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第二章
慣らしてあげる R18
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そのお守りのアンクレットは何だかんだで結構な威力を発揮した。毎日あんなに痛くてたまらなかった背中はよっぽど強い願い事が頭に流れ込まない限り我慢できるようになったんだ。
だからこの2ヵ月旅は順調で、ついでに俺と空良の中も順調に進んでる。
「ん、ん……、ぁ……」
口の中を自分とは違う体温が蠢く不思議な感覚に最初こそ戸惑い羞恥を感じたりしたものの、今ではそうされると頭がぼんやりとして思考がまとまらなくなるくらい気持ちがいい。ちゅ、と音をたてて離れた唇が何だか名残惜しく思わず見つめていると小さく笑う声がした。
「浅葱、可愛い」
いつもなら怒るところだけど、今は頭がぼんやりしてて頬を撫でる俺より大きな手の平に擦り寄る。
「……ねぇ、そろそろ先、進んでもい?」
「……ん、先……って……?」
言いながら
――こういうキスで固まらなくなったら抱くからね
という言葉を思い出してキスの余韻が吹き飛んだ。
「や、やだ……、それは……っ」
怖い、って言いかけた唇がまた空良の唇に塞がれて声が吸い込まれてしまう。ぬるぬる動く舌に絡めとられて擦られて、どっちのかもわからない唾液を飲み下す頃にはまた頭はぼんやり状態。くったり力の抜けた俺の体を抱き直した空良が
「怖い事はしないから……ね?」
なんて言いながら俺の足から器用にズボンを剥ぎ取ってしまった。外気の冷たさと何が起きるかわからない恐怖にふるりと震えたら、宥めるようなキスが顔中に降ってきてドキドキする。
「今日は浅葱が気持ちいい事しかしないよ」
「ひ……!?」
下着の上から自分でも滅多に弄らないそこを撫でられて驚きと混乱と恐怖で声が漏れた。
「そ、空良……、ヤ……」
「大丈夫、大丈夫だから、ね?自分でしたことある?」
こっちにきて少しした頃、体に起こった異変が何なのかわからず恐怖を感じて泣いてた俺に、その現象の意味と鎮め方を教えてくれたのは秕だった。
「恥ずかしい事じゃないから」「大人になるのに必要な事だから」「今度からは自分でするんだよ」って泣きじゃくる俺を宥めてくれた記憶が甦る。
あんなに優しかったのに、って思い出したら悲しくなってしまう。意識が逸れた俺に空良は気付いたみたいで、また意識を根こそぎ持ってかれるくらいのキスをされた。
「ふ、ぁ……」
絡んだ舌が離れると間にツ……、と糸が引いて、空良が小さく笑いながら、唾液が粘つくのお互い気持ちいい時なんだって、とか嘘か本当かわからない事を言う。
でも俺はホントに気持ちよくてまたぼんやりしてたから次の空良の手の動きを止め損ねた。
「ゃ……!?」
下着の中に入り込んだ手が僅かに反応してしまっていた熱に触れる。
「やだ、空良……!」
「ね、浅葱。自分でしたことある?」
ゆるゆる小さく動く指がとてつもない羞恥を運んできて質問に答える所じゃない。何とか空良の手を止めさせようと両手で押さえたら強めに擦られて
「ひぁあ……!」
力が抜けた。
「ねぇねぇ、教えて?」
何でそんな事知りたいんだよ!って怒鳴ってやりたいけど微妙な力加減で刺激されたら何もかもぶっ飛んじゃう感じがして
「た、まに……」
聞かれるままに答える。
答えたらまるでご褒美のようにキスされて今度は、誰かに教わったの?って。
「し、な……、教えて、……れた……ぁ、や、空良……、それ、やだぁ……!」
「ふーん……」
ちょっとだけムッとした空良が敏感な箇所をグリグリ指の腹で刺激してくるから悲鳴みたいな声が出た。
「俺が教えてあげたかったのに」
「しょ、がない……だろ……っ」
空良はいなかったんだから。
あの頃俺が頼れたのは秕だけで、……秕だけだったのに。
小さな頃父親が病気で亡くなって、物心ついた時には母親と姉二人って女ばかりに囲まれてた俺は“年上の男の人”っていう存在に憧れがあった。だから秕が俺の面倒を見てくれるようになった時、知らない世界に飛ばされて何が起きてるかわからなくて怖くて不安な中ほんのちょっとだけ、お兄ちゃんが出来た気がして嬉しかった。
「浅葱、またあいつの事考えてる」
「だって……」
「……あいつの事好きなの?」
好き?
