8 / 100
終息
しおりを挟むピーポーピーポー
警察や救急車、更にはハンターが合計で60人以上集まる。
警察は一応は一般人だが中にはハンターを引退して元ハンターもいる。これによりハンターを呼べない状況下での対応も出来る。
救急車はデルガが応急処置をした怪我人達を運んでいる。
治療したとはいえあくまで最低限。
病院でのしっかりとした治療が必要だ。
そしてハンター。
警察のハンターより戦闘能力の面で上回るのが10、同等か少し劣るのが18人いた。
最低ランクでさえD、トップはCランクの並のハンターでさえ逆立ちしても敵わぬ戦力だ。
それが40人近くも集まっているのは一重に通り魔が彼らの間で密かに噂になっている。テロリストの可能性があるからだった。
「小鳥遊中から異常な魔力を感じるか?」
Cランクの安曇高悟は同じギルドの小鳥遊に声を掛ける。
声を掛けられた青い顔で震えている。
「あ、あそこにヤバい気配がする。少なくとも俺達じゃ絶対敵わないレベルの奴が……」
「は?こっちは40人近くいるんだぞ?そんな馬鹿な話ある訳」
自分ほどでは無いにしても魔力を平均以上に感じる事が出来る安曇の言葉に小鳥遊は声を荒げる。
「魔力を感じるクセに分からないのか?!この異質さを!Aランクダンジョンを直接目の前にした時に感じる魔力と似たこの感覚を!」
「そりゃあ感じるがそれがどうした?この人数がいればAランクダンジョンもなんとかクリア出来るぞ?」
小鳥遊は友人の理解していない発言にキレる。
「だから!ダンジョン化していない建物からAランクダンジョン並の魔力が漂ってくるって事は!個人でダンジョンに相当する魔力をもった敵かもしれないって事だぞ!そんなの勝てるわけない!まだダンジョンに潜ってら方が遥かにマシだ!」
この言葉に安曇だけでなく周りのハンター達も顔を強張らす。
中には顔を絶望に染める者もいた。
「単独と決まった訳じゃないだけまだ救いはある。お前ら準備を整えろ。直ぐに突入するーー」
ドカァァン!!……パリィィイン
大きな爆発な中から起きたと思うと複数の人が落ちてくる。
「「な、何が起こった」」
「た、助けてくれぇ!あんな奴相手にしたくない!捕まる、自首するから!助けてくれ!!」
「「「「誰やお前」」」」
いきなりの展開につい周りのハンターがツッコミを入れる。
そして小鳥遊な反応する。
「何か来ます!」
バチバチバチィィ
まるで苛立っているかのう様に魔力が弾けながら形を作っていく。
「まさか……感じる魔力の持ち主?」
ハンター達が青ざめる
赤黒いゲートから騎士が2人現れた。
その手には気を失って泡を吹いている男が4人の襟を掴んでいる。
「貴様らは何者だ!ハンターか!ランク、名前は!国籍は!!」
「よせ!刺激するな!」
ただの拳銃ではない魔力が篭った銃を突きつける
警官にハンターは宥める。
「主の命によりこのゴロツキ供を再起不能にした。貴様らはコイツらの身柄が欲しいのであろう?」
手に掴んでいる人を軽々と投げてよこす騎士。
それだけでもただならぬ実力だという事がハンター達には分かった。
「中の弱き者たちは無事であろう、1人弱っていた奴がいたが、最低限ではあるが私が回復させておいた。直ぐに来るだろう」
そしてそのまゲートの中に帰ろうとする騎士を見て小鳥遊と安曇は声を掛ける。
「まて!」
「まってくれ!この際事情がある事は分かった!ただ名前ぐらいは教えてくれないか!いつか礼がしたい」
「礼だと?」
「そうだ、貴女方のお陰でこちらのハンターに死傷者が出る事を未然に防ぐ事が出来たからです」
「この程度で死傷だと……名前は教えられぬが顔ぐらいは見せてやる」
片方の騎士が頭部に纏っていた魔力を回収する。
そこには凛として美しく、強いと一目で分かる女性がいた。
「これで良いでしょう。礼など不要です」
「あ、ちょっと!」
ハンターや警察の言葉の静止も虚しく騎士達はゲートの中に今度こそ帰っていった。
「何だったんだ一体…………」
「長身……凛とした瞳」
「小鳥遊?」
「…タイプだ」
ある1組のハンターに春の嵐が訪れた。
ビル群から離れ商店街が立ち並ぶ場所の路地裏
真は息を荒げながら膝を着く。
「はぁ、はぁ、はぁ、……人質を一階に案内した後バレない様に全力で逃げるのこんなにキツいのかよ」
流れる汗を手の甲で拭い、付着した汗を振り払う事で不快感を取り除く。
「デルガ、アグリード」
「「ただ今戻りました」」
「毎度思うけど名前呼ぶと直ぐ反応するから分身してる事を疑うよ」
ハハハと笑い2人に笑顔を向ける。
だが何故かデルガが気まずそうに身をよじる。
「主…その言いにくいのですが」
「ん?どうしたの?」「去り際に名前を求められたので代わりに顔を晒してしまったのですが」
(え、晒す?………顔を)
数秒間じっくり考えた後、真はその意味を理解する。
「嘘でしょ?!なおさら余計にデルガに頼ってダンジョン攻略が出来なくなったな…………バレたら絶対突っつかれる!!」
頭を抱え座り込む真にデルガはひたすら焦りまくっていた。
その鎧を着ていなければ学校の委員長が焦っている様にも見えた。
「申し訳ありません!申し訳ありません!!」
「そこまで謝らなくてもいい、そもそも頼る前提の攻略を見据えていた俺が悪いんだ。やっぱ自分の実力で頑張れって事だよ」
甘い考えを期せずして打ち砕かれ現実を知った真の顔は少し引きつっていた。
「取り敢えず家に帰るか」
「そうですね」
