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127.回復

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ベルナルドは数日後には全く問題なく日常生活を送れるようになった。
するとオリヴァーが止めるのも聞かずに、屋敷を出ていってしまったと聞いたアルフォンシーナは、呆然とするしかなかった。

「旦那様は…………、ルヌは特にどちらへ行かれるとも仰っていなかったのよね?」
「はい。それはいつものことですので………。ただ、奥様の周囲には特別気を遣うようにと言い残していかれましたよ」

神妙な面持ちで、けれどどこか嬉しそうにオリヴァーは告げた。
彼の目から見ても、ベルナルドとアルフォンシーナの関係は以前とは比べ物にならないほどに改善しているのだろう。
それはオリヴァーだけではない。ソフィアや他の使用人たちからも、ここのところ生温かい眼差しを向けられている気がするのは、おそらくそれが原因なのだろう。

「………そのように仰るならば、お顔位は見せて下されば良かったのに………」

オリヴァーの耳には届かぬほどの小さな声で呟くと、アルフォンシーナは立ち上がった。
そろそろ、ビアンカの見舞いに行く時間が近づいてきたことに気がついたからだ。

かなりの怪我を負っていたビアンカも、流石にベルナルドほどの身体能力のレベルがちがう「」少しずつではあるが快方へと向かっていた。
しかし、幾ら命に別状が無かったとは言っても、かなりの傷を負っているのは確かだった。

あの日に廊下でアルフォンシーナが耳にした侍女たちの会話の包帯は、ビアンカの為に掻き集められたらしいが、当然ながらベルナルドの怪我が発覚した後はビアンカよりもベルナルドの方に優先的に使われた。
それでもなお、あれだけの量の包帯で巻かれていることから、娼館で相当酷い扱いをされていたのだろう。

それを思うと居た堪れない気持ちになり、自己満足でしかないとは分かっていても、アルフォンシーナは毎日昼前と夕方頃の二回、ビアンカの様子を見に行っていた。

「ビアンカも、お忙しい奥様が一日に二度も顔を見せに来て下さるのが嬉しいと、申しておりましたよ」

穏やかな声でオリヴァーが教えてくれた。
自分のせいであんな目に遭ったというのに、まだ自分の事を慕ってくれているという事実に、アルフォンシーナは思わず涙が浮かんでくるの感じた。
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