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14.舞踏会当日
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そうこうしているうちに、舞踏会当日がやってきた。
早朝から起き出して、舞踏会のための準備を始めたアルフォンシーナだったが、昼過ぎになってもベルナルドが屋敷に戻ったという報告が来ないことで、落ち着かない気持ちになっていた。
(流石に、国王陛下主催の舞踏会なのだから、出席しないなどということはない筈よね。それにお仕事でお忙しいのかもしれないし、想像で思い悩むのは良くないわ)
鏡台の前でふるふると頭を振ると、アルフォンシーナは眼の前にある大きな鏡をじっと見つめた。
緩やかに波打つ豊かで長い銀色の髪はソフィアの手によって優雅に結い上げられ、見つめられると吸い込まれてしまいそうな深いサファイア色の瞳が際立つように薄っすらと施された化粧は、彼女をより魅力的に魅せてくれている。
そして、悩みに悩んだ末に選んだ、彼女の瞳と同じ深いサファイア色のドレスと、同じ色の控え目な宝飾品は、思った通り派手過ぎず、適度な華やかさがあった。
若干顔色が悪くも見えるが、シルヴェストリ侯爵夫人としての品位を保ててはいるだろう。
アルフォンシーナはソフィアとビアンカに礼を言うと、立ち上がった。
「…………?」
ふと窓の外に目を遣ると、屋敷の前に一台の馬車が停まったのが見えた。
無駄に豪奢な外見の、窓に目隠しを施した馬車には、全く見覚えがなかった。
おそらくは貴族のものではないのだろう。
ならば、一体誰が乗っているのだろうーーー。
覗き見などはしたないと思いながらも好奇心が先に立ち、つい目が離せなくなってしまう。
暫くすると馬車の扉が開き、中から着衣をやや着崩したベルナルドが、姿を現した。
そして、馬車の中にいる人物に親しげに笑い掛け、手を振るのが見えた。
その光景を見た瞬間、アルフォンシーナは心の奥がすうっと冷たくなるのを感じた。
馬車の中にいたのは、先程まで愛を交わした相手なのだろうか。
馬車で屋敷まで送って来たということは、それなりに資産のある年上の女性なのだろうか。
相手が女性だとは限らないのに、そんな考えばかりが浮かんでくる。
いつもならば、自分の弱い心を叱咤していたが、そんな気すらも起こらなかった。
そんな己が惨めに思えて、アルフォンシーナはそっと窓から目を背けた。
早朝から起き出して、舞踏会のための準備を始めたアルフォンシーナだったが、昼過ぎになってもベルナルドが屋敷に戻ったという報告が来ないことで、落ち着かない気持ちになっていた。
(流石に、国王陛下主催の舞踏会なのだから、出席しないなどということはない筈よね。それにお仕事でお忙しいのかもしれないし、想像で思い悩むのは良くないわ)
鏡台の前でふるふると頭を振ると、アルフォンシーナは眼の前にある大きな鏡をじっと見つめた。
緩やかに波打つ豊かで長い銀色の髪はソフィアの手によって優雅に結い上げられ、見つめられると吸い込まれてしまいそうな深いサファイア色の瞳が際立つように薄っすらと施された化粧は、彼女をより魅力的に魅せてくれている。
そして、悩みに悩んだ末に選んだ、彼女の瞳と同じ深いサファイア色のドレスと、同じ色の控え目な宝飾品は、思った通り派手過ぎず、適度な華やかさがあった。
若干顔色が悪くも見えるが、シルヴェストリ侯爵夫人としての品位を保ててはいるだろう。
アルフォンシーナはソフィアとビアンカに礼を言うと、立ち上がった。
「…………?」
ふと窓の外に目を遣ると、屋敷の前に一台の馬車が停まったのが見えた。
無駄に豪奢な外見の、窓に目隠しを施した馬車には、全く見覚えがなかった。
おそらくは貴族のものではないのだろう。
ならば、一体誰が乗っているのだろうーーー。
覗き見などはしたないと思いながらも好奇心が先に立ち、つい目が離せなくなってしまう。
暫くすると馬車の扉が開き、中から着衣をやや着崩したベルナルドが、姿を現した。
そして、馬車の中にいる人物に親しげに笑い掛け、手を振るのが見えた。
その光景を見た瞬間、アルフォンシーナは心の奥がすうっと冷たくなるのを感じた。
馬車の中にいたのは、先程まで愛を交わした相手なのだろうか。
馬車で屋敷まで送って来たということは、それなりに資産のある年上の女性なのだろうか。
相手が女性だとは限らないのに、そんな考えばかりが浮かんでくる。
いつもならば、自分の弱い心を叱咤していたが、そんな気すらも起こらなかった。
そんな己が惨めに思えて、アルフォンシーナはそっと窓から目を背けた。
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