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15.護衛騎士ドミニク

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暫くして、エブリンが戻ってきた。

「既に公爵様からお話があったようで、これから護衛騎士の方が迎えに行く来てくださるそうですわ」

そう言えば、朝方にそんなような事をアデルバート様が仰っていたわね。

「私ももちろんご一緒しますから、万が一気分が悪くなったら仰って下さいね?」
「大丈夫よ。エブリンは心配性ね」
「お嬢様がいつもご無理をなさるからそうなったのです」

ふふっとエブリンが笑った時、扉がノックされた。

「どうぞ」

私が声をかけると、背の高い、赤毛を短く刈り込んだ青年が入ってきた。

「この度、黒焔公爵様より奥方様の護衛騎士を仰せつかりました、ドミニク・ベンジャミンと申します。よろしくお願い致します」

爽やかな雰囲気の、ドミニクと名乗った青年は、騎士の礼を取った。

「私は、シャトレーヌと申します。ドミニク、これから世話になりますがどうぞよろしくお願いしますね」

私は精一杯「奥様スマイル」を作ってドミニクに微笑んだ。

「はい!」

ドミニクは、元気いっぱいに答えてくれた。

「本日は、イースボル城のご案内をさせていただきます。城内は比較的安全ですが、それでも決して俺から離れないでください」

ドミニクの言葉に私は首を傾げた。

「それは、どういうことかしら?」
「黒焔公爵様から聞いていませんか?城の中にも、異民族の間者が入り込む事があるんです。警備はしっかりしているのですが、奴らもかなり魔法の腕を磨いてきていますからね」

王都では考えられないような話に、私は驚きを隠せない。
ここは安全な王都ではなく、常に侵略や襲撃に晒されている最前線ということを思い知らされる。

「あ、あの基本的に奥方様が部屋を出られる時は、俺か黒焔公爵様が付きますし、心配されなくても大丈夫ですよ!」

私の反応に、ドミニクが慌てて弁明する。

「もちろん、分かっているわ。ただ、やはり王都とは違う所に来たのだなって、実感していたの」

私がそう説明をすると、ドミニクは安堵した表情を浮かべた。……何だか、人懐こい大型犬みたいだわ。

「いざというときは、俺が命に代えても守りますから!!」
「……いざという時が来ないことを祈っているわね」

私は、苦笑しながらそう答えた。命に代えられたら困ってしまうのだけど。

「では、そろそろ参りましょうか」

ドミニクが、恭しくお辞儀をした。
そんなドミニクを、エブリンがうっとりとした目で見つめているのを横目で見ながら、私は淑女の礼で返した。
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