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139.突然の手紙

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それから数日の間、アルフォンシーナは塞ぎ込んでいた。
原因は勿論、ベルナルドとの一件だ。
あの日以来、またベルナルドは姿を見せなくなってしまった。

せっかく歩み寄れたと思っていたのに、どうしてこのような事になってしまったのだろうーーー。

「………あの時、素直に自分の気持ちを伝えていれば良かったの…………?」

柔らかなクッションに顔を埋め、泣き出したいのを必死に堪えながら、アルフォンシーナは独り呟いた。
人払いをしてあるため、彼女以外は誰もいない部屋の中に、悲しげな声が虚しく響く。
どんなに後悔しても時間が戻るわけでもないのに、後悔の念に駆られ、アルフォンシーナは自分を責めることしかできなかった。

「………失礼します、奥様」

丁度その時、扉の外からソフィアの声がした。
彼女は優秀な侍女だ。だからこそ主人の命令に背くような真似はしないはずなのに、一体どうしたというのだろう。
アルフォンシーナは戸惑いながらも慎重に声を掛けた。

「………一人になりたいと伝えたはずだけれど…………何かあったのですか?」

すると、ソフィアは躊躇いがちに答えた。

「それが…………、その………。たった今、王城から使いの方が見えられまして…………」
「王城からの使い…………?」

ひょっとするとベルナルドに何かあったのではないか。
そう考えると居ても立ってもいられなくなる。
アルフォンシーナは立ち上がると、ソフィアを部屋の中へと招き入れた。

「一体、何があったの?!まさか、旦那様が…………?」

やや早口で訊ねると、ソフィアはふるふると首を横に振った。

「いえ、おそらく旦那様は関係ないかと思われますが………。とにかく、どうぞこちらをご覧くださいませ」

ソフィアは恭しく一通の手紙を差し出してきた。

「差出人は、王妃様………?」

受け取った手紙を広げて確認すると、実に流暢な文字がつらつらと綴られていた。
儚げな印象の、身重の王妃の姿を記憶の中から呼び起こす。
彼女とは前回の舞踏会の際に会話を交わした以外は、大した接点があったわけではない。
にも関わらず、書面を目で追っていくと、都合が良ければ自分の話し相手になる時間を取って欲しい、という信じがたい内容が記されていた。
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