ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

鐘成

文字の大きさ
上 下
97 / 100

任せた

しおりを挟む


HP : 15820/17090

【王器の心眼】を発動してから4分以上が経過した。
コーズと真の戦況は膠着したまま優勢も劣勢もない。
【魔祖返りの薬】もHPは減らずとも体力の消耗は激しいのか額に大粒の汗が浮かんでいる。

「はぁはぁ……!ふん!」

「せぁぁあ!」

ガギンッッ

何度目か分からない刃の交差によひ火花が散る。
真が突きを放てば細剣を滑らせもう片方の手に持つ細剣で攻撃を仕掛けてくる。

半身になり避けるそして態と反応を遅らせて後退すると、好機と踏んだコーズが瞬間的に体を更に強化して距離を詰める。
そして引き絞った右腕を解き放とうとした時足に違和感を覚え

……滑った。

「??!?!?!」

「疎か!!」

後退から前進し左手の拳かコーズの顎を捉える。

「ガフッ!!」

「っ!!」

跳躍と同時に回転し全力で踵落としを決めた。

ドゴォオォオォォン!!

陥没所かコンクリートの中に頭が突き刺さったコーズは即座に抜け出そうとするが瞬時に真が足を掴み引っ張り出すとそのままの勢いで地面に叩きつけた。

「がっ?!ばっっ!がぁ!!い"っが……っっかは!!」

何度も、何度も地面に叩きつける。
その度に地面にはクレーターができ、足場も悪くなってくる。
それでも構わずに踏み締めて地面にコーズを叩きつけると空に放り投げる。

「くっ!人間んんん!!!」

「【転移】」

思考加速をした事により普段は脳に負担が掛かり絶対に使えない【転移】を使用して空に飛ばしたコーズの真後ろに移動する。

「なに?!」

「落ちろぉ!!」

更にまた先ほどより回転をかけ力も入れた踵落としを顔面に蹴り込んだ。

「ぶっ!」

「【エクスプロージョン】!!!」

地面にめり込んだらコーズの目の前で爆発が起こり全身が爆炎に包まれる。

「1発で終わりだと思うなよ!」

未だ爆炎が上がっているが追い討ちの魔法を一瞬で用意、完成させると即座にコーズに向けて放った。

「【フルプロージョン】!!」

合計10個の【エクスプロージョン】を込めた魔球を全て1箇所に叩き込んだ事で連鎖的に魔球が反応し通常の【エクスプロージョン】10個よりも遥かに大きい爆発が起きた。

HP : 13860/17090

更にHPが減っている。
そしてMP : 3910/8547
魔力の残りも半分以下になった。

真は魔法が込められた指輪の魔道具を40ほど取り出して魔力で刺激を与えコーズに向けて投げつける。
爆炎の中からようやく脱出したコーズの目の前に指輪が迫った所で気付く。

「しまっーーーーー!!!」

再度爆発音が鳴るがその規模は今までの中で1番の物だった。
数キロ離れた所て戦闘を繰り広げている獅堂、冥凜、猫娘の所にまで響ていて戦場にいた誰もが振り返った。

(単純な能力だが【王器の心眼】の能力はやっぱり凄いな【エクスプロージョン】は基本1発だけだから10発も出来たのは自分でもびっくりだよ)

「何せ今日初めて10発も同時発動したからなぁ。ーーーーん?まだか」

コーズの反応が魔力探知に引っかかった事で緩みかけた意識を元に戻す。
爆煙が晴れると同時に爆炎が真の視界を埋め尽くすほど迫る。

「【神がーーー】」

魔力防御の最高峰である神鎧が間に合わずコーズの8連【エクスプロージョン】をモロに喰らう。

「かっ……は……………」

HP : 2963/17090

上空から地面に落ちる。
全身血塗れで立つ事すら難しい程に疲弊していたが最低限の回復を施してやっと立ち上がる。

HP : 3256/17090

「………ぷ」

ビチャッ

口の中に溜まった血を吐き出すとかなりの量が出たのか地面へ落ちた血の拡散範囲が目測40㎝程度にまで広がっていた。

「ゴーズぅ……」

無意識に目の前の敵の名前を呟くと頭の中に聞いた事ないほどに焦ったデルガの声が響いた。

『主様もうおやめ下さい!死んでしまいますよ!!後は私がやりますのでどうかお休み下さい!!』

「でも……決めた、事だ……こんな所で負けてたら響をいつか……守れない気が、うぶ?!ごはぁ!」

胃液が突如せり上がって来た腹の中に入っていた食べ物や血が更に吐き出された。
デルガとは視覚共有してきるため当然デルガにも伝わった。

『主様……!!主様と響には私が誰にも手出しさせませんから!守りますからお休み下さい!!』

「デルガ」

名前を呼ぶ

「安心、していいんだな」

『はいっ……!』

最早泣き声のデルガの答えに安心した真は意識を手放す。
体が傾き倒れる瞬間に体が光る。
そして足が反射的に倒れる体を支える。

「【眷魔憑依】解除」

光が弾けるとボロボロだった体がそんな事は無かったかのように綺麗になった。
用意し待っていた安全地帯に横たわっていた真の体にデルガの体を借りていた時のダメージがフィードバックされボロボロになった。

転じて今まで真がメインとなっていたデルガの体は万全の状態となり爆煙から立ち上がったコーズと対峙した。
傷がゼロになり今しがた戦場に来たのかと錯覚するほど自然体のデルガの魔力の濃度を感じとり既に真ではない事を理解する。

「おま、え!出てこないつもりじゃ無かったのか!!このまま行けばお前ごと殺せたものを……!」

「お前は殺させて貰う。主様を……主様の……!!」

拳を握り魔力を込めると魔力自体が武器へと変化する。
そしてそのまま魔力で作った剣に今度は魔力を込め、纏わせ上段に片手で構える。

これが最後になる事を察したコーズが全身全霊で超特大の【エクスプロージョン】をデルガへ向けて放った。
しかし

「しっ!」

濃密な魔力を込めた魔剣を振り下ろすとデルガの純粋な魔力が解放されて前方数百mを建物、コーズごと消し飛ばしてしまった。
余韻に浸る事もなく真の元へと向かう。

「【鑑定】」

HP : 216/17090

「っ?!【エクストラヒール】!!!!!」

回復魔法最上である【エクストラヒール】を使う。

HP : 17090/17090

数値上は回復しもう減る心配は無くなった。
しかしデルガは涙を流し右手を握ろうとするが掴めない。

「申し訳ございません…………!!」

握ろうとした右腕は無く。
デルガの手は虚しく空を切った。








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...