…好きなのは好きだ。それはこういうことしたい好きとは違うけど。
「秕は、……兄ちゃんなんだ」
兄ちゃんだ。
今は俺とほとんど目を合わせてくれない、優しくしてくれない、俺には笑ってくれないけど、兄ちゃんだったんだ。
「……泣かないで、浅葱」
気付いたら頬を熱い涙が流れてて、空良が手の平で拭ってくれる。
「大丈夫だよ、俺がいるから」
俺は何があっても浅葱の味方だから、ってまた深く深くキスされて熱を持った力の入らない体を空良に預けた。よくわからないけど、そうするのが自然な気がしたから。
「……んっ、……んっ、」
クチュ、クチュ、ってもう耳を塞いでしまいたくなるくらいの水音がして全身はへにゃへにゃになってるけど、それでも何とか声を抑えようと空良の肩に口を押し付けながら服に噛みついた。
「浅葱、気持ちい?イきそう?まだ怖い?」
「……っき、そ……っ、」
「ん?何?」
「イ、きそ……っから、離……、て……っ」
自分でやるのと全然違う。気持ちよくて頭がどうにかなりそう。
それがやっぱり怖くてもう一度離してって言ったのに、空良はにんまりと意地悪気に笑った。
「へへ、俺の手で感じてくれてるの嬉しい。このままイかせたげる」
「え、や……っ!」
先端をくる、と指の腹で撫でられて体が大袈裟なくらいビクン!って跳ねる。
「やだ、ダメって、離せ……っ!」
「いいから、ほら……」
「あ、嘘、やぁ……っ!」
さっきよりも少し強め、早く出せとでも言いたげに擦られて声抑えなきゃ、とか恥ずかしい、とか頭の中がグチャグチャになって
「あ、ダメ……!ホントに、イっちゃう、から……っやだ、やだ、――――ひ、や、……っあぁぁぁぁッ!!」
弾けた。
「あ、ン……っ、」
ヒクン、ヒクン、とまるで別の誰かが支配してるみたいに勝手に跳ねる体とあまりの快楽に思考が真っ白になった俺に空良はくすくす笑ってる。
「浅葱、可愛い……。気持ちかった?」
「……や、やだって言ったのに……っ」
我に返ったら羞恥で死にそうになった。自分でやるのだって恥ずかしくてたまらないこの行為をまさか人に、それも子供の頃から知ってる親友に……今は恋人だけど、それでも空良にされると思わなかったし。
空良は真っ赤になった俺の頬に口付けて、また
「可愛いね、浅葱」
って笑う。
「可愛くない!」
「えー?可愛いよ。ね、次進んでもいい?」
相変わらず笑いながら指先でスル、と俺の頬を撫でて最後は耳元で囁いて。その一連の動作が何だか慣れを感じさせて、これで付き合った事ないとか嘘だと思う。
というかその前に次って何だ?
「次……?」
「出して終わりじゃないよ?男同士はココ、使うの」
「!?」
頬を撫でた指先がツ、とあり得ない場所を同じように撫でて度肝を抜かれる。
え、嘘だろ?だってそこ入れるとこじゃないよ。出るとこだよ!
「や、さ、触るな……っ」
「だって慣らさないと痛いよ~?」
「嫌だ、そこ……汚いっ」
「浅葱だから汚くないもん」
「意味わかんないし!」
「大丈夫だって。今日は指一本しか挿れないから」
指一本、しか!?しかって何だ、しかって!一本入れるだけでもおかしくないか!?だって出るとこだから!
「いやいやいや、待って。そんなとこ入らないって!」
さっきまでの雰囲気だとか余韻は吹き飛んで、とにかく必死で首を振る。入るわけない、無理、って押し退けようとする俺の手を避けながら
「いいからいいから」
なんてどこか楽しそうに言われて声を荒げるけど、
「いいわけあるか!やだやだ!触るな!ひぅ……っ!」
さっき絶頂迎えたばかりのそこをキュゥ、って握られて変な悲鳴が出た。
「ぁ、や……っ」
さっきのでヌルついてるからか滑りが良くて違った感覚に背中がゾクゾクする。
「ふぁ、あ……っ」
「ダメ、逃がしてあげない」
「ひ、やだ!空良イヤだ……っ、」
嫌だって思って体を捩ってたら、空良を跨ぐように座らされて上半身抱え込まれた俺の無防備な穴にツプ、っと空良の指が入り込んだ。
「いやぁ……っ!汚いって、言ってるのに……っ」
「もー、いいからホラこっち。集中して?」
「んぁぁ……!」
握った指をくにゅくにゅと動かされて、空良の肩を押して逃れようとしてたのに逆に縋る羽目になる。しかも変に動いた所為か空良が故意に押し込んだか若しくはどっちもか、第一間接で止まってた指がグッとさらに奥に挿ってきて一瞬息が止まった。
「こら、ちゃんと息しなさい」
気づいた空良が苦笑い。
何とか酸素を取り込むけど、有り得ない事態に頭がついていってない。
何、何が起きてるんだ。このケツの違和感はなんだ。穴ん中でグニグニ動いてるこいつは何なんだ。
だから、空良の指だって。自分で自分に突っ込み入れて、
「やだ、やだぁ……っもうやだぁぁ……っ」
急に怖くなった。いきなり号泣しだした俺に流石の空良もギョッ、として動きを止める。
「ご、ごめん、浅葱。ごめんね?怖かったの?嫌だった?気持ち悪い?」
「……ひ、っ、バカぁ……!空良のバカぁ!や、って言ってる、のにぃ……っ」
「ごめんね、浅葱……。俺とするの、無理?そんなに嫌?」
「うぅー……っバカぁ……っ空良のバカぁぁ……」
よしよし、って背中を撫でてくれる手の平が優しくてちょっと落ち着いてしゃくりあげながら見上げたら、空良が何か捨て犬みたいな顔をしてた。
「ごめんね?……大丈夫?」
「ん……」
こくん、と頷くと額にちょん、と口付けられてドキドキする。
「……そんなに嫌だと思わなくて……あの、ごめんなさい……。俺とするの、もう嫌?」
「ち、違……、そうじゃない……。嫌とかじゃ、なくて……っ」
だからそんな捨て犬みたいな目で見るな!何か凄い罪悪感!