帰路に着く真の後ろでトボトボ歩くデルガ、そしてその更に後ろで、アグリードがギリシャの彫刻にありそうなポーズを決めながらデルガの後ろ姿を見ていた。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
俺だけ✨宝箱✨で殴るダンジョン生活
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
俺、“飯狗頼忠(めしく よりただ)”は世間一般で【大ハズレ】と呼ばれるスキル【+1】を持つ男だ。
幸運こそ100と高いが、代わりに全てのステータスが1と、何をするにもダメダメで、ダンジョンとの相性はすこぶる悪かった。
しかし世の中には天から二物も三物ももらう存在がいる。
それが幼馴染の“漆戸慎(うるしどしん)”だ。
成績優秀、スポーツ万能、そして“ダンジョンタレント”としてクラスカースト上位に君臨する俺にとって目の上のたんこぶ。
そんな幼馴染からの誘いで俺は“宝箱を開ける係”兼“荷物持ち”として誘われ、同調圧力に屈して渋々承認する事に。
他にも【ハズレ】スキルを持つ女子3人を引き連れ、俺たちは最寄りのランクEダンジョンに。
そこで目の当たりにしたのは慎による俺TUEEEEE無双。
寄生上等の養殖で女子達は一足早くレベルアップ。
しかし俺の筋力は1でカスダメも与えられず……
パーティは俺を置いてズンズンと前に進んでしまった。
そんな俺に訪れた更なる不運。
レベルが上がって得意になった女子が踏んだトラップによる幼馴染とのパーティ断絶だった。
一切悪びれずにレベル1で荷物持ちの俺に盾になれと言った女子と折り合いがつくはずもなく、俺たちは別行動をとる事に……
一撃もらっただけで死ぬ場所で、ビクビクしながらの行軍は悪夢のようだった。そんな中響き渡る悲鳴、先程喧嘩別れした女子がモンスターに襲われていたのだ。
俺は彼女を囮に背後からモンスターに襲いかかる!
戦闘は泥沼だったがそれでも勝利を収めた。
手にしたのはレベルアップの余韻と新たなスキル。そしてアイアンボックスと呼ばれる鉄等級の宝箱を手に入れて、俺は内心興奮を抑えきれなかった。
宝箱。それはアイテムとの出会いの場所。モンスタードロップと違い装備やアイテムが低い確率で出てくるが、同時に入手アイテムのグレードが上がるたびに設置されるトラップが凶悪になる事で有名である。
極限まで追い詰められた俺は、ここで天才的な閃きを見せた。
もしかしてこのトラップ、モンスターにも向けられるんじゃね?
やってみたら案の定効果を発揮し、そして嬉しい事に俺のスキルがさらに追加効果を発揮する。
女子を囮にしながらの快進撃。
ステータスが貧弱すぎるが故に自分一人じゃ何もできない俺は、宝箱から出したアイテムで女子を買収し、囮役を引き受けてもらった。
そして迎えたボス戦で、俺たちは再び苦戦を強いられる。
何度削っても回復する無尽蔵のライフ、しかし激戦を制したのは俺たちで、命からがら抜け出したダンジョンの先で待っていたのは……複数の記者のフラッシュだった。
クラスメイトとの別れ、そして耳を疑う顛末。
俺ができるのは宝箱を開けることくらい。
けどその中に、全てを解決できる『鍵』が隠されていた。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
闇属性は変態だった?〜転移した世界でのほほんと生きたい〜
伊藤ほほほ
ファンタジー
女神によって異世界へと送られた主人公は、世界を統一するという不可能に近い願いを押し付けられる。
分からないことばかりの新世界で、人々の温かさに触れながら、ゆっくりと成長していく。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
『付与』して『リセット』!ハズレスキルを駆使し、理不尽な世界で成り上がる!
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ハズレスキルも組み合わせ次第!?付与とリセットで成り上がる!
孤児として教会に引き取られたサクシュ村の青年・ノアは10歳と15歳を迎える年に2つのスキルを授かった。
授かったスキルの名は『リセット』と『付与』。
どちらもハズレスキルな上、その日の内にステータスを奪われてしまう。
途方に暮れるノア……しかし、二つのハズレスキルには桁外れの可能性が眠っていた!
ハズレスキルを授かった青年・ノアの成り上がりスローライフファンタジー! ここに開幕!
※本作はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!(改訂版)
IXA
ファンタジー
凡そ三十年前、この世界は一変した。
世界各地に次々と現れた天を突く蒼の塔、それとほぼ同時期に発見されたのが、『ダンジョン』と呼ばれる奇妙な空間だ。
不気味で異質、しかしながらダンジョン内で手に入る資源は欲望を刺激し、ダンジョン内で戦い続ける『探索者』と呼ばれる職業すら生まれた。そしていつしか人類は拒否感を拭いきれずも、ダンジョンに依存する生活へ移行していく。
そんなある日、ちっぽけな少女が探索者協会の扉を叩いた。
諸事情により金欠な彼女が探索者となった時、世界の流れは大きく変わっていくこととなる……
人との出会い、無数に折り重なる悪意、そして隠された真実と絶望。
夢見る少女の戦いの果て、ちっぽけな彼女は一体何を選ぶ?
絶望に、立ち向かえ。
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる