38 / 100
数週間
しおりを挟む「はぁ……はぁ……やっと撒けたか!!」
「ふむ、少々面倒くさいですね」
「主どうしましょう?」
デルガの呟き、アグリードの質問に真は汗を拭うと顔を上げる。
その顔は肉体的疲労というよりも精神的な疲労が大きく現れていた。
(ここ数週間の家にも学校にもマスコミが大挙して押し寄せてきて来やがる!!)
苛立ちが抑えられない
Sランクに正式にランクアップしてからマスコミのせいで響にまで影響が出ている。
まだ被害という被害は出ていないが毎日家に手紙やらカメラを向けられて少し精神的にまいっていた。
それを心配した真はつい昨日響に相談せずに新しい新居を決めた。
引越しも早く明後日になっている。
(早めに戻らないと行けない。荷物も纏めないと行けないしな)
「アグリード俺の部屋にゲートを繋げろ」
真が口にした次の瞬間にはアグリードが真の家にゲートを繋いで出した。
した急ぐようにゲートに入る真を2人は追いかける。
景色が変わるとそこは見慣れた光景である自分の部屋だった。
暗い部屋を明るくする為電気をつける。
「ちっ!まだ外にマスコミがいるのか……」
苛立ちが抑えられない真は乱暴に窓のカーテンを閉める。
自分の部屋からリビングに行くと響が今日の夜ご飯を作っている最中だった。
「響ここはもうマスコミが煩い。毎日毎日……学校にも来てる。果てはSNSにまでメールが来たり!!何回か俺がハンターの仕事として学校を休んだ時無理矢理マスコミが乗り込んで来た事もあった」
ここ数週間の事を思い出し料理の手が止まる。
「明後日引越しをするから必要な荷物は明日のうちに纏めるぞ」
「え?!お兄ちゃん急すぎるよ!!引越しって……学校はどうなるの!!」
「住む場所を変えるだけだ学校は変わらない。少し離れてるから登校は2人のゲートを使って校内に。帰りは友達遊んでいいけど必ずアグリードとアスマディアを同伴させる事。万が一ハンターに絡まれても2人が居ればSランクでさえなんのそのだからな!」
自信たっぷりに胸を張る
アスマディア
真がSランクになって以降隠す必要もなくなりデルガが少しずつ普段も出すようになったのだ。
響は最初戸惑っていたが最終的にまたご飯を一緒に食べる家族が増えたみたいで嬉しいとはしゃいでいた。
ちなみにアスマディアは偶に荒鐘家の食卓に並ぶが箸を全く使いこなせていない。
そしてアスマディアは真に命じられ普段は姿を消して響の影の中に入っている。
アグリード、アスマディアと過剰にも思える戦力だが真はまだまだ増やしてもいいすら考えていた。
(俺の可愛い響に何かあったらどうするんだ!!)
ここ数週間でシスコンになったのかもしれない。
馬鹿な事を考えていると料理が出来上がり4人は響お手製のご飯を食べる。
時間はあっと言う間に過ぎた。
引越しの日が来て、荷物を業者に頼むと真が決めた家であるハンター協会の上層階引越しも終わり時間は夜の9時を回っている。
響は引越しの荷解きに疲れて既にベットで寝てしまっている。
そんな響をクスりと笑うと名前を呼ぶ
「デルガゲートを開け。ダンジョンに潜るぞ」
パチパチパチィ
小さな音を立ててゲートが開く。
「ストレス発散だ」
ゲートを潜ると景色が変わり一瞬にしてダンジョンの中になる。
周りをキョロキョロと見るとデルガに質問をする
「このゲートはどれほどのランクなんだ?」
「魔力量から察するに精々BランクからAランクでしょう。今の主と力だと充分ソロ攻略が可能な筈です」
「そうか………」
ガシャ
「もしここがAランクダンジョンならボス単体のランクはSランクだとしてもおかしくないよな?」
ガシャ
「アイツか……じゃあダンジョン決壊以来のリベンジマッチになりそうだな!!!」
ガシャ!!