「い、嫌とかじゃ、なくて……っだって、俺初めてで、こんなの……っどうしていいかわかんないし!それにそこ出るとこ……」
「ん、でもね?男同士はここしか挿れるとこないの……」
無理に挿れようとしなくてよくない!?
「……俺とするのが嫌なわけじゃない?俺の事嫌いになってない?」
「嫌いにはならない」
だからその捨て犬の目をやめろー!
「……ホント?ホントに嫌いにならない?だったら、ちょっと続きさせて?痛くしないから」
「……だ、だって……怖いもん……っ。変な声、出るし……」
空良は一瞬キョトンとしてから微笑んだ。
「怖いとか考えられないくらい気持ちくしてあげる」
「へ?……わぁ!?」
いとも簡単にくるん、と体が反転してうつ伏せにされて何が起きたか考えてる間にグッと腰を持ち上げられて、腰だけ上げた何とも恥ずかしい体勢をとらされる。気付いて暴れる前に号泣して萎えちゃった俺のそこに手が絡み付いて、
「や、ぅう~」
もう声を出すまいと枕に噛みついたら背中にちゅ、と口付けてた空良がくすくす笑った。
「声、聞かせてよ」
無言で首を振る。
だって!今まで頭真っ白で何も考えてなかったけど、部屋の外には秕達がいるのに!かなり今さらだけどその事に気が付いたら空良に聞かれるのが恥ずかしい、以上の羞恥が襲ってきて全身熱い。
このまま溶けそう……。
「あは、浅葱首まで真っ赤。可愛い」
可愛い可愛い言い過ぎだし!てか、可愛くないし!
「……ん!」
なんて頭の中でぷんぷんしてる間に空良の手が動き出して体が跳ねた。
「ねぇ、ゆっくりが好き?早い方がいい?もっと強くする?」
強弱つけて擦られてまた頭が真っ白になっていく。下腹辺りからゾワゾワと全身に侵食していく気持ちよさがたまらなくて
「ぁ、ゃ……っんー……っ」
声が出そうになって慌てて枕に顔を押し付けた。
「浅葱、ダメ。声聞きたい」
「やだ!」
叫んで枕を抱き締めて顔を埋める。
もう絶対声出さない!そんな固い決意が滲み出たのか苦笑のようなため息のような吐息が耳にかかって、それだけでもゾワリとしちゃって、自分の体なのに自分で制御できない。
「……っぅ……!」
諦めたらしい空良が本格的に動き出した。前に回った手の平はクチュクチュと音をたてて動いて、後ろに挿っちゃってる指は掻き回すみたいに動いたり拡げるように動いたり。
最初は異物感しかなかったのに熱を擦られてる内にわけがわかんなくなって
「ぁ、――――っ、ん……っ」
…わけわかんないくらい、気持ちいい、かも。
「――――ん、……ぅ、空良、ゃ……!」
「……もう一本、いけるかな……」
「!?」
な、何か恐ろしい事言ってる!
「いけるか!もう入んないから!」
本気で怖くて半泣きで止めたらさっきの号泣が効いたのか、
「……そうだね。今日は1本だけ、って言ったもんね」
そう言ってくれてホッとしたのも束の間。
「毎日ちょっとずつ慣らしていくから」
毎日!?聞き捨てならない一言に文句を言おうとした唇を塞がれた。
「ふぅ……っ、ん、」
空良のキスは気持ちいい。……キスも初めてだったから他と比べようもないんだけど、とりあえず初キスが下手すぎてトラウマになる事はなさそう。むしろ割りと好きかも知れない。
なんて考えてる間に一度止まった手がゆるゆる動きだす。
「ひにゃぁ……っ!」
ビクッ、と逃げようとして下がった勢いで当たって気が付いた。
(――空良、の、勃ってる……!)
「……っ、」
動揺しすぎて思わず振り返って見つめてしまう。
「……あの、あんまり見られると恥ずかしいなぁ」
「……俺、も……」
「ん?」
「俺も、空良の……触る」
「……はい?」
いや、はい?じゃないよ。人の散々弄っといて何だその反応は!
「さっきから俺ばっか恥ずかしい気がする。俺も空良の触る!」
ムッと声を張り上げたら空良は何だか困った顔。でも指を動かすのはやめない。
「んんー!も、動かすのやめろ……!」
「う~ん……」
聞いてるのかこいつは!いや聞いてない、絶対聞いてない。しかも何か考えてる風だから無意識に違いない!無意識に人の穴弄りまくるってどういうことだ。こっちは違和感ありまくりなんだけど!
