徴兵令で呼び出された先で魔道士と軍艦の戦いに巻き込まれましたが奇跡的に生き残った件について

第６話 軍艦ネイブリー

　軍艦ネイブリー、それがディヴァの配属先だ。巨大な鉄の黒船、立派な大砲を2門も構えている。ネイブリーは駆逐艦という種類にあたるらしい。第一艦隊に所属する軍艦であり、艦隊に近づく飛翔体の攻撃から護衛する役割を担っている。

「私の名前はノーリ・ラヴァレット。軍艦ネイブリーの艦長だ。そして、スレイミーナ流王宮剣術の師範をしている。コロン王女陛下、マライタ海軍卿の師にあたるのが我だ。お前のことも育てるように海軍卿や公爵殿から言われておる。今日からよろしく頼むぞ。」

そう言うとノーリはディヴァに木刀を渡してきた。それで俺に実力を見せてみろと言わんばかりにディヴァの瞳を見るノーリ。ディヴァは木刀を両手で握りしめ、構え、ノーリに突進を仕掛けていった。

「おお！いい気迫だ！よいぞ、その殺気を忘れるな！」

ノーリの顔には笑顔が溢れんばかりだ。それはディヴァの剣から漏れる殺意に誘発されてなのであろうか。ディヴァの打ち下ろす剣をノーリが受けてみせる。それに諦めずディヴァは直ぐ様剣を引っ込め別の切り口から斬りかかる。そのようなやり取りを続けていく。しばらくするとディヴァの顔に疲れが見えてきた。息もリズムを失ってきた。ノーリはその様子を確認するや否や、斬撃のラリーを辞めた。ディヴァの剣を受けたノーリは力をそのまま受け流し、宙に放ってしまった。ディヴァの剣はくるくると空中に舞い、地面に刺さる。

「わかった、わかったぞ。お前の今の実力がなんとなくわかった。」

　ディヴァの海軍としての最初の仕事は掃除であった。艦長であるノーリから指示が出た。たった一人でこの広大な船内を掃除するようにと。しかし、船の大きさに反比例するかのようにその内部は思ったよりも狭かった。通路も必要最小限。兵器の部分と生活の部分との比率を突き詰めた結果なのだろう。

「おー！お前が新入りか！よろしくな！」

そんな狭い艦内であるから、人とすれ違う時はどうしても会話が起こる。

「新人知ってるか？駆逐艦ネイブリーには皇帝陛下がお乗りになったこともあるんだぜ？」

「おい聞いたか？明日、ノーリ艦長と海軍卿とのエキシビションマッチがあるらしいぜ。」