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任せた
しおりを挟むHP : 15820/17090
【王器の心眼】を発動してから4分以上が経過した。
コーズと真の戦況は膠着したまま優勢も劣勢もない。
【魔祖返りの薬】もHPは減らずとも体力の消耗は激しいのか額に大粒の汗が浮かんでいる。
「はぁはぁ……!ふん!」
「せぁぁあ!」
ガギンッッ
何度目か分からない刃の交差によひ火花が散る。
真が突きを放てば細剣を滑らせもう片方の手に持つ細剣で攻撃を仕掛けてくる。
半身になり避けるそして態と反応を遅らせて後退すると、好機と踏んだコーズが瞬間的に体を更に強化して距離を詰める。
そして引き絞った右腕を解き放とうとした時足に違和感を覚え
……滑った。
「??!?!?!」
「疎か!!」
後退から前進し左手の拳かコーズの顎を捉える。
「ガフッ!!」
「っ!!」
跳躍と同時に回転し全力で踵落としを決めた。
ドゴォオォオォォン!!
陥没所かコンクリートの中に頭が突き刺さったコーズは即座に抜け出そうとするが瞬時に真が足を掴み引っ張り出すとそのままの勢いで地面に叩きつけた。
「がっ?!ばっっ!がぁ!!い"っが……っっかは!!」
何度も、何度も地面に叩きつける。
その度に地面にはクレーターができ、足場も悪くなってくる。
それでも構わずに踏み締めて地面にコーズを叩きつけると空に放り投げる。
「くっ!人間んんん!!!」
「【転移】」
思考加速をした事により普段は脳に負担が掛かり絶対に使えない【転移】を使用して空に飛ばしたコーズの真後ろに移動する。
「なに?!」
「落ちろぉ!!」
更にまた先ほどより回転をかけ力も入れた踵落としを顔面に蹴り込んだ。
「ぶっ!」
「【エクスプロージョン】!!!」
地面にめり込んだらコーズの目の前で爆発が起こり全身が爆炎に包まれる。
「1発で終わりだと思うなよ!」
未だ爆炎が上がっているが追い討ちの魔法を一瞬で用意、完成させると即座にコーズに向けて放った。
「【フルプロージョン】!!」
合計10個の【エクスプロージョン】を込めた魔球を全て1箇所に叩き込んだ事で連鎖的に魔球が反応し通常の【エクスプロージョン】10個よりも遥かに大きい爆発が起きた。
HP : 13860/17090
更にHPが減っている。
そしてMP : 3910/8547
魔力の残りも半分以下になった。
真は魔法が込められた指輪の魔道具を40ほど取り出して魔力で刺激を与えコーズに向けて投げつける。
爆炎の中からようやく脱出したコーズの目の前に指輪が迫った所で気付く。
「しまっーーーーー!!!」
再度爆発音が鳴るがその規模は今までの中で1番の物だった。
数キロ離れた所て戦闘を繰り広げている獅堂、冥凜、猫娘の所にまで響ていて戦場にいた誰もが振り返った。
(単純な能力だが【王器の心眼】の能力はやっぱり凄いな【エクスプロージョン】は基本1発だけだから10発も出来たのは自分でもびっくりだよ)
「何せ今日初めて10発も同時発動したからなぁ。ーーーーん?まだか」
コーズの反応が魔力探知に引っかかった事で緩みかけた意識を元に戻す。
爆煙が晴れると同時に爆炎が真の視界を埋め尽くすほど迫る。
「【神がーーー】」
魔力防御の最高峰である神鎧が間に合わずコーズの8連【エクスプロージョン】をモロに喰らう。
「かっ……は……………」
HP : 2963/17090
上空から地面に落ちる。
全身血塗れで立つ事すら難しい程に疲弊していたが最低限の回復を施してやっと立ち上がる。
HP : 3256/17090
「………ぷ」
ビチャッ
口の中に溜まった血を吐き出すとかなりの量が出たのか地面へ落ちた血の拡散範囲が目測40㎝程度にまで広がっていた。
「ゴーズぅ……」
無意識に目の前の敵の名前を呟くと頭の中に聞いた事ないほどに焦ったデルガの声が響いた。
『主様もうおやめ下さい!死んでしまいますよ!!後は私がやりますのでどうかお休み下さい!!』
「でも……決めた、事だ……こんな所で負けてたら響をいつか……守れない気が、うぶ?!ごはぁ!」
胃液が突如せり上がって来た腹の中に入っていた食べ物や血が更に吐き出された。
デルガとは視覚共有してきるため当然デルガにも伝わった。
『主様……!!主様と響には私が誰にも手出しさせませんから!守りますからお休み下さい!!』
「デルガ」
名前を呼ぶ
「安心、していいんだな」
『はいっ……!』
最早泣き声のデルガの答えに安心した真は意識を手放す。
体が傾き倒れる瞬間に体が光る。
そして足が反射的に倒れる体を支える。
「【眷魔憑依】解除」
光が弾けるとボロボロだった体がそんな事は無かったかのように綺麗になった。
用意し待っていた安全地帯に横たわっていた真の体にデルガの体を借りていた時のダメージがフィードバックされボロボロになった。
転じて今まで真がメインとなっていたデルガの体は万全の状態となり爆煙から立ち上がったコーズと対峙した。
傷がゼロになり今しがた戦場に来たのかと錯覚するほど自然体のデルガの魔力の濃度を感じとり既に真ではない事を理解する。
「おま、え!出てこないつもりじゃ無かったのか!!このまま行けばお前ごと殺せたものを……!」
「お前は殺させて貰う。主様を……主様の……!!」
拳を握り魔力を込めると魔力自体が武器へと変化する。
そしてそのまま魔力で作った剣に今度は魔力を込め、纏わせ上段に片手で構える。
これが最後になる事を察したコーズが全身全霊で超特大の【エクスプロージョン】をデルガへ向けて放った。
しかし
「しっ!」
濃密な魔力を込めた魔剣を振り下ろすとデルガの純粋な魔力が解放されて前方数百mを建物、コーズごと消し飛ばしてしまった。
余韻に浸る事もなく真の元へと向かう。
「【鑑定】」
HP : 216/17090
「っ?!【エクストラヒール】!!!!!」
回復魔法最上である【エクストラヒール】を使う。
HP : 17090/17090
数値上は回復しもう減る心配は無くなった。
しかしデルガは涙を流し右手を握ろうとするが掴めない。
「申し訳ございません…………!!」
握ろうとした右腕は無く。
デルガの手は虚しく空を切った。
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