中で動きまくる指の動きに耐えてたらぬるっ、とした感触を残して指が出てった。
「……じゃあ、浅葱こっち向いて」
カチャカチャ聞こえるな~、とか軽く考えながら振り返って思わず手の平で顔を覆ってしまった。
だって!空良服脱いだ!丸出しだった!いや、俺もだけど。きゃーって小さく女の子みたいな悲鳴を漏らしたら空良に引き寄せられてさっきまで感じられなかった素肌の感触。
「……触るのやめとく?」
「やめない!」
手の平下げたら目の前に空良の顔。
「ん、……ぅん……」
また深いキスされて、意識がぼんやりしてきた辺りでぐいっと腰引き寄せられて、ショックな事に俺より相当ご立派な空良の熱と俺のが当たった。
顔が引きつった事に気付いたのか空良は心配げに訊いてくる。
「浅葱、ホントにするの?」
「やる……」
俺だって男なんだからやられっぱなしなのは嫌だ。キスでぼんやりしてる頭のままそう思って頷くと二人分の熱を握り込むように誘導されて驚いて手を離しかけ……なんとか踏みとどまった。
だって俺の手が触れた瞬間一瞬空良が反応したから。
俺ばっかり反応しまくって恥ずかしい思いしてたからちょっと嬉しくなってゆる、っと動かしたら
「ぅ、ぁん……っ!」
自分の熱も握り込んでるからゾクッとして……ってこれ、俺にも恥ずかしい事起きるじゃん!やっぱり無理!
手を離しかけたそこへ空良の俺より大きな手の平が重なった。
「ダメだよ、もうタイムオーバー」
「は?……あ!ちょ、やだ、動かすな……っ!ン、だめ……」
空良に縋りついてちょっと浮いた尻の下でモゾモゾ何かが動く感覚がして、まさか、と思ったら。
「やぁ……!また挿れた……っ」
せっかく抜けて安心してた指がまた挿ってきて
「ゆっくり慣らしていくって言ったでしょ。ホントは今すぐ浅葱と繋がりたいんだよ?」
熱くて荒い息をついた空良にそう囁かれ、その低い声にゾクゾクする。
ヤバイ、何かすごい色っぽい?っていうか何て言うか……、心臓が煩すぎて痛くなってきた……。
「ね、浅葱……。俺も気持ちくして……?」
「……っ、ぅ、ん……」
吐息に乗った囁き声がだめ押しになって、頭が沸騰しそうなくらいの混乱と羞恥と少しの恐怖感の中、ゆっくり手を動かす。空良の手は今は添えてあるだけ。
俺が逃げないように、なのか、それか俺のペースでいいって言う意味なのかはわからないけど特に主導権を握る気はないみたい。代わりに後ろに挿ったまんまの指はグニグニと動き回ってる。一本でこんなに違和感があるのに、こ……こんな、でっかいの……入る、のかな……。
チラ、と視線を落とせばホントにご立派なモノが見えて、一緒に握ってる俺のがものすごくこじんまりして……さっきまでとは違う意味で泣きそうになった。
「どうしたの?」
気付いたらしい空良がでこにちゅ、とキスして覗き込んできたから思わず口を尖らせる。
「空良、ずるい……」
「え?何が」
「でかくてずるい……」
きょとん顔で首を傾げるから、一度手を動かして止めると、何が言いたいかわかったらしくてふにゃっと笑った。
「んー、体格とかもあると思うけど……今は浅葱に触れてるから、だよ。さっきからホントに我慢してるんだからね?」
「……そ……、そう、なのか……」
た、確かにちょっと……ヌルヌル、してるかも……。
正直一人でするときこの状態で我慢する、なんてないからわかんないけど、ってことは裏を返せばここまできたら我慢できないって事だよな?その状態で我慢してる空良すごい。
とにかく、今は集中して……。
見ながらやるのが恥ずかしくて、空良の肩に縋って目を閉じる。それはそれで余計色んなものを感じ取っちゃって困るんだけど視覚に入るよりはいい、と思う。
「ぁ、はぁ……っ、ん!」
「……っ、浅葱、上手だね。気持ちいいよ……」
耳朶を甘噛みされたかと思ったら掠れた声でそう囁かれて全身がゾワ、と粟立った。
慣れてる!絶対慣れてる!付き合ったことないとか嘘だな!?
そう言ってやろうと口を開きかけた時、今まで添えるだけで動かなかった空良の手が動き出す。
「ぁ、ひ……っ!?」
グリグリと先端を刺激されて、かと思えば俺の手ごと全体を擦ったり。
「や、ぁあ……――んぁぁ!」
仰け反った勢いで中の指が変なとこ掠めて、視界は一瞬真っ白。
「ん……、イッちゃったの……?でもごめん。もうちょい付き合って、ね?」
ビクビク震えてる俺を気遣いつつも空良の手が激しさを増す。
「いや!だめ……っ、今、だめ!空良、空良!やだぁ……っ!あ、ぁん!や、ぃやぁ……ッ」
「ごめん……っ、もうちょっと……!」
「あ、やだぁ……っ、――ぃ……っ、!!」
俺が息を詰めるのと同時、空良もくっ、と息を詰めて色と勢いをなくしつつある俺のと空良のが混じって互いの体を汚した。
暫く部屋に響くのは互いの荒い息遣いだけ。
「わ!?」
ふぅ、と大きく息を吐いた空良に抱かれたままポスンとベッドに倒れ込んで驚いてる間に体勢が変わった。横向きで空良に抱き込まれてる状態。俺の頭の下には空良の腕。
腕枕…っ!?何これ何これ!何か恥ずかしい!
「気持ちよかった?」
一人でパニックになってる俺にくすくす笑いながら唇をなぞってくる空良の余裕ぶりがちょっとムカつく!
