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入院
しおりを挟む目が覚める
ゆっくりお起き上がり周りを見渡す。
「何もなかったんだよな?」
ダンジョンから出てきた時の事を真は思い出す。
あの後芥を背負い、紅葉は芥より背が高くガタイの良い鹿島を背負いダンジョンから出た。
デルガとアグリードは紅葉の意識が覚醒したと同時に赤黒いゲートを作りその中へと消えていった。
デルガ、アグリードが紫紺の騎士と戦闘をしている時に外では異常な魔力が専用の計測機に出てハンターを管理する協会は混乱していた。
取り敢えずダンジョン内でSランク同士の本気喧嘩が始まったと仮定して協会直属のSランクを連れて現場に急行した。
現場についた頃には紅葉と真が芥と鹿島を背負い出て来た所だった。
紅葉は新人の真には事情聴取は荷が重いと考え進んで協会の人達に協力して質問に答えた。
4人は外傷という外傷は見つけられないが念の為といい2泊3日の入院と検査を行う事が決定した。
「流石に1日寝てると体が……ゔっっ…ふぅ、鈍る」
真はベットから降り体をそらすと背骨が「ポキポキポキッ」と小気味良い音がでる。
「ふう」ともう一度息を吐くと病院の同室になった芥、鹿島から声が掛かる。
紅葉は女性で尚且つSランクの超VIPな為専用の別室で一応の入院をしている。
「荒鐘さんは元気ですね」
「坊主が助けてくれたんだっけか?紅葉さんと謎の《騎士》と戦ってボコボコにされた所までは覚えているんだが……」
「確かに…私の記憶もそこまでです。荒鐘さん何か事情があるのかもしれませんが、もし良ければ貴方のあそこでの記憶を教えて頂けませんか?」
一気に踏み込んでいく。
芥は慎重な性格で礼儀正しいと世間では認識されているがハンターの仲間内では1番自分が知りたいと思った出来事が出来るとそれに対して誰よりも大胆不敵であったという。
その真価が発揮され真が起きて1分も経たずに
YES or NOの2つの選択肢を迫っていた。
本人の意識内ではYES or YESであったが………
「あーー、その…信じて貰えるか分かりませんよ?」
「それでも構いません!私は自分の中の疑問がモヤモヤとしたままでいるのが1番嫌いなのです!なんなら対価も払いますから教えて下さいぃ!!」
「芥?落ち着け芥ぁ?!おいあくーーゴフゥ!」
「昨日正式にAランクライセンスを貰って本当のAランクになった私達2人と最高峰のSランクがボロボロになった状況で生き残り尚且つ潰されていた筈の脚も再生している!!気にならん方が難しいだろうがぁぁ!!」
「おつっ…!落ちつげぇ!がじまぁぁ~!」
芥は普段隠しているはずの本性が隠しようもなく表しその手で鹿島の頬を叩いたあと服の襟を掴みAランクのステータスをもって思い切り揺すっていた。
前衛を務める鹿島のステータスは魔法系の芥より当然高いが疲労+無防備+寝起きの鹿島が対応出来るはずもなくそれをモロに受けた。
「おぇぇぇぇぇ………」
芥の暴走が止まると鹿島はまるでジェットコースターに乗った後のようにグロッキーになっていた。
「ふぅ……荒鐘さん邪魔が入りましたが教えて頂けますか?」
あまりの切り替えの早さ、そしてその純粋すぎるほどの良い笑顔に少し、ほんの少しだけ真は恐怖を覚えた。
「ふむ、なるほどその、契約した悪魔?という奴らが私達を助けてくれたと」
「うーーむ、聞くだけじゃ少し信憑性がなぁ……あぁいや、坊主の事を疑っているわけじゃねぇんだ。悪魔と敵対するなんて世界的に見ても過去に2度しかいなからいまいち現実性がないというか……」
当然の反応に真は苦笑いする。
明らかに秘密にした方がいい部分だけしか伝えていないため当たり前の結果と言った所だった。
「もし良ければなんか契約出来ちゃった悪魔呼び出しますか?」
「是非是非是非是非是h」
「芥お前は少し落ち着けってぇ!」
鹿島が芥を抑え、興奮を収まるのを待つ。
2人が落ち着いた所を見て真は2人の名前を呼ぶ
「魔力は抑えて出て来てね、デルガ、アグリード」
赤黒いゲートが2つ真の左右に現れるとそこから鎧姿ではない比較的動き易い格好の2人が出てきた。
「主様、何かご用でしょうか?」
「まさか目の前の人間2人が何かされましたか?!」
「いやいやいやいやいや?!違う違う!!芥さんと鹿島さんに俺達を救ってくれたヒーローを紹介しようと思ってね」
「ひ、ヒーローだなんて…恐れ多いです……(ポッ」
「姉上頬を赤らめないで下さい似合いませんよ」
「お前はいい加減その余計な事しか言わない口を閉じやがれ」
デルガとアグリードの喧嘩が始まると予感した真は先制を入れる。
「さて2人とも芥さんと鹿島さんに挨拶してくれ、身を挺して俺を守ろうとしてくれた2人だから」
真に言われるとその喧嘩の予兆がなかったかのように身を正して芥達に向き直る。
「この度は私達が仕える主様を助けようとして下さり誠にありがとうございます」
「お陰で呼ばれる事なく主を亡くすという恥を受けずに済みました。重ね重ね感謝致します」
デルガとアグリードは深く頭を下げる。
芥と鹿島は魔力を隠しても見てわかる程の実力者がここまで謙虚な謝り方をする事に若干驚きながらも対応する。
「ハンターの先輩として先がある後輩ハンターを死なせる訳には行きませんから当然です。むしろあなた方2人からは全く関係のない私達や紅葉さんを助けて下さり心の底から感謝します。ありがとう…ございました」
「俺からも礼を言わせてくれ。ありがとう」
デルガとアグリードに芥達も礼を返す。
「デルガさんとアグリードさん……だったか?」
「あってます」
「その2人が荒鐘さんの契約対象である事、自由に召喚出来ることを踏まえると己の実力と判断されるかもしれませんね。実力的にハンターのランクは暫定的にSランクでしょう」
「いや、2人が強くても俺自身はまだまだなので……」
「もし宜しければ一緒にギルド立ち上げる、もしくはパーティーを組んでくれませんか?」
「俺はーーーーー」
ステータス
名前:荒鐘 真 レベル:23
HP : 256/256
MP : 315/315
筋力 : 45 体力: 25
俊敏: 17 知力 : 16
感覚: 23 器用: 38
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