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アホの子戦法実行日

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(※かなりご都合主義です。頭のゆるいコメディとして見て下さい)

ついに、第二王子殿下の婚約者を決める武道会…じゃなくて、舞踏会の日がやってきた!
え…武道会と舞踏会を普通は間違えないって…?
えへへ、気分は宿敵と戦う気分だったから…ついっ。

一ヶ月、アリステア様といっぱい一緒にいられて楽しかったなぁ♡

特に…アリステア様が自ら行動に出た監禁生活…♡
二日で終わっちゃったけど…しゅん…。

でも、充実した二日間だったの!
可愛いチョーカー(首輪って言うとアリステア様が怒る)をプレゼントしてくれたり、アリステア様がドSの演技をして可愛がってくれたりしてね、とっても楽しかったよ!
ジアがおバカな事を言った時の、アリステア様の華麗なツッコミもいつもより鋭くて素敵だった♡
こういうの、夫婦漫才っていうのかなっ!

へへへぇ…♡
早く結婚したいなぁ♡
避妊薬の服用を止めて、いっぱい種付けされたい♡

「ジア…最高に可愛いけど、涎出てるよ。またえっちな事考えてたでしょ…」

「えへへ…♡んっ」

ブルーグレーのタキシードを着て、髪の毛を軽く流したアリステア様は、ジアの涎をハンカチで拭いてくれた。


…すると、周りがざわざわし出した。


「あ、あの…トパーズ侯爵令息様が…」

「氷のご令息が、あんなお顔をなさるなんて…」

「彼女がご令息を尻に敷いているというご令嬢か…」

みんな、アリステア様が気になるみたい。
氷のご令息って、アリステア様が良くゲームで言われてたやつだ!
本当に言われてたんだー!
わぁ!

え…?うん…!
ここ、もうお城の舞踏会場だからね♡

今、会場に設置されているソファーに座っているの!
正確には、ソファーに座っているアリステア様のお膝の上に座っているの♡

大丈夫だよ!
婚約者がいるのに招待されたご令嬢たちは、みーんな、婚約者同伴でイチャイチャしてるから!

もちろん、ディラン様とクラウディア様、ネロ様とシャーロット様もめちゃくちゃイチャイチャしてるよ♡

「クララは何処にいても何をしてても世界で一番可愛いねっ、よしよし」

「ディランしゃまぁ…♡」

「ふふふっ、いいこいいこ」

ナチュラルに、砂糖とシロップと蜂蜜を混ぜたくらいの甘い言葉を連発するディラン様と、それにとろとろメロメロになって甘えん坊スイッチがオンになったクラウディア様。
うん…ご馳走さまです♡

「ロッティ…俺しか見ちゃ駄目だからな?」

「ね、ねろさま…?何で不機嫌なのですか…?」

「……シャーロット?返事は?」

「は、はひっ…♡ねろしゃまだけをみてましゅっ♡」

うわあっ!
ネロ様が、化けたっ!
化けたよおぉ!
ジアの宿題…頑張ってくれたんだぁ…嬉しいっ!

あの独占欲丸出しのギラギラしたネロ様と、それに押されつつ恍惚と喜んでいるシャーロット様!
やっぱりネロ様は弱ヤンデレの適性があるし、シャーロット様はむっつりマゾの適性があったみたいっ♡
普段のギャップが際立つ、とても良いペアだ。


ふふんっ!
私たち三組を筆頭に、周りは恥じらいつつも、だんだん大胆になってきていた。

あまーい言葉がそこかしこから聞こえてきた。

「ずっとこうしたかったんだ…」

「いつも、可愛いと思っていた」

「…もうっ…すき…」

「ああっ…だめ…嬉しくて死んじゃうっ」

うんうん、いいね!いいね!
みんな良い感じに自分たちの世界に入っている。


ーーーそして…一番の狙いはこれだ。


「きゃっ…なんて品のないっ…人前で、あんな…あんな…恥ずかしい…羨ましいことを…」

「ま、まあ…何かしら、このときめきはっ…」

「わたくしも…あのような関係になれる方がいらっしゃれば…」

「いいなぁ…私もあんな婚約者がほしい…」

舞踏会に招待された、婚約者がいないご令嬢たちが羨ましそうにざわざわと話し出した!

そうっ…ざっくり説明すると!
彼女たちにイチャイチャを見せつける事で『本当に第二王子殿下と婚約する事が幸せなの…?私も周りの方たちみたいにイチャイチャしたいっ…ちゃんとした相手を見つけたい…!』と、第二王子殿下との婚約を放棄させて、自分がときめくお相手を夢見てもらうように仕向けたのだ!

清く、お上品なお付き合いしかしないピュアなご令嬢たちは、未知の感覚に胸をドキドキさせている。

第二王子殿下のための空間を利用して、彼をアウェイにしてしまう作戦だ!(国王陛下の許可あり)

私たち三組が筆頭になっているのは、大きな影響力を与え、すぐに納得させるためだ。
サファイア公爵家とトパーズ侯爵家、ガーネット侯爵家は強いからね…!
後は、大多数がやっているからおかしくないのか…と思ってしまう人間の心理をつき、普段の感覚を麻痺させて、自分に正直になってもらったのだ。


結果…婚約者いない組のご令嬢たちは、第二王子殿下に挨拶だけはしたけど、暫くしてそそくさと帰って行った。

残ったのは、挨拶すらしないで、第二王子殿下を空気のように扱っている婚約者いる組だけ。

第二王子殿下は、悔しそうに…だけど、もうどうにもならないという暗い表情で、ディラン様とクラウディア様の仲睦まじい姿を見詰めていた。

その前のやり取りは、ディラン様が最高にカッコよかった!

『ク、クラウディアッ…!?な、何故…』

『おや、殿下…婚約者探しはいいのですか?こちらには“私の婚約者のクラウディア”しかいませんよ』

『だ、黙れ!ディラン!貴様などにクラウディアは、もったいない女だ!』

『へぇ……ねぇ、クララ♡クララは私だけの婚約者だよね?』

『うん…クララはディランしゃまだけのこんやくしゃなの…♡ディランしゃまじゃないと…やっ…クララしんじゃう…』

クラウディア様はもうメロメロでディラン様しか見えていない様子だった。

『あ、後…私の婚約者を名前で呼ぶの、止めて頂けませんか?殿下とクララの関わりは凄く薄かったですし、必要…ありませんよね?』

ディラン様が遠回しに『私の婚約者の名前を気安く呼ぶな!』と釘をさすように言った時の迫力…あれは凄かった。

『ーーーっ!?』

第二王子殿下は付け入る隙もなく、絶句していた。

ぼっこぼこにされても仕方ないねっ!
失礼な事をして、喧嘩を先に売ったのは第二王子殿下だから!

クラウディア様の見たこともない一面に酷く驚かれ、ディラン様とご自分の差を痛いくらい思い知っただろう。

これで、少しは反省してくれればいいんだけど。

とにもかくにも、大事なお友達を守れて良かった!

それとね…アリステア様がその様子を見て悪い笑みを浮かべていたのが、めちゃくちゃカッコよかった…♡



その夜を境に、若い貴族の間では『イチャイチャは子作りの効率を上げる上で重要』と言われるようになっていたけど………………はて、何でかな…?

もしかして…アリステア様がジアの知らない裏で、何かやったのかもしれない。
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