噛み付いてやろうとした指に逃げられて思わず唇を尖らせたら益々空良は楽しそうに笑い出して、ちょっとの間ムッとしてたけど釣られて笑ってしまった。
「へへ、すっごい幸せ~」
ギュッ、って胸に抱き寄せられた後聞こえた声に顔が熱くなる。
だ、だって凄い嬉しそうに言うから……照れるっていうか……。
「浅葱、大好き!」
「あ……、うん……」
てゆーかよくそんな事恥ずかしげもなく言えるな!さては日本男児じゃないな!?ホントにニコニコと嬉しそうだからその突っ込みは飲み込んで、でも照れ臭いのは隠せなくて空良の胸にデコ擦り付けた。
だからこの2ヵ月旅は順調で、ついでに俺と空良の中も順調に進んでる。
「ん、ん……、ぁ……」
口の中を自分とは違う体温が蠢く不思議な感覚に最初こそ戸惑い羞恥を感じたりしたものの、今ではそうされると頭がぼんやりとして思考がまとまらなくなるくらい気持ちがいい。ちゅ、と音をたてて離れた唇が何だか名残惜しく思わず見つめていると小さく笑う声がした。
「浅葱、可愛い」
いつもなら怒るところだけど、今は頭がぼんやりしてて頬を撫でる俺より大きな手の平に擦り寄る。
「……ねぇ、そろそろ先、進んでもい?」
「……ん、先……って……?」
言いながら
――こういうキスで固まらなくなったら抱くからね
という言葉を思い出してキスの余韻が吹き飛んだ。
「や、やだ……、それは……っ」
怖い、って言いかけた唇がまた空良の唇に塞がれて声が吸い込まれてしまう。ぬるぬる動く舌に絡めとられて擦られて、どっちのかもわからない唾液を飲み下す頃にはまた頭はぼんやり状態。くったり力の抜けた俺の体を抱き直した空良が
「怖い事はしないから……ね?」
なんて言いながら俺の足から器用にズボンを剥ぎ取ってしまった。外気の冷たさと何が起きるかわからない恐怖にふるりと震えたら、宥めるようなキスが顔中に降ってきてドキドキする。
「今日は浅葱が気持ちいい事しかしないよ」
「ひ……!?」
下着の上から自分でも滅多に弄らないそこを撫でられて驚きと混乱と恐怖で声が漏れた。
「そ、空良……、ヤ……」
「大丈夫、大丈夫だから、ね?自分でしたことある?」
こっちにきて少しした頃、体に起こった異変が何なのかわからず恐怖を感じて泣いてた俺に、その現象の意味と鎮め方を教えてくれたのは秕だった。
「恥ずかしい事じゃないから」「大人になるのに必要な事だから」「今度からは自分でするんだよ」って泣きじゃくる俺を宥めてくれた記憶が甦る。
あんなに優しかったのに、って思い出したら悲しくなってしまう。意識が逸れた俺に空良は気付いたみたいで、また意識を根こそぎ持ってかれるくらいのキスをされた。
「ふ、ぁ……」
絡んだ舌が離れると間にツ……、と糸が引いて、空良が小さく笑いながら、唾液が粘つくのお互い気持ちいい時なんだって、とか嘘か本当かわからない事を言う。
でも俺はホントに気持ちよくてまたぼんやりしてたから次の空良の手の動きを止め損ねた。
「ゃ……!?」
下着の中に入り込んだ手が僅かに反応してしまっていた熱に触れる。
「やだ、空良……!」
「ね、浅葱。自分でしたことある?」
ゆるゆる小さく動く指がとてつもない羞恥を運んできて質問に答える所じゃない。何とか空良の手を止めさせようと両手で押さえたら強めに擦られて
「ひぁあ……!」
力が抜けた。
「ねぇねぇ、教えて?」
何でそんな事知りたいんだよ!って怒鳴ってやりたいけど微妙な力加減で刺激されたら何もかもぶっ飛んじゃう感じがして
「た、まに……」
聞かれるままに答える。
答えたらまるでご褒美のようにキスされて今度は、誰かに教わったの?って。
「し、な……、教えて、……れた……ぁ、や、空良……、それ、やだぁ……!」
「ふーん……」
ちょっとだけムッとした空良が敏感な箇所をグリグリ指の腹で刺激してくるから悲鳴みたいな声が出た。
「俺が教えてあげたかったのに」
「しょ、がない……だろ……っ」
空良はいなかったんだから。
あの頃俺が頼れたのは秕だけで、……秕だけだったのに。
小さな頃父親が病気で亡くなって、物心ついた時には母親と姉二人って女ばかりに囲まれてた俺は“年上の男の人”っていう存在に憧れがあった。だから秕が俺の面倒を見てくれるようになった時、知らない世界に飛ばされて何が起きてるかわからなくて怖くて不安な中ほんのちょっとだけ、お兄ちゃんが出来た気がして嬉しかった。
「浅葱、またあいつの事考えてる」
「だって……」
「……あいつの事好きなの?」
好き?
