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出会い
しおりを挟む朝から昼すぎまでダンジョンに篭りっきりだった真と獅堂はいらないアイテムを売却する為ハンター協会に立ち寄る。
1時間耐久レベリングを合計3回もしたため獅堂のレベルもそこそこ上がりアイテムもかなりドロップしたのだ。
中には2人は使わないがレアドロップもあったためにハンター協会に立ち寄る事を決めた。
昼過ぎと言うこともありそこそこの人が協会にいた。
勧誘を必死に行っている者や食事に勤しむ者、換金したドロップアイテムが予想より低かったのか肩を落とす者までいる。
ハンター協会に入ると当然注目が集まる。
最近日本最高峰のSランクハンターになった荒鐘真とそれに付き従う鎧の騎士2人。
あとついでの様にいる獅堂
もはや必然だった。
「受付嬢さん。俺と獅堂の分のアイテム換金をよろしくお願いします」
2人はそれぞれ自身のランクのハンターライセンスを受付嬢に手渡す。
「……では換金する為に専用の部屋に案内いたします」
4人は受付嬢の後ろをついて行く。
案内された部屋に行くと職員が5人人いてそれぞれアイテムを載せる為のワゴンを手にしていた。
「それでは換金したいアイテムをワゴンに載せてください」
「分かりました」
2人はアイテムボックスからドロップしたアイテムを取り出しワゴンに載せて行く。
槍、長剣、斧、短剣、太刀、棍棒、弓、指輪、籠手、鎧、兜etc……
武器だけでもワゴン2つから溢れるほどある。
数にしておよそ40
ワゴンを運ぶ為にいる職員はかなり驚いている。
受付嬢は普段から色々と経験している為職員と比べると多少は落ち着いているが頭を抱えていた。
「……これだけでしょうか?」
「武器はこれだけです」
「武器だけ?…あ、まさか魔石のドロップアイテムも?!」
「「はい」」
(どんだけ潜ってんだよ『のよ』!!!!!)
流石に我慢出来なかった職員と受付嬢は心の中で思わず毒づく。
換金する職員はもれなく鑑定のスキルを持っている。だからスキルを持たない人と比べて遥かに早く正確に出来る。
しかし鑑定のスキルは一種の魔眼であるからか魔力を消費する。
魔力を消費すれば倦怠感に襲われる。
目の前にある武器だけでも5人の職員の魔力を4割は持って行く量なのだ。
それに武器ではないモンスターの魔石やらも出てくると真達は言っている。
魔力消費による倦怠感と戦う事がこの瞬間決まった。
「そ、それでは別室で鑑定するのでしばらくお待ち下さい。あまりにも量が多いので予想より時間がかかるかもしれませんがご容赦を」
受付嬢はそう言いお辞儀をすると5人の覚悟を決めた顔職員を連れて部屋を退室する。
入れ替わりで男性職員が部屋に入ってくる。
目の前の机に4人分のお茶と茶菓子を置くとお辞儀をして部屋から退室した。
「……取り敢えずデルガ、アグリード座って茶菓子でも食べよう。獅堂、抹茶味は俺のだ触るんじゃねぇ」
「この抹茶主義者め!」
真と獅堂の下らない争いを横目にデルガとアグリードはラフな格好に変わりお茶を飲んだ。
ハンター協会を後にした4人は帰路につく。
ゲートを使うと一瞬で帰る事も出来るがゲートを使わない気分なのか真は徒歩で家に向かう。
「獅堂……凄い怒られたな」
「……だね」
結局職員5人の魔力が枯渇したため魔力を回復させるポーションを使う羽目になった。
魔力ポーションは回復ポーションと比べると価値が高いため5人分の魔力ポーションを使う事になったハンター協会は流石に怒っていた。
しかも魔力が枯渇した状態だとどんな高価な魔力ポーションでも絶対に全開まで回復しないのだ。
倦怠感を感じない程度にまで回復させるのに10本は使ったと真達は聞いていた。
「お陰でポーション代換金額から引かれてるな」
「ポーション高くない?そんなする?」
元々の換金額
1,630,520がポーション代を引かれ
1,030,520となっていた。
しかも残りの100万円に真と獅堂の割合があるため更に減る。
720,000が真
310,520が獅堂となった。
「サラリーマンの平均月収よりは高いけどな~んか解せぬ!!」
「しゃーないってポーション高いもん。だから俺まだポーション使った事ない。ポーションジャブジャブ使えるくらいの貯金はあるけど……妹の事あるし」
「シ◯ブシ◯ブ?」
「やめろやめろ!!!色々とまずい!!!」
少しシリアスな空気になりかけた所でそれをぶち壊す発言をした獅堂の頭を勢いで叩く。
「あだっ?!……っつ~!」
「ジャブジャブの後にシ◯ブシ◯ブはダメだろ?!消されるわ!!」
「誰に?」
「知るか!!」
何度繰り返されてきたか分からない悪友漫才をしていると悲鳴が聞こえてくる。
「声のする方へいくぞ!」
悲鳴を認識した瞬間に駆け出した真は獅堂を連れて走る。
その後ろをほんの少しふにゃりとした顔でついて行くデルガ。
(声張ると凛々しくなって……いいな主!)
自分の姉がどんな事を考えているのか分かるアグリードはどんどんキャラが崩れていっている姉を見て頭を悩ませている。
「ギィィイヤァォォォォオ!!」
金属で出来たゴーレム型のモンスターがダンジョンから出てきて叫びを上げる。
ダンジョンの外に出さないようにしていたハンターはゴーレムが外に出てきた数秒後にダンジョン内から出てくる。
「クソ!お前ら!今すぐ仕留めるぞ!!」
「「「おう!!!」」」
40代に差し掛かると思しき男が声を張り上げると若いハンター達が即座に金属ゴーレムを取り囲み攻撃を仕掛ける。
オッサンハンターは近くにいた一般人に手を伸ばし立ち上がらせる。
「ここは危険です。今すぐ離れて下さい。皆さんも野次馬なんて事はしないで今すぐ離れて下さい!!」
少し離れた所で写真か動画を撮っている一般人に声をかけるが一向に離れる気配がない。
(クソ!お前らがいるとこっちも本気で戦えねぇんだよ!)
毒つきながら立ち上がらせた一般人を退避させる。
アイテムボックスから盾を取り出して若いハンター達の元へ向かう。
何度も激しい攻防が行われるが一般人がいるお陰で決定打となる『魔法』を使えずにいる。
「一般人の皆さん!!いい加減に離れて下さい!!『魔法』が使えません!!!」
もう一度声をかけるが笑ったままスマホをこちらに向けている。
(クソ!!このまま時間がかかると他のモンスターがダンジョンから出てくるかもしれん!!早く……早く何とかしないとーーー)
焦りが最高潮になると知らない知らない声がオッサンハンター達の耳に届く。
「どけぇぇえぇぇえぇえぁぁぁあ!!!」
ヒュッ…ドンッッッ!!!!
何かが飛来し金属ゴーレムの頭部に直撃する。
その瞬間に大爆発が起きたかの様な音が辺りに響いた。
金属ゴーレムは頭部が消えさった。
体から影が抜けると崩れ落ちる。
「大丈夫ですか!!」
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