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何がどう転ぶのか

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人生というのは本当に思うに任せません。

ルイネの両親は熱心に真剣にバドミントンに打ち込んでいたのに思うような結果が出せず、失意のまま引退して、内心ではバカにしていた家業の八百屋を継ぐことになり、本当は嫌で嫌で仕方なかったのに、やってみると適性があったのか、大変に繁盛し、元の店は親戚に任せ、この街に新たな八百屋を開店するべくルイネを連れてやってきたというのが、経緯でした。

そう。バドミントンをやっていた時には伸び悩んでいたことで生活も決して楽ではなかったのが、今では嘘のように金銭面では十分なものが得られています。

バカにしていたはずの家業にこそ適性があって、好きだったバドミントンでは芽が出なかった。

皮肉なものです。

でもその一方で、両親が新たに八百屋を出店するためにこの街に来ることになった際、ルイネは、当時の友達とも別れることになった。

この時にも両親は、

「仕方ないんだから」

と言うばかりで、友達と別れるのは嫌だと抗議するルイネの気持ちは酌んでくれなかった。

ただ、そうやってこの街に来たことでミコナと出逢えたこともまた事実。

これもまた皮肉な話ですね。

何がどう転ぶのか、まったく分からない。

こちらに来てからも、バドミントンのラケットさえ買ってもらえなかったりということもあったり、でもそれもミコナのおかげで気持ちを落ち着かせることができてたり。

そんな中で、ルイネは、今、何もかも忘れてただただラケットを振るいシャトルを打ち返すことができています。しかもその相手は、<かぷせるあにまる>のガー。

普通では決して出逢うことのなかった相手。

本当に不思議なものです。

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