…好きなのは好きだ。それはこういうことしたい好きとは違うけど。
「秕は、……兄ちゃんなんだ」
兄ちゃんだ。
今は俺とほとんど目を合わせてくれない、優しくしてくれない、俺には笑ってくれないけど、兄ちゃんだったんだ。
「……泣かないで、浅葱」
気付いたら頬を熱い涙が流れてて、空良が手の平で拭ってくれる。
「大丈夫だよ、俺がいるから」
俺は何があっても浅葱の味方だから、ってまた深く深くキスされて熱を持った力の入らない体を空良に預けた。よくわからないけど、そうするのが自然な気がしたから。
「……んっ、……んっ、」
クチュ、クチュ、ってもう耳を塞いでしまいたくなるくらいの水音がして全身はへにゃへにゃになってるけど、それでも何とか声を抑えようと空良の肩に口を押し付けながら服に噛みついた。
「浅葱、気持ちい?イきそう?まだ怖い?」
「……っき、そ……っ、」
「ん?何?」
「イ、きそ……っから、離……、て……っ」
自分でやるのと全然違う。気持ちよくて頭がどうにかなりそう。
それがやっぱり怖くてもう一度離してって言ったのに、空良はにんまりと意地悪気に笑った。
「へへ、俺の手で感じてくれてるの嬉しい。このままイかせたげる」
「え、や……っ!」
先端をくる、と指の腹で撫でられて体が大袈裟なくらいビクン!って跳ねる。
「やだ、ダメって、離せ……っ!」
「いいから、ほら……」
「あ、嘘、やぁ……っ!」
さっきよりも少し強め、早く出せとでも言いたげに擦られて声抑えなきゃ、とか恥ずかしい、とか頭の中がグチャグチャになって
「あ、ダメ……!ホントに、イっちゃう、から……っやだ、やだ、――――ひ、や、……っあぁぁぁぁッ!!」
弾けた。
「あ、ン……っ、」
ヒクン、ヒクン、とまるで別の誰かが支配してるみたいに勝手に跳ねる体とあまりの快楽に思考が真っ白になった俺に空良はくすくす笑ってる。
「浅葱、可愛い……。気持ちかった?」
「……や、やだって言ったのに……っ」
我に返ったら羞恥で死にそうになった。自分でやるのだって恥ずかしくてたまらないこの行為をまさか人に、それも子供の頃から知ってる親友に……今は恋人だけど、それでも空良にされると思わなかったし。
空良は真っ赤になった俺の頬に口付けて、また
「可愛いね、浅葱」
って笑う。
「可愛くない!」
「えー?可愛いよ。ね、次進んでもいい?」
相変わらず笑いながら指先でスル、と俺の頬を撫でて最後は耳元で囁いて。その一連の動作が何だか慣れを感じさせて、これで付き合った事ないとか嘘だと思う。
というかその前に次って何だ?
「次……?」
「出して終わりじゃないよ?男同士はココ、使うの」
「!?」
頬を撫でた指先がツ、とあり得ない場所を同じように撫でて度肝を抜かれる。
え、嘘だろ?だってそこ入れるとこじゃないよ。出るとこだよ!
「や、さ、触るな……っ」
「だって慣らさないと痛いよ~?」
「嫌だ、そこ……汚いっ」
「浅葱だから汚くないもん」
「意味わかんないし!」
「大丈夫だって。今日は指一本しか挿れないから」
指一本、しか!?しかって何だ、しかって!一本入れるだけでもおかしくないか!?だって出るとこだから!
「いやいやいや、待って。そんなとこ入らないって!」
さっきまでの雰囲気だとか余韻は吹き飛んで、とにかく必死で首を振る。入るわけない、無理、って押し退けようとする俺の手を避けながら
「いいからいいから」
なんてどこか楽しそうに言われて声を荒げるけど、
「いいわけあるか!やだやだ!触るな!ひぅ……っ!」
さっき絶頂迎えたばかりのそこをキュゥ、って握られて変な悲鳴が出た。
「ぁ、や……っ」
さっきのでヌルついてるからか滑りが良くて違った感覚に背中がゾクゾクする。
「ふぁ、あ……っ」
「ダメ、逃がしてあげない」
「ひ、やだ!空良イヤだ……っ、」
嫌だって思って体を捩ってたら、空良を跨ぐように座らされて上半身抱え込まれた俺の無防備な穴にツプ、っと空良の指が入り込んだ。
「いやぁ……っ!汚いって、言ってるのに……っ」
「もー、いいからホラこっち。集中して?」
「んぁぁ……!」
握った指をくにゅくにゅと動かされて、空良の肩を押して逃れようとしてたのに逆に縋る羽目になる。しかも変に動いた所為か空良が故意に押し込んだか若しくはどっちもか、第一間接で止まってた指がグッとさらに奥に挿ってきて一瞬息が止まった。
「こら、ちゃんと息しなさい」
気づいた空良が苦笑い。
何とか酸素を取り込むけど、有り得ない事態に頭がついていってない。
何、何が起きてるんだ。このケツの違和感はなんだ。穴ん中でグニグニ動いてるこいつは何なんだ。
だから、空良の指だって。自分で自分に突っ込み入れて、
「やだ、やだぁ……っもうやだぁぁ……っ」
急に怖くなった。いきなり号泣しだした俺に流石の空良もギョッ、として動きを止める。
「ご、ごめん、浅葱。ごめんね?怖かったの?嫌だった?気持ち悪い?」
「……ひ、っ、バカぁ……!空良のバカぁ!や、って言ってる、のにぃ……っ」
「ごめんね、浅葱……。俺とするの、無理?そんなに嫌?」
「うぅー……っバカぁ……っ空良のバカぁぁ……」
よしよし、って背中を撫でてくれる手の平が優しくてちょっと落ち着いてしゃくりあげながら見上げたら、空良が何か捨て犬みたいな顔をしてた。
「ごめんね?……大丈夫?」
「ん……」
こくん、と頷くと額にちょん、と口付けられてドキドキする。
「……そんなに嫌だと思わなくて……あの、ごめんなさい……。俺とするの、もう嫌?」
「ち、違……、そうじゃない……。嫌とかじゃ、なくて……っ」
だからそんな捨て犬みたいな目で見るな!何か凄い罪悪感!
