上 下
31 / 100

ランクアップ

しおりを挟む


起床する。
壁に掛けている時計を見ると朝の6時となっている。

昨日真は家に帰ると響のご飯を全員で食べた後風呂に入りすぐに寝た。
真の機嫌が異常に悪かった事で食卓が少し気まずくなったが響は何かがあったと察して明るい話題を出した事でなんとか解決した。

「まだ気分悪いな………ランクか低いからああやってデルガを馬鹿にされるのか」

昨日の事を思い出して真は拳を強く握る。

(舐められないようにするには簡単か。高ランクになればいい、高ランクになれば威厳が自然と付随するから舐められ事も無くなる)

「…………今日の予定は決まったな」

真は洗面台に行き顔を洗った。
タオルで顔を拭いてから二階に着替える為に上がると響とかち合う

「お兄ちゃん、もう…いいの?」

言葉を濁しながら真を心配する響。
その響の様子に罪悪感を覚えた真は自身の頭を乱暴に掻き乱して対応する。

「昨日はハンターの事情を家に持ち込んでごめんな響怖がらせちゃったか?」

「少し、怖かったよ顔」

「ごめん。今度何か埋め合わせにどこか連れて行ってあげようか?」

「お兄ちゃんの奢り?」

「勿論だ」

「ぃやったぁーーー!!!」

ルンルンを階段を降りて行き顔を洗いに行く響を見送ると自分の部屋に戻る。
パジャマを脱ぎ普段着兼ハンター装備の服装に着替える。
早く朝食にしたいが響に台所に入る事を禁止されている真は朝食の時間まで学校を宿題を広げた。







7時30分
いつもの朝食の時間になる
宿題を片付けてリビングに行くと響がテーブルにご飯を並べている途中だった。

「あっ、お兄ちゃんナイスタイミングーー!」

「楽しそうだな」

「いや~だって?ここ毎日4人家族の4人で朝と昼と夜のご飯を一緒に出来てるんだよ?何年ぶりだろ~って考えてると楽しくなっちゃって」

「………これから死ぬまで4人家族だぞ」

「あれ?お兄ちゃんはデルガさんと結婚しないの?」

「「バフォッ?!」」

真との吹き出した声が重なる。
声のする方へ顔を向けるとそこには顔を赤らめてこちらを覗いているデルガの姿があった。

昨日とは違う意味で気まずい空気になるがそこへゲートからしれっと出て来たアグリードが響に声をかける。

「響、今日の朝食は何でしょうか」

「今日は昨日のあまりのカレーだよ。他に何か欲しい?」

「いえ、カレーを多めにして貰えれば嬉しいです」

「じゃあ用意するね!デルガさんは?」

自分の名前が呼ばれたビクッとなったデルガだが冷静に答える。

「じゃ、じゃがいもを多めで…お願いします。響」

「はーーい」

響が楽しそうに台所に向かい2人の分のカレーを更によそう。
アグリードは真に近づき耳打ちをする。

「(主何を気まずくなっているのです)」

「(俺まだ結婚しねーーよ?!)」

「(弟の私が言うのもなんですが姉上は粗暴ですけどスタイルはかなり良いんですよ?何を躊躇ってるんです?ガッツきましょうよ男なんですから)」

「(俺は野獣じゃねぇ!!!)」

「あ、主。私はいいですから席につきましょう。はい」

デルガの一言で真とアグリードの小声漫才は終わり3人は食卓についた。





朝食が終わり真が響に今からハンター協会に行く事を伝えると、響が訝しんだ。

「昨日1日中ダンジョンに潜ってたんでしょ?それなのに昨日の今日でまたダンジョン?」

ほんの少し怒り気味に真を問い詰める。
しかしこの答えを想定していた真は宥めながら響の質問に答えた。

「ダンジョンには今日は潜らないよ。ただハンター協会に用があるだけさ」

「ふーーーん?」

皿を洗い2階に上がるとお金が必要になった時の為に財布、お金が足りなかった時の為にハンター協会と契約している銀行のカードを用意する。
もしも響からの連絡が来た時、直ぐに反応出来るようにスマホも持ち玄関に立つ。


