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202.断罪(13)
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「………今の証言を許に判断すると、ベッリーニ侯爵がタルディッリ男爵の息子を唆してシルヴェストリ侯爵夫人を拐かした、ということになるが…………」
「お待ち下さい、陛下!」
フェルディナンドがちらりとベッリーニ侯爵を見ると、侯爵が唐突に叫んだ。
「事実はそうではありません!」
先程までの物凄い形相から表情を一変させ、悲壮そうな表情をフェルディナンドに向けた。
「………というと?」
フェルディナンドは興味深そうに片眉を上げた。
するとベッリーニ侯爵は一瞬だけ嗤い、ベルナルドの方を見るとフェルディナンドの方へと向き直る。
一体何を言い出すつもりだろうと、アルフォンシーナは不安気にベルナルドを見る。するとベルナルドは、アルフォンシーナが不安を感じていることに気がついたのか、黙ったまま、頷いた。
おそらくは、『どんな言い訳をするのか聞いてみろ』とでも言いたいのだろう。
アルフォンシーナはベルナルドに向かって同じように頷く。
そして、二人は同時にベッリーニ侯爵の方へと視線を向けた。
「先程も話に出ましたが、タルディッリ男爵家の嫡男は、幼馴染であるシルヴェストリ侯爵夫人に長年想いを寄せておりまして………。夫人も少なからず彼に想いがあったにも関わらず、シルヴェストリ侯爵との結婚が決まったためにその想いを諦めたようで………。夫人は『国一番の淑女』と称される方ですから、夫以外の男との接触を避けようとしていたのでしょうな。………陛下もご覧になったでしょう?陛下主催の舞踏会で、タルディッリ男爵家の嫡男と、シルヴェストリ侯爵夫人が楽しそうに談笑する姿を…………」
事実とは全く異なる内容に、アルフォンシーナはすぐさま否定をしようとしたが、舞踏会での話が出ると、周囲の貴族達が頷くのが目に入り、固まった。
(…………陛下がわたくしたちをご覧になっていない事など明白なのに、わざわざ口に出したのは、この場に集められた方々の中で、わたくしたちが話している所を見ていた方がいる事を確認するためなのだわ………)
貴族社会の中では、些細な事がきっかけで噂が立ち、思わぬ結果を生むことも多い。
とりわけ男女の仲については、他愛もない世間話をしていただけなのに、互いに想い合っているだのという噂があっという間に出回ってしまう。
気を付けていたつもりだったが、あの時の行動は迂闊だったと、アルフォンシーナは今更ながら自分の行いを悔いた。
「お待ち下さい、陛下!」
フェルディナンドがちらりとベッリーニ侯爵を見ると、侯爵が唐突に叫んだ。
「事実はそうではありません!」
先程までの物凄い形相から表情を一変させ、悲壮そうな表情をフェルディナンドに向けた。
「………というと?」
フェルディナンドは興味深そうに片眉を上げた。
するとベッリーニ侯爵は一瞬だけ嗤い、ベルナルドの方を見るとフェルディナンドの方へと向き直る。
一体何を言い出すつもりだろうと、アルフォンシーナは不安気にベルナルドを見る。するとベルナルドは、アルフォンシーナが不安を感じていることに気がついたのか、黙ったまま、頷いた。
おそらくは、『どんな言い訳をするのか聞いてみろ』とでも言いたいのだろう。
アルフォンシーナはベルナルドに向かって同じように頷く。
そして、二人は同時にベッリーニ侯爵の方へと視線を向けた。
「先程も話に出ましたが、タルディッリ男爵家の嫡男は、幼馴染であるシルヴェストリ侯爵夫人に長年想いを寄せておりまして………。夫人も少なからず彼に想いがあったにも関わらず、シルヴェストリ侯爵との結婚が決まったためにその想いを諦めたようで………。夫人は『国一番の淑女』と称される方ですから、夫以外の男との接触を避けようとしていたのでしょうな。………陛下もご覧になったでしょう?陛下主催の舞踏会で、タルディッリ男爵家の嫡男と、シルヴェストリ侯爵夫人が楽しそうに談笑する姿を…………」
事実とは全く異なる内容に、アルフォンシーナはすぐさま否定をしようとしたが、舞踏会での話が出ると、周囲の貴族達が頷くのが目に入り、固まった。
(…………陛下がわたくしたちをご覧になっていない事など明白なのに、わざわざ口に出したのは、この場に集められた方々の中で、わたくしたちが話している所を見ていた方がいる事を確認するためなのだわ………)
貴族社会の中では、些細な事がきっかけで噂が立ち、思わぬ結果を生むことも多い。
とりわけ男女の仲については、他愛もない世間話をしていただけなのに、互いに想い合っているだのという噂があっという間に出回ってしまう。
気を付けていたつもりだったが、あの時の行動は迂闊だったと、アルフォンシーナは今更ながら自分の行いを悔いた。
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