「い、嫌とかじゃ、なくて……っだって、俺初めてで、こんなの……っどうしていいかわかんないし!それにそこ出るとこ……」
「ん、でもね?男同士はここしか挿れるとこないの……」
無理に挿れようとしなくてよくない!?
「……俺とするのが嫌なわけじゃない?俺の事嫌いになってない?」
「嫌いにはならない」
だからその捨て犬の目をやめろー!
「……ホント?ホントに嫌いにならない?だったら、ちょっと続きさせて?痛くしないから」
「……だ、だって……怖いもん……っ。変な声、出るし……」
空良は一瞬キョトンとしてから微笑んだ。
「怖いとか考えられないくらい気持ちくしてあげる」
「へ?……わぁ!?」
いとも簡単にくるん、と体が反転してうつ伏せにされて何が起きたか考えてる間にグッと腰を持ち上げられて、腰だけ上げた何とも恥ずかしい体勢をとらされる。気付いて暴れる前に号泣して萎えちゃった俺のそこに手が絡み付いて、
「や、ぅう~」
もう声を出すまいと枕に噛みついたら背中にちゅ、と口付けてた空良がくすくす笑った。
「声、聞かせてよ」
無言で首を振る。
だって!今まで頭真っ白で何も考えてなかったけど、部屋の外には秕達がいるのに!かなり今さらだけどその事に気が付いたら空良に聞かれるのが恥ずかしい、以上の羞恥が襲ってきて全身熱い。
このまま溶けそう……。
「あは、浅葱首まで真っ赤。可愛い」
可愛い可愛い言い過ぎだし!てか、可愛くないし!
「……ん!」
なんて頭の中でぷんぷんしてる間に空良の手が動き出して体が跳ねた。
「ねぇ、ゆっくりが好き?早い方がいい?もっと強くする?」
強弱つけて擦られてまた頭が真っ白になっていく。下腹辺りからゾワゾワと全身に侵食していく気持ちよさがたまらなくて
「ぁ、ゃ……っんー……っ」
声が出そうになって慌てて枕に顔を押し付けた。
「浅葱、ダメ。声聞きたい」
「やだ!」
叫んで枕を抱き締めて顔を埋める。
もう絶対声出さない!そんな固い決意が滲み出たのか苦笑のようなため息のような吐息が耳にかかって、それだけでもゾワリとしちゃって、自分の体なのに自分で制御できない。
「……っぅ……!」
諦めたらしい空良が本格的に動き出した。前に回った手の平はクチュクチュと音をたてて動いて、後ろに挿っちゃってる指は掻き回すみたいに動いたり拡げるように動いたり。
最初は異物感しかなかったのに熱を擦られてる内にわけがわかんなくなって
「ぁ、――――っ、ん……っ」
…わけわかんないくらい、気持ちいい、かも。
「――――ん、……ぅ、空良、ゃ……!」
「……もう一本、いけるかな……」
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「ひにゃぁ……っ!」
ビクッ、と逃げようとして下がった勢いで当たって気が付いた。
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「……あの、あんまり見られると恥ずかしいなぁ」
「……俺、も……」
「ん?」
「俺も、空良の……触る」
「……はい?」
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「さっきから俺ばっか恥ずかしい気がする。俺も空良の触る!」
ムッと声を張り上げたら空良は何だか困った顔。でも指を動かすのはやめない。
「んんー!も、動かすのやめろ……!」
「う~ん……」
聞いてるのかこいつは!いや聞いてない、絶対聞いてない。しかも何か考えてる風だから無意識に違いない!無意識に人の穴弄りまくるってどういうことだ。こっちは違和感ありまくりなんだけど!
中で動きまくる指の動きに耐えてたらぬるっ、とした感触を残して指が出てった。
「……じゃあ、浅葱こっち向いて」
カチャカチャ聞こえるな~、とか軽く考えながら振り返って思わず手の平で顔を覆ってしまった。
だって!空良服脱いだ!丸出しだった!いや、俺もだけど。きゃーって小さく女の子みたいな悲鳴を漏らしたら空良に引き寄せられてさっきまで感じられなかった素肌の感触。
「……触るのやめとく?」
「やめない!」
手の平下げたら目の前に空良の顔。
「ん、……ぅん……」
また深いキスされて、意識がぼんやりしてきた辺りでぐいっと腰引き寄せられて、ショックな事に俺より相当ご立派な空良の熱と俺のが当たった。
顔が引きつった事に気付いたのか空良は心配げに訊いてくる。
「浅葱、ホントにするの?」
「やる……」
俺だって男なんだからやられっぱなしなのは嫌だ。キスでぼんやりしてる頭のままそう思って頷くと二人分の熱を握り込むように誘導されて驚いて手を離しかけ……なんとか踏みとどまった。
だって俺の手が触れた瞬間一瞬空良が反応したから。
俺ばっかり反応しまくって恥ずかしい思いしてたからちょっと嬉しくなってゆる、っと動かしたら
「ぅ、ぁん……っ!」
自分の熱も握り込んでるからゾクッとして……ってこれ、俺にも恥ずかしい事起きるじゃん!やっぱり無理!
