセのと同じものや。もし辛くて無理やったら、かまへん。他にも用意しとるしな」
ティーさんが、ミコナの分のカレーをよそいながら言います。
と言うのも、途中までハカセのと一緒に作って、辛さを調節する段階で別の鍋に移してミコナの分を作ったんです。しかも、さらに別に、小さい頃の彼女が食べていたカレーも同時に作りつつ。
これも、五体に分かれてしまったからこそ簡単にできました。
ハカセのはウルが、
ミコナのはティーさんが、
そして小さい頃のミコナが食べていたのはガーが、
という風に手分けして作っていたのでした。
カリナと一緒に夕食を作りながら、ウルはそう言いました。実は、午前中にはもう仕込みは終わらせていて、ここからは仕上げの段階です。
<ミコナのママのカレー>です。
ママは、ルウから手作りで作るので、それこそ<ママの味>だという。
ハカセも、餃子ほどではないけれど、カレーも好物です。特に、ママのカレーは。
と言うか、<ママのカレーの口>にさせられてしまった。と言った方がいいかもしれません。
結婚してママが生きている間は、ずっと、ママのカレーでしたし。
たまに外でカレーを食べると、何となく物足りない気分にさえなるほどでしたから。
美味しいんです。お店のカレーも美味しいところのは美味しいんですけど、何かが違う。
すると、<ママのカレーの匂い>につられて、ハカセも研究室から出てきました。
「ママのカレーだ……」
キッチンと一体になったリビングに満ちた匂いが、ハカセの記憶を揺さぶります。
そして、ミコナも。
ミコナはまだ小さかったので、彼女が実際に食べていたのは、ミコナ用に作られたものでしたけど、匂いはもちろん、かいだことがあります。
なんだかとても懐かしい気持ち。
「辛さは控えめにしてありまっけど、基本はハカセのと同じものや。もし辛くて無理やったら、かまへん。他にも用意しとるしな」
ティーさんが、ミコナの分のカレーをよそいながら言います。
と言うのも、途中までハカセのと一緒に作って、辛さを調節する段階で別の鍋に移してミコナの分を作ったんです。しかも、さらに別に、小さい頃の彼女が食べていたカレーも同時に作りつつ。
これも、五体に分かれてしまったからこそ簡単にできました。
ハカセのはウルが、
ミコナのはティーさんが、
そして小さい頃のミコナが食べていたのはガーが、
という風に手分けして作っていたのでした。
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