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43.ブルーノの考え

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「………ごめん、そう………だよね………」

 悲しげに微笑むと、ブルーノは俯いた。

「いや…………君の言うとおりだよ。僕が、きちんとしなかったから…………。うん、僕の配慮が、足りなかったね………。………本当に、ごめん」

 消え入りそうな程に小さな声で呟く。

「………あ………」

 もしかしたら、傷付けてしまったのだろうか。
 ブルーノの表情を見て、アルフォンシーナははっとした。

「ご、ごめんなさい………。少し言いすぎてしまったみたいだわ………」

 何とか笑顔を取り繕うと、ブルーノもアルフォンシーナに笑顔を返した。
 そして、今度はそのままにこにこと微笑みながらアルフォンシーナに語りかけ始めた。

「いや………本当、アリーの言うとおりだよ。気が付かなくて…………ごめんね?に次に来る時は、ちゃんとルールを守るから………」
「…………次…………?」

 その発言からすると、ブルーノはまた単身で屋敷を訪ねてくるつもりだろうか。

「先に手紙を出すよ。君に似合う様な、キレイな花を添えてね」

 名案だ、とでもいうようにブルーノは満面の笑みをアルフォンシーナに向けてきた。
 しかしアルフォンシーナはそんなブルーノの様子がおかしいと思ってしまう。

「………気持ちは嬉しいけれど………」

 胸の前で手を組むと、アルフォンシーナはゆっくりと首を横に振った。

「………こんなことばかり言いたくないのだけど………。あのね、ブルーノ。わたくしはもう、パルヴィス伯爵家の娘ではなく、シルヴェストリ侯爵の妻なのよ。あなたとわたくしのどちらも未婚ならばともかく、既婚者であるわたくしと親密なやりとりをするのは、やはり少しおかしいのではないかしら?」

 なるべくブルーノを傷付けないように語りかける。
 すると、今度は一瞬だけ、悲しく、けれど物凄く冷たい表情を浮かべてみせた。

「………でも、君の夫は……………」

 しかし、ブルーノの表情はすぐにアルフォンシーナに縋るようなものに変わる。

「君の夫は、君を大事にしていないじゃないか!!」

 一番触れられたくない言葉をはっきりとぶつけられ、アルフォンシーナは大きく目を瞠る。
 血の気が引いていき、周囲の音は全て音も遠くなり、まるで水中にとじこめられているような、そんな感覚に陥った。
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