手を離しかけたそこへ空良の俺より大きな手の平が重なった。
「ダメだよ、もうタイムオーバー」
「は?……あ!ちょ、やだ、動かすな……っ!ン、だめ……」
空良に縋りついてちょっと浮いた尻の下でモゾモゾ何かが動く感覚がして、まさか、と思ったら。
「やぁ……!また挿れた……っ」
せっかく抜けて安心してた指がまた挿ってきて
「ゆっくり慣らしていくって言ったでしょ。ホントは今すぐ浅葱と繋がりたいんだよ?」
熱くて荒い息をついた空良にそう囁かれ、その低い声にゾクゾクする。
ヤバイ、何かすごい色っぽい?っていうか何て言うか……、心臓が煩すぎて痛くなってきた……。
「ね、浅葱……。俺も気持ちくして……?」
「……っ、ぅ、ん……」
吐息に乗った囁き声がだめ押しになって、頭が沸騰しそうなくらいの混乱と羞恥と少しの恐怖感の中、ゆっくり手を動かす。空良の手は今は添えてあるだけ。
俺が逃げないように、なのか、それか俺のペースでいいって言う意味なのかはわからないけど特に主導権を握る気はないみたい。代わりに後ろに挿ったまんまの指はグニグニと動き回ってる。一本でこんなに違和感があるのに、こ……こんな、でっかいの……入る、のかな……。
チラ、と視線を落とせばホントにご立派なモノが見えて、一緒に握ってる俺のがものすごくこじんまりして……さっきまでとは違う意味で泣きそうになった。
「どうしたの?」
気付いたらしい空良がでこにちゅ、とキスして覗き込んできたから思わず口を尖らせる。
「空良、ずるい……」
「え?何が」
「でかくてずるい……」
きょとん顔で首を傾げるから、一度手を動かして止めると、何が言いたいかわかったらしくてふにゃっと笑った。
「んー、体格とかもあると思うけど……今は浅葱に触れてるから、だよ。さっきからホントに我慢してるんだからね?」
「……そ……、そう、なのか……」
た、確かにちょっと……ヌルヌル、してるかも……。
正直一人でするときこの状態で我慢する、なんてないからわかんないけど、ってことは裏を返せばここまできたら我慢できないって事だよな?その状態で我慢してる空良すごい。
とにかく、今は集中して……。
見ながらやるのが恥ずかしくて、空良の肩に縋って目を閉じる。それはそれで余計色んなものを感じ取っちゃって困るんだけど視覚に入るよりはいい、と思う。
「ぁ、はぁ……っ、ん!」
「……っ、浅葱、上手だね。気持ちいいよ……」
耳朶を甘噛みされたかと思ったら掠れた声でそう囁かれて全身がゾワ、と粟立った。
慣れてる!絶対慣れてる!付き合ったことないとか嘘だな!?
そう言ってやろうと口を開きかけた時、今まで添えるだけで動かなかった空良の手が動き出す。
「ぁ、ひ……っ!?」
グリグリと先端を刺激されて、かと思えば俺の手ごと全体を擦ったり。
「や、ぁあ……――んぁぁ!」
仰け反った勢いで中の指が変なとこ掠めて、視界は一瞬真っ白。
「ん……、イッちゃったの……?でもごめん。もうちょい付き合って、ね?」
ビクビク震えてる俺を気遣いつつも空良の手が激しさを増す。
「いや!だめ……っ、今、だめ!空良、空良!やだぁ……っ!あ、ぁん!や、ぃやぁ……ッ」
「ごめん……っ、もうちょっと……!」
「あ、やだぁ……っ、――ぃ……っ、!!」
俺が息を詰めるのと同時、空良もくっ、と息を詰めて色と勢いをなくしつつある俺のと空良のが混じって互いの体を汚した。
暫く部屋に響くのは互いの荒い息遣いだけ。
「わ!?」
ふぅ、と大きく息を吐いた空良に抱かれたままポスンとベッドに倒れ込んで驚いてる間に体勢が変わった。横向きで空良に抱き込まれてる状態。俺の頭の下には空良の腕。
腕枕…っ!?何これ何これ!何か恥ずかしい!
「気持ちよかった?」
一人でパニックになってる俺にくすくす笑いながら唇をなぞってくる空良の余裕ぶりがちょっとムカつく!
噛み付いてやろうとした指に逃げられて思わず唇を尖らせたら益々空良は楽しそうに笑い出して、ちょっとの間ムッとしてたけど釣られて笑ってしまった。
「へへ、すっごい幸せ~」
ギュッ、って胸に抱き寄せられた後聞こえた声に顔が熱くなる。
だ、だって凄い嬉しそうに言うから……照れるっていうか……。
「浅葱、大好き!」
「あ……、うん……」
てゆーかよくそんな事恥ずかしげもなく言えるな!さては日本男児じゃないな!?ホントにニコニコと嬉しそうだからその突っ込みは飲み込んで、でも照れ臭いのは隠せなくて空良の胸にデコ擦り付けた。
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