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秦 VS ジェイソン
しおりを挟むスカッシュをした空間でアメリカのSランクハンターと中国勢のSランクハンターが向かい合い武器を構える。
中国のハンターはオーソドックスな長剣でアメリカのハンターは両端に刃が付いている少しだけ変わった槍を持ち構えている。
既に戦いは3戦していずれも中国が勝っている。
それぞれの国のハンターの特色としてアメリカは力重視、中国は技術重視なのだ。
対人戦ならばアメリカが中国に勝つ事はほぼない。
アメリカは大型のモンスターが現れやすく中国は人型のモンスターが現れやすい。
そこから自然と戦い方は決まっていった。
今戦っている2人のハンターはその両国の特色が丁度真反対だった。
力強く斬りつける中国のハンターに対し、アメリカのハンターは両端に付いている刃を利用して長剣を絡めとったり高飛びの要領でジャンプして攻撃を避けたりしている。
「はぁぁぁ!!!」
「ふんっ!!」
棒術も納めているアメリカのハンターは上手く中国ハンターの長剣をいなして刃をその首に添える。
「……!!」
(やっと一勝か。アメリカより対人戦に特化している国とはいえ3勝も取られたのは屈辱的だな)
武器を収納し中国のハンターと軽く握手をすると自分達の仲間がいる部屋に戻る。
「悪いマイケル負担を掛けちまったな」
「気にしないでくれジェイソンさん。俺自身の対人戦の能力が低い事を知れたいい経験だからな。負けたのは確かに悔しいがそもそも専門分野が違うからな。そこまで悲観する事じゃあない」
マイケルの言葉通りだった。
大型のモンスターを日常的に相手するアメリカと人型のモンスターや暴走するハンターを常日頃から相手する中国では能力に差が出るのは当たり前だ。
対人戦の能力の低さをアメリカ勢は嘆いているが逆に中国勢はアメリカハンターの暴力的な力に苦悶の表情を我慢出来ずにいた。
「クソッ!なんて馬鹿力だ!!魔力で手首を回復させてもまだ痺れる!」
「我々には無い物だ……あちらも我らの技術を羨んでいるだろうな」
「日本で言う隣の芝生は青いっていう諺か?」
「「それだな」」
アメリカと先に戦い勝利を収めた3人は談笑している。
「アメリカのハンター達と上手く連携をすればハンターの実力向上にもつながり結果として国力に繋がる……アメリカと今以上に交流をした方が良さそうだな」
リーダー格が顎に手を当てぶつぶつと呟く。
「日本とは猫娘と冥凜が嫁ぐ………予定だが。アメリカには誰を行かせるべきか?」
本人達の意思を最優先にしているとはいえ恋愛を政治に持ち込むこのハンターはかなり曲者だろう
まだ猫娘と冥凜が真、獅堂と結婚するとは何一つ決まっていないが日本人の性格上無視できない事を見越し妻というポチジョンではなく最低でも友達、良くて同居人と考えていた。
デルガがいる真にはとてつもない迷惑だが彼女いない歴年齢の獅堂には効果があった。
「リーダー次誰が戦う?そもそも力は示したから良くない?」
「最後は……私が出よう。私が出ればあちらも必然的にジェイソンを出さなくちゃいけなくなる」
仮面を着けたリーダー格は静闘争死亡後に繰り上がりで中国最強の名を受け継いだ人物だ。
それほどの手練れなのだジェイソンが出てこないと他のハンターでは相手にならない。
リーダーはスカッシュをした部屋にゆっくり歩きながら向かう。
部屋に入ると同時に別の扉からジェイソンが出てきた。
「お互い考えている事は一緒みたいだな仮面の」
「だろうな。ジェイソン……お前とは一度戦って見たかったよ」
お互いに武器を構える。
「《来い秦王の義手》」
「《来い雷桜の一神》」
リーダー格が装備した物は一時的に自身の両腕を超性能の義手に変える物。
大破したりすれば義手が消えて元の手に戻る。
腕限定ではあるが最強の攻めと防御を兼ね備えている。
世界的に見ても遥かに優れた装備で中国では個人が持つには過ぎた物と言われ国宝級と認定されている。
一方ジェイソンが持つ《魂》の武器は全身一式の装備とトンファーのような持ち方をする手斧だった。
その姿はまるでデルガやアグリードを彷彿とさせる。
「秦良菊。中国最強に繰り上がったSランクハンター」
「ジェイソンだ」
名前を言い終わると同時に2人は全身に魔力をこれでもかと伝え纏う。
魔力が行き渡るとほぼ同じタイミングで部屋の床を踏み抜く。
銀腕と手斧が交わり火花と壁を隔てていても別室まで聞こえる金属音がなる。
真や獅堂は思わず耳を押さえた。
「ゴリラ見たいに図体がデカいクセして中々早いな」
右腕で受け止めた手斧を振り払い左腕をジェイソンに向けて振るう。
「おっと!見た目通り……いや、見た目以上のスピードとキレ。正直相手にしたくない」
トンファー型の手斧を器用に使い秦を退ける。
武器の特性もあるせいか2人の戦いは徒手空拳がメインとなっている。
2人の戦いを観戦している人達はまるで資金を潤沢に使ったアクション映画を見ているような気分だった。
どちらの技も力も世界最高峰で最強格
興奮するなと言う方が無理なのだ。
「うぉらぁぁぁあぁぁぁあ!!!!」
ジェイソンが手斧を振るうフリをして肘打ちで秦の顔を殴打、吹き飛ばす。
「がっ?!」
追撃とばかりに手斧を振るうが体勢を立て直した秦に簡単に銀腕で防がれてしまう。
「その拳術もそうだがその銀腕……なんて硬度をしている!!まるでSランクの中でも最上級のモンスターを殴っている気分になる!」
「お前こそ殴っても動じないのは好きだぜぇぇえ!!」
銀腕でそのまま手斧の刃を殴る。
常識で考えるのならば銀腕が負けるが事この2人の勝負にはそんな常識はない。
2人の戦闘は激しさを増していくばかりだった。
「獅堂、俺は一応確認出来る限りだも1番レベルが高いらしいけど……この2人にまだ勝てる未来が見えない」
「俺の意見だが真より1つを突き詰めた結果のように思える。Sランクハンターを名乗っているからある程度の練度で武器は使えたとしても……」
「そうか、早く……早くデルガと模擬戦して自分を磨きたい」
真は徐々にバーサーカーよりな思考に近付いて来ている
それに気付くがツッコミを入れれば負けた気がすると感じ獅堂は踏みとどまった。
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