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戦闘狂
しおりを挟む真達Sランクハンターのメンバーが魔界に潜ってから10時間。
ハンター達はまだまだ元気にモンスターを狩っていた。
途中10分間の休憩を半ば無理やりとらせた。
中国の女性ハンターである猫娘や冥凜でさえ放って置けば死ぬまでレベリングを続ける勢いだったからだ。
2人より強く体力もあるはずの真でさえ3時間しか連続で狩りをした事がない。
レベルが比較的低い中国の新人Sランクハンター達はこの10時間で全員レベルが5以上上がって狂喜乱舞してアメリカのハンターから若干引かれている。
しかし真、獅堂から見れば開始5時間で世紀末な声を上げていたアメリカのハンター達が引くちょっと違うなと思っていた。
「獅堂、半日近く潜ってる。流石に帰らないと……響に怒られる……!」
「やっとレベルが86になったんだ。もう少し狩っていかねぇか?」
「お前もそっち側かよ?!お前達のやる気が少し怖いよ!!!」
ツッコミを入れながら目の前の巨人を《紫紺の短剣》を魔法の発動媒体にして【エクスプロージョン】を放つ。
魔法が直撃した巨人の上半身を消し飛ばし経験値に変える。
ドロップアイテムは拾わずにアグリードに任せ次のモンスターにロックオンする。
5分ほど時間が流れる。
突然数キロ離れた場所ではデルガが真の経験値を稼ぐと言い暴れ回っているが十中八九ストレス発散のためだと思っている。
一際デカい爆発が起こると数キロ離れたここまでよく見えた。
数秒遅れで爆風が近くにいたSランクハンター達を襲い体勢が崩れピンチに陥るが幸いモンスターも体勢を崩した事により怪我人はゼロだった。
(核でも落としたんか?!?!なんで数キロ離れた所まで爆風が届くんだよ!!って経験値が!)
【レベルアップ】
【レベルアップ】
【レベルアップ】
一体どれほどのモンスターを倒したのだろうか。
あの爆発が起きてからレベルが3つも上がったのだ。
低レベルなら強敵を倒せば複数回レベルが上がる事もさして珍しいこどではない。
しかし真は既にレベルが120に到達していた。
異常だった。
「取り敢えず、よっと」
爆風が来た方向を呆然も見ているモンスターの首を落とす。
この10時間の間に真は新しい武器である【千王の戦斧】を入手した。
スキルとしてまだ獲得していないためここ1時間はぶっ通しで使用していた。
「遠心力も活かし攻撃しつつ次の攻撃動作に繋げる。意外と頭使うなこの武器は……」
流れた汗を拭いそう溢す
獅堂も遂に《一等騎士の短剣》を2本揃えた。
本人の装備も相まってかなり似合っている。
ヨハネの能力でかなり戦闘の効率化に成功し、レベルアップにかなり役立っているからか他より若干だがモンスターの討伐ペースが早かった。
「アグリード少しいいか?」
「いかが致しましたか?」
「少し前デルガに教えて貰った魔法を使ってみたいからアイテム拾い大変になるかも……」
「いえお気になさらず」
「ヨハネ俺も真と同じやつやるから悪いけどアイテム頼んでいいか?」
「お任せを」
「「じゃあ、行くか」」
2人が走り出すと同時に武器にちょっと細工をした魔力を込める。
真はスピード重視の戦い方にシフトする為《千王の戦斧》から《紫紺の短剣》に変えていた。
モンスターとのすれ違いざまに胸近くを刺して離脱する。
次々と辻斬りの様に雑に胸を短剣で刺し、斬り走り去って行く。
同然モンスター達は自分を傷つけた真と獅堂を追いかけるが辿り着く事はない。
2人が対象から一定の距離離れた瞬間に刺され、斬られたモンスター達が爆散していく。
(デルガ直伝の【時限式 : エクスプロージョン】の魔力を直接体内に流し込むのはエグいな。
【エクスプロージョン】の練度と流し込む魔力量次第で下級貴族だろうと容赦なく死に至らしめるんだから)
これは真と獅堂が去年のクリスマスの時期に彼女と一緒に歩いている男を見て「リア充爆散しろ」血の涙を流しながら呟いた事でデルガが考え2人に教えた。
「リア充爆散しろ」の言葉を間に受けたデルガ直伝の魔法は異常なほど殺傷力がある。
2人が思いが通じたのだ
「獅堂!魔力は大丈夫か?!!」
「体感4割減った!」
「ポーション飲んどけ!!」
「了解!!」
即座モンスターの少ない場所に移動しアイテムボックスから魔力たっぷりのポーションを取り出して呷る。
魔力回復手段は幾つかあるがポーションは水腹になるからあまり好まれていない。
だが丁度喉が乾いていた獅堂はポーションを飲み干して空き瓶を仕舞う。
「辺りにいるモンスターもあと100もいない……ラストスパートだ!!」
「「「「「ヒャッハーーー!!!!」」」」」
真が声を張り上げると中国勢、アメリカ勢のSランクハンター達が世紀末に出てきそうな返事をする。
途中猫娘、冥凜と合流しモンスターの討伐速度が更に上がる。
30分もすれば周辺のモンスターは全部狩り尽くされた。
時間的にも日付が変わっているため早く家に帰りたかった。
既に手遅れだが響に怒られたくないのだ。
地面に座り込み息をする先程まで世紀末だったハンター達を見つめる声を上げる。
「お疲れ様です!!時間的にも日付が変わっているようなので帰りましょう。体力も消耗しているようなのでアグリードが回復をーーーーー」
「私が回復しましょう主様!!!」
「うぉわっ?!」
いきなり真の真後ろにゲートを開き声をかけて来た。
思わず変な声を出してしまい注目を集める。
「皆さん魔力を錠剤型に固めた物です。大量にあるのでどうぞ」
デルガが大量の錠剤を一瞬にして全員の手元に配る。
錠剤を口に運ぶとSランクハンターの最大魔力量の3割が一気に回復した。
「「な?!一瞬で回復しただと?!」」
「「「「意外と甘いな……」」」」
「「「教えて貰えないだろうか」」」
「「…………」」
錠剤を口に含んだハンター達は色々な反応をする。
その様子を見てこちらを見ていた猫娘に対して勝ち誇った顔を向けるとドヤ顔で真に振り向いた。
まるで
「主様あの小娘より役に立ちますよ?」
(主様あの小娘より役に立ちますよ?と言っている……って一字一句違わず同じ事言ったよ)
その後魔界から帰った真達はハンター協会の一室で眠りにつく。
自分の家(部屋)に帰った真は同然響に今までで1番怒られた。
日付が変わってから帰った事がバレた獅堂がどうなったかは想像に難くなかった。
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