「グルルルルァア!!」
真の目の前のモンスターは優雅に剣を抜き構える。
アイテムボックスから《紫紺の短剣》を取り出し構える。
両者が構えるとデルガとアグリードは側を離れる。
2人の戦闘を邪魔する雑魚モンスターを1匹たりとも生み出さない為に。
「こいよ!シングルナイトォ!!!」
Sランクにランクアップしてから初めてのダンジョン、もちろんレベルは一切上がっていないがレベルを上げずとも筋トレや走り込みなどで多少は変えられる。
走り込みにより俊敏が上がってた真は空間を使いシングルナイトを翻弄すると背後に周り短剣を振り下ろした。
その場で固まる事もなくシングルナイトを蹴り飛ばすと武器を構え備える。
「グルルルルァァァアアァァアァ!!!!」
咆哮と同時に膨大な魔力が暴風となって解き放たれ真を襲う
「っぐぅ!!!」
魔力で強化されたシングルナイトが真と対峙する。
「そっちがその気なら……」
《スキル : 認識強化》
単純極まりないスキルだが事頂上の戦闘においては強大なスキルとなる。
更に
《スキル : 神速》
雷属性の魔力が真の脚に付与されバチバチバチィィと激しく鳴り響く。
「さぁ、仕切り直しだな!!」
『シングルナイトを倒しました』
「はぁ……はぁ……なんとか、なんとか行けた。新スキル、色々なアイテムのブーストがあってやっとか」
汗を拭い水分を取る。
「試験会場の時の紅葉さんならシングルナイトはもっと楽に勝てそうだよな。慣れない装備でさえダンジョン決壊の時シングルナイトとかなり渡り合っていたよな」
周りの雑魚モンスターを相当し終えたのか2人が戻ってくる。
(この2人がいるから俺はモンスター如きで無双する事が出来ないし無双するつもりもない)
チラリと見る
(いずれ超える事が当面の目標になりそうだな)
1
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
俺だけ✨宝箱✨で殴るダンジョン生活
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
俺、“飯狗頼忠(めしく よりただ)”は世間一般で【大ハズレ】と呼ばれるスキル【+1】を持つ男だ。
幸運こそ100と高いが、代わりに全てのステータスが1と、何をするにもダメダメで、ダンジョンとの相性はすこぶる悪かった。
しかし世の中には天から二物も三物ももらう存在がいる。
それが幼馴染の“漆戸慎(うるしどしん)”だ。
成績優秀、スポーツ万能、そして“ダンジョンタレント”としてクラスカースト上位に君臨する俺にとって目の上のたんこぶ。
そんな幼馴染からの誘いで俺は“宝箱を開ける係”兼“荷物持ち”として誘われ、同調圧力に屈して渋々承認する事に。
他にも【ハズレ】スキルを持つ女子3人を引き連れ、俺たちは最寄りのランクEダンジョンに。
そこで目の当たりにしたのは慎による俺TUEEEEE無双。
寄生上等の養殖で女子達は一足早くレベルアップ。
しかし俺の筋力は1でカスダメも与えられず……
パーティは俺を置いてズンズンと前に進んでしまった。
そんな俺に訪れた更なる不運。
レベルが上がって得意になった女子が踏んだトラップによる幼馴染とのパーティ断絶だった。
一切悪びれずにレベル1で荷物持ちの俺に盾になれと言った女子と折り合いがつくはずもなく、俺たちは別行動をとる事に……
一撃もらっただけで死ぬ場所で、ビクビクしながらの行軍は悪夢のようだった。そんな中響き渡る悲鳴、先程喧嘩別れした女子がモンスターに襲われていたのだ。
俺は彼女を囮に背後からモンスターに襲いかかる!
戦闘は泥沼だったがそれでも勝利を収めた。
手にしたのはレベルアップの余韻と新たなスキル。そしてアイアンボックスと呼ばれる鉄等級の宝箱を手に入れて、俺は内心興奮を抑えきれなかった。
宝箱。それはアイテムとの出会いの場所。モンスタードロップと違い装備やアイテムが低い確率で出てくるが、同時に入手アイテムのグレードが上がるたびに設置されるトラップが凶悪になる事で有名である。
極限まで追い詰められた俺は、ここで天才的な閃きを見せた。
もしかしてこのトラップ、モンスターにも向けられるんじゃね?
やってみたら案の定効果を発揮し、そして嬉しい事に俺のスキルがさらに追加効果を発揮する。
女子を囮にしながらの快進撃。
ステータスが貧弱すぎるが故に自分一人じゃ何もできない俺は、宝箱から出したアイテムで女子を買収し、囮役を引き受けてもらった。
そして迎えたボス戦で、俺たちは再び苦戦を強いられる。
何度削っても回復する無尽蔵のライフ、しかし激戦を制したのは俺たちで、命からがら抜け出したダンジョンの先で待っていたのは……複数の記者のフラッシュだった。
クラスメイトとの別れ、そして耳を疑う顛末。
俺ができるのは宝箱を開けることくらい。
けどその中に、全てを解決できる『鍵』が隠されていた。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
闇属性は変態だった?〜転移した世界でのほほんと生きたい〜
伊藤ほほほ
ファンタジー
女神によって異世界へと送られた主人公は、世界を統一するという不可能に近い願いを押し付けられる。
分からないことばかりの新世界で、人々の温かさに触れながら、ゆっくりと成長していく。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
『付与』して『リセット』!ハズレスキルを駆使し、理不尽な世界で成り上がる!
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ハズレスキルも組み合わせ次第!?付与とリセットで成り上がる!
孤児として教会に引き取られたサクシュ村の青年・ノアは10歳と15歳を迎える年に2つのスキルを授かった。
授かったスキルの名は『リセット』と『付与』。
どちらもハズレスキルな上、その日の内にステータスを奪われてしまう。
途方に暮れるノア……しかし、二つのハズレスキルには桁外れの可能性が眠っていた!
ハズレスキルを授かった青年・ノアの成り上がりスローライフファンタジー! ここに開幕!
※本作はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる