93 / 100
嘘に
しおりを挟む「《始皇槍》!!」
武器の名前を呼ぶと自動で秦の手元へと飛んで行く。
「《アロンダイト》!《ガラティーン》!《エクスカリバー》ぁあ!!!」
更に3本の神話級の武器の名前を呼ぶと駆け出した秦を追従する。
サブカルチャーにも多少強い秦は始めこの戦い方をファン◯ル戦法などと呼んでいたが部下に止められ仕方なく
「【戦従神剣】!!」
槍で神速の突きを放つ。
ガン!!!!
しかし並の上級貴族さえも上回っている秦の渾身の一撃をその皮膚で受け止め金属が鳴る。
「お前……!」
突きの体勢からすぐさま居合のような体勢になり無造作に振り抜く。
ドゴッ!
人工魔祖悪魔はそれを両手で防ぐと空へと浮かし、名前を呼んだ神剣を大体の生物が潰されると死ぬ心臓と頭部目掛けて操作する。
「あぁぁぁぁあがるながぁぁぁあ!!」
ザクッザクッザクッ
頭部、心臓、左肩にそれぞれささるが動きを阻害する事は出来ない。
しかし秦が魔力の小さな糸を通して操るとその場で回転する。
「ラァがぁぁぁあ?!?!?!」
左肩から先が斬り落とされ、頭部も斬り落とされはしなかったが半分に分かれる。
心臓に刺さった武器だけは回転する事なくその場でギチギチと音を立てて動こうとしている。
(?!やはり頭より心臓が核となるか!)
パチンと軽く指を鳴らすと意思を持った様に秦の背後へと一瞬にして戻る。
頭が逆再生をしているが如く元に戻る。
肩は斬り離された腕がモヤとなって体へと戻り再生をするが唯一神剣が回転出来なかった心臓だけは再生が若干だが遅い。
(罠の可能性もある……だけど頭と心臓を同時に消滅させる魔法は使えない。クソッ!ここに来て前衛に超特化したその皺寄せが……!他のSランクに頼もうにも戦闘しているし、そもそも火力が足りるかどうか!)
「ふっ何をそんなに考えているんだい?早く倒さないと魔力が尽きちゃうよ!」
「うるせぇよ!ど変態クソガキ様がよぉ!!待ってろ!もう直ぐそっちに行くからよ!」
人工魔祖悪魔との戦闘の間にギロリと睨みをきかせこの瞬間で精一杯の罵倒をする。
「ふっ、ふふふふ……その余裕いつまで続くかな!【門】!【開門】!」
少年悪魔貴族がゲートを開く。
その中からもう一体の人工魔祖悪魔が現れる。
「うっそ……!!」
「さぁ!君も混ざって来なぁ!!」
背中に魔力を軽くぶつけると歩き出す。
そして徐々に加速して行きスピードは過去の秦と同等にまで上昇する。
「《ガラティーン》!!」
神剣を名前を呼び2体目の人工魔祖悪魔の足元へと飛ばす。
「らばァァア!?」
右足を出した時と同時に神剣が足に刺さり勢いよく切り裂かれる。
支えを失った人工魔祖悪魔Bは派手に転ぶ。
相手はもう1体いるため気を抜く事なく《アロンダイト》を人工魔祖悪魔Aの首へと滑らせる。
「ゔぁぁあっーーーーーー」
これで終わらず《エクスカリバー》に残存魔力の4分の1を込め、身体能力の上昇に4分の2込めて心臓目掛けて全力で振り抜いた。
ガギッ!!!
最初体に刃が触れた時はするりと通った。
だが体の中心と呼べる所に行き着いた瞬間今まで感じた事のない硬さを感じた。
「《剣軍》!!!」
人工魔祖悪魔Bが動き出した気配を察知して無数の剣が動きを止め時間を稼ぐ。
そのまま更に《剣軍》を重ね掛けで人工魔祖悪魔Aからの反抗を無くすために手足を斬り落とし槍数本で固定する。
「ぎぃぃいぁぁあ!!!!」
秦が自身史上初の咆哮を上げ身体能力に魔力を回し腕に力を込める。
「しねぇぇぇぇえええぉぇえ!!」
パキン
抵抗が一気に無くなり《エクスカリバー》が振り抜かれた。
(やった……!!)
