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おやすみ

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ミコナもハカセも、自分が期待してる通りに世の中は動いてくれないのを分かってるから、オウやフカの態度も平気でした。

ママの魂が五つに分かれてしまったことも。

こうやって分かれてしまっても、でもやっぱり<ママ>だということが分かるのもあって。

人にはいろんな面があります。優しい人だって、いつでもどんな時でも優しいだけとは限らない。でも、そういう自分を知った上で優しくあろうと努力できる人が、本当に優しい人なのかもしれません。

だからミコナのママは<優しい人>だったのでしょう。

そしてママがハカセを愛せたのも、不器用だけど、発明に集中してしまうと他のことがすっ飛んでしまう人だけど、ちゃんとそういう自分を理解してて、それでママのことを想える人だったからでしょう。

ママは、ハカセの<才能>だけを愛したわけじゃない。

そういう形で愛してもらえたから、ハカセも、ママの全部を愛せた。

フカだって、そのママの一部。

だったら愛せます。

「ありがとう。無理しないで休んでくれたらいいよ」

ハカセは、フカにそう声を掛けて部屋に戻っていきました。

「ふん…! 大きな世話だ……!」

フカはそう毒吐きますけど、機嫌はそこまで悪くなさそうでした。

それからしばらくハカセは作業をして、窓の外のフカの姿を見て、

「今日はこのくらいにしておこうか……」

呟いて部屋を出て、お風呂に入り、

「じゃあ、先に休ませてもらうね」

リビングにいたウル達と、やっぱり家の外にいたフカにそう声を掛けて、寝室へと行きました。

「おやすみ」

「おやすみ~」

ウルとティーさんは愛想よく、

「うむ」

オウはやっぱり偉そうな感じで、

「……」

フカは何も応えず、それぞれの形でハカセを見送ります。

ところで、<かぷせるあにまる>は、その体は生き物じゃないので睡眠も必要ないんですが、

「あんまり遅くまで話をしててもあれだし、僕達も寝ようか」

「そうでんな」

ウルとティーさんはリビングの灯りを消し、寝室でミコナのベッドに入りました。

オウはそのままリビングで休み、フカは屋根の見晴らしのいい場所に陣取ってやっぱり周囲を警戒していたのでした。

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