「じゃ、行ってきます。2人ともハンター協会の中にゲートを繋げてくれ」

バチバチバチィィ

「お兄ちゃん怪我しないでね」

「ダンジョンには潜らないって!」

「どうだか?」

「信用ねぇ~~」

この言葉を最後に真はゲートを潜り自宅を後にする





バチバチバチィィ

ゲートがハンター協会内に現れるとその場にいたハンターは持てる武器を持って中から出て来る存在を待った。
しかし中から出て来たのはここ最近世間を賑わせている荒鐘真、そして密かにファンクラブが出来ているデルガとアグリードだった。
ゲートから出てきた真が歩き出すとゲートが閉じる。

真っ直ぐ受付に向かうとそこには毎回真の対応をしている受付嬢がいた。
まさかの登場の仕方にびっくりしながらも受付嬢として仕事をこなす。

「荒鐘様ですね?今日は何の御用でしょうか?」

「ハンターランクの、ランクアップ試験を受けたい。出来るだけ」

「で、出来るだけですか!!??」

「昨日何かあったのは聞いてる?」

「多少聞いております」

「舐められるだけならまだ良い、だけどデルガを侮辱されたからね。それは俺のハンターランクが最低のFランクだからだと思う。だから……今日は古豪会長に言われた我儘を行使させてもらう」

一度区切り
受付嬢を見て再度言う

「俺にのランクアップ試験を受けさせてくれ」





ハンター協会: 会長室

古豪会長は椅子にもたれ掛かりコーヒーを飲んでいた。
会長室に慌てた様子の受付嬢がノックもする事なく入ってくる。

「か、会長!!例の!荒鐘真が全てのランクアップ試験を受けさせろ協会に来ました!!」

受付嬢の言葉に固まる古豪会長はふっと笑みを溢すと一口コーヒーを口に含み机の上に置くと立ち上がる。

「思ったより我儘を言うのが早かったですね。………理由が気になる所だ。君、来たのは荒鐘君だけですか?」

「いえ!女性1人、男性1人が居ました」

(デルガ君とアグリード君だろう。白蓮騎士ギルドの人を呼んだ日に来るとはね)

「3人を今すぐランクアップ試験会場に案内しなさい。私は白蓮騎士ギルドの人達に声をかけてくるよ」

古豪会長はギルドの人達がいる部屋に足を運んだ。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

世界⇔異世界 THERE AND BACK!!

西順
ファンタジー
ある日、異世界と行き来できる『門』を手に入れた。 友人たちとの下校中に橋で多重事故に巻き込まれたハルアキは、そのきっかけを作った天使からお詫びとしてある能力を授かる。それは、THERE AND BACK=往復。異世界と地球を行き来する能力だった。 しかし異世界へ転移してみると、着いた先は暗い崖の下。しかも出口はどこにもなさそうだ。 「いや、これ詰んでない? 仕方ない。トンネル掘るか!」 これはRPGを彷彿とさせるゲームのように、魔法やスキルの存在する剣と魔法のファンタジー世界と地球を往復しながら、主人公たちが降り掛かる数々の問題を、時に強引に、時に力業で解決していく冒険譚。たまには頭も使うかも。 週一、不定期投稿していきます。 小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しています。

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)

IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。 世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。 不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。 そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。 諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる…… 人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。 夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ? 絶望に、立ち向かえ。

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

最弱ユニークギフト所持者の僕が最強のダンジョン探索者になるまでのお話

亘善
ファンタジー
【点滴穿石】という四字熟語ユニークギフト持ちの龍泉麟瞳は、Aランクダンジョンの攻略を失敗した後にパーティを追放されてしまう。地元の岡山に戻った麟瞳は新たに【幸運】のスキルを得て、家族や周りの人達に支えられながら少しずつ成長していく。夢はSランク探索者になること。これは、夢を叶えるために日々努力を続ける龍泉麟瞳のお話である。

処理中です...