核となる部分を斬られた人工魔祖悪魔Aは膝をつき倒れた。
「……へぇ?」
少年悪魔貴族が小さく笑う。
しかし消耗している秦はそれに気付かない。
(あと一体とクソガキ貴族が1人か、キツいな。だけどまずは人工魔祖悪魔の処理)
「意外とては出さないんだな」
「鑑賞娯楽だもん。楽しまないと!」
和やかな笑顔が秦の間に障るがなんとか無視をして人工魔祖悪魔の元へ向かう。
「心臓というより体の正中線……肺と肺の間!」
眼に回した魔力によってうっすらと核を感じる事が出来た。
「はぁ……ふぅう………」
時間はないが深呼吸をして体勢を整える。
「死ねよ?《死撃》!!!!」
背中に乗り添えられた手を僅かに人工魔祖悪魔の体に沈む。
バキンッッ
のそりと上体を起こす。
そして《剣軍》、《アロンダイト》、《ガラティーン》、《エクスカリバー》を全て回収して秦は背後に備える。
「倒したぜクソガキ貴族様、これでやっとお前との戦闘の訳だ。一応全快はしないが魔力の回復手段はあるんだ」
アイテムボックスからデルガから教わった特性の錠剤を取り出して口に含む。
「……これで多少は魔力が回復したぞ」
「じゃあかかって来なよ?」
「【転線】」
秦の姿が掻き消える。
「消えた?」
「後ろだっ」
その首を胴体と別れさせるため《始皇槍》を振るうが《神杖の王鎧》の効果で防がれてしまう。
「怖いじゃないかぁあ!人間っ!!だけどその努力は美しいとさえ言えるだろう!!」
暴風が吹き荒れ近づけなくなる。
「くっ!逃げるつもりか!!」
「逃げる?馬鹿をいえ。言っただろう?『鑑賞娯楽』だって」
「何をーーーーーー」
その瞬間秦の体に衝撃が走り吹き飛ばされ地面を転がってしまう。
(何がって起こって)
血が流れ視界が赤く染まる。
赤く染まった視界の中で信じたくない物を見つけてしまう。
「人工、魔祖……悪魔!!!」
「だから言っただろう?『鑑賞娯楽』だと。じゃあ蹂躙の時間だ。回復の時間さえ与えないよ」
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
俺だけ✨宝箱✨で殴るダンジョン生活
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
俺、“飯狗頼忠(めしく よりただ)”は世間一般で【大ハズレ】と呼ばれるスキル【+1】を持つ男だ。
幸運こそ100と高いが、代わりに全てのステータスが1と、何をするにもダメダメで、ダンジョンとの相性はすこぶる悪かった。
しかし世の中には天から二物も三物ももらう存在がいる。
それが幼馴染の“漆戸慎(うるしどしん)”だ。
成績優秀、スポーツ万能、そして“ダンジョンタレント”としてクラスカースト上位に君臨する俺にとって目の上のたんこぶ。
そんな幼馴染からの誘いで俺は“宝箱を開ける係”兼“荷物持ち”として誘われ、同調圧力に屈して渋々承認する事に。
他にも【ハズレ】スキルを持つ女子3人を引き連れ、俺たちは最寄りのランクEダンジョンに。
そこで目の当たりにしたのは慎による俺TUEEEEE無双。
寄生上等の養殖で女子達は一足早くレベルアップ。
しかし俺の筋力は1でカスダメも与えられず……
パーティは俺を置いてズンズンと前に進んでしまった。
そんな俺に訪れた更なる不運。
レベルが上がって得意になった女子が踏んだトラップによる幼馴染とのパーティ断絶だった。
一切悪びれずにレベル1で荷物持ちの俺に盾になれと言った女子と折り合いがつくはずもなく、俺たちは別行動をとる事に……
一撃もらっただけで死ぬ場所で、ビクビクしながらの行軍は悪夢のようだった。そんな中響き渡る悲鳴、先程喧嘩別れした女子がモンスターに襲われていたのだ。
俺は彼女を囮に背後からモンスターに襲いかかる!
戦闘は泥沼だったがそれでも勝利を収めた。
手にしたのはレベルアップの余韻と新たなスキル。そしてアイアンボックスと呼ばれる鉄等級の宝箱を手に入れて、俺は内心興奮を抑えきれなかった。
宝箱。それはアイテムとの出会いの場所。モンスタードロップと違い装備やアイテムが低い確率で出てくるが、同時に入手アイテムのグレードが上がるたびに設置されるトラップが凶悪になる事で有名である。
極限まで追い詰められた俺は、ここで天才的な閃きを見せた。
もしかしてこのトラップ、モンスターにも向けられるんじゃね?
やってみたら案の定効果を発揮し、そして嬉しい事に俺のスキルがさらに追加効果を発揮する。
女子を囮にしながらの快進撃。
ステータスが貧弱すぎるが故に自分一人じゃ何もできない俺は、宝箱から出したアイテムで女子を買収し、囮役を引き受けてもらった。
そして迎えたボス戦で、俺たちは再び苦戦を強いられる。
何度削っても回復する無尽蔵のライフ、しかし激戦を制したのは俺たちで、命からがら抜け出したダンジョンの先で待っていたのは……複数の記者のフラッシュだった。
クラスメイトとの別れ、そして耳を疑う顛末。
俺ができるのは宝箱を開けることくらい。
けどその中に、全てを解決できる『鍵』が隠されていた。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
闇属性は変態だった?〜転移した世界でのほほんと生きたい〜
伊藤ほほほ
ファンタジー
女神によって異世界へと送られた主人公は、世界を統一するという不可能に近い願いを押し付けられる。
分からないことばかりの新世界で、人々の温かさに触れながら、ゆっくりと成長していく。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
『付与』して『リセット』!ハズレスキルを駆使し、理不尽な世界で成り上がる!
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ハズレスキルも組み合わせ次第!?付与とリセットで成り上がる!
孤児として教会に引き取られたサクシュ村の青年・ノアは10歳と15歳を迎える年に2つのスキルを授かった。
授かったスキルの名は『リセット』と『付与』。
どちらもハズレスキルな上、その日の内にステータスを奪われてしまう。
途方に暮れるノア……しかし、二つのハズレスキルには桁外れの可能性が眠っていた!
ハズレスキルを授かった青年・ノアの成り上がりスローライフファンタジー! ここに開幕!
※本作はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる