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番外編5
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ダドリーの決意
「ええ、デイジーちゃん結婚しちゃうの!?」
ダドリーが驚いて言うと、ハリジュは
「何だダドリー知らなかったのか?」
と言う。
二人は今、薬学研究所で木の実から有効成分を抽出するため、溶媒へ浸漬させ加熱中だ。
「薬剤師資格が取れたら結婚しようって約束してたらしい。マックスって居ただろ?薬局の息子」
薬学研究所には何人かの薬剤師を目指す者が試験勉強と実地研修を兼ねて在籍していた。
町医者の娘であるデイジーもその一人で、数年前までは薬局の息子のマックスも在籍していたのだ。
「マックス!いたね!あいつか…畜生、デイジーちゃんとお似合いだ」
悔しがるダドリーを見てハリジュは笑う。
「殿下、自分が二十も年下の娘と婚約して幸せだからって余裕の笑みはやめろ。俺は自力で結婚相手を探さないといけないんだよ。何故なら子爵家の三男だから!」
「悪い悪い。そういえば、リリアの知り合いの令嬢から薬剤師試験に合格した人への合格祝いは何が良いか相談されたんだが…」
「はじめまして。ルナ・プレスコットと申します。この度はお手数をお掛けして申し訳ありません」
薬学研究所の応接室で、ルナはダドリーとハリジュ、リリアの前で礼を取る。ダドリーは呆然としてルナを見つめていた。
「ルナ様はアリシア様のお友達なのよ」
リリアはルナをダドリーとハリジュに紹介する。
ハリジュとリリアを応接室に残して、ダドリーとルナは研究所の廊下を歩いて行く。
「薬剤師試験に合格したのってデイジーちゃん?」
「そうです。学園の同級生でお友達です」
「デイジーちゃんへのお祝いなら、オリジナルのハンドクリームはどうかなと思うんだけど。薬剤師って薬品や水や紙を扱うから手荒れするんだ。だから薬効成分たっぷりの」
ダドリーが一室のドアを開けた。
「良いですね!」
「そこで、ハンドクリームに着ける香りをルナ嬢に選んでもらおうと思って。ここは色々な香料などを置いてある部屋なんだ」
壁沿いに棚があり、ビンや試験官などが並んでいる。光が当たらないようにカーテンのある棚や、冷蔵庫や保温庫もあるようだ。
「すごく沢山…選べるかしら」
「先ずは、ベタにデイジーの花の香りから試してみて」
「ふふ。はいお願いします」
「沢山嗅ぎ過ぎてわからなくなって来たわ…」
ルナが呟くとダドリーは「じゃあ休憩しよう」とルナを伴って部屋を出る。
「ルナ嬢は伯爵家の令嬢だっけ?ごめんね俺子爵家の三男で格下なのにこんな態度で」
応接室でダドリーがルナにお茶を淹れる。
「いいえ。ちっとも気になりませんわ。ダドリー様は気さくな方ですね」
「無礼者なだけだよ…どこかにこんな無礼者でも婿に欲しいって家はないかな?心当たりがあったら教えて」
ダドリーが微笑みながら言うと、ルナは苦笑いをする。
「ダドリー様も、私みたいに行き遅れかけの令嬢でも良いという方がおられたら、是非紹介してくださいね」
ルナは結局何種類かあるデイジーの花の香りの中から一つを選んだ。ダドリーは出来上がったら伯爵家へ届けると約束をする。
「ダドリー、どうした?」
ハリジュは、出来上がってかわいらしいピンクの入れ物に詰めたハンドクリームを机に置いて黙って眺めているダドリーに声を掛ける。
「うん…俺、爵位欲しいなって…まあ子爵じゃ上位貴族の令嬢は結局娶れないんだけどさ」
「ルナ嬢?」
「…うん」
「ルナ、久しぶり。来てもらってごめんね」
街角の薬局でデイジーがルナを迎える。
「いいのよ。買い物ついでよ。久しぶりね、デイジー」
「あ、あの。自分デイジーの婚約者のマックスと申します!」
カウンターの向こうでマックスが頭を下げる。ルナが伯爵家の令嬢なので緊張しているらしい。
「はじめまして。ルナです。あの、畏まらないでね。デイジーだって私に畏まった事ないから」
「あら、だって学園で友達になったんだもの。今更令嬢に接する様にはできないわ」
「確かにデイジーに今更畏まられたら気持ち悪いわ。デイジー薬剤師試験合格おめでとう。これお祝い」
ルナがデイジーにリボンを着けた紙袋を手渡す。
「ありがとう。開けて良い?」
「もちろん」
デイジーが袋からハンドクリームの入れ物を取り出す。
「いい香り…」
「薬効成分たっぷりのハンドクリームよ。デイジーの香り付き」
「これ市販品じゃないわよね?」
「そう。ダドリー様に作って戴いたの。アリシア伝でリリア様からハリジュ殿下経由よ」
「何て豪華リレー…」
その時、薬局の入り口のドアが勢い良く開いた。
「ルナ嬢!あ、デイジーちゃん、マックス久しぶり」
「ダドリー様!?」
薬局に飛び込んで来たのはダドリーだった。
「今日、ルナ嬢がデイジーちゃんに会いに行くって聞いて…あの、ルナ嬢、俺、栄典制度で褒賞目指すから!」
ダドリーはルナの前に立つと一気に言う。
栄典制度とは、著しい功績を挙げた者や、武勲を挙げた者に国王から褒賞を与えられる制度で、褒賞には爵位や勲章などがある。
「今研究してる厄病の特効薬を完成させて、爵位を手に入れる!だから…」
ダドリーはルナの前に跪く。
「俺と結婚してください」
右手を差し出すと、ルナの隣りに立つデイジーが聞く。
「ルナ、ダドリー様とお付き合いを?」
「ううん」
ルナは首を横に振る。
「やっぱり駄目か…」
ダドリーが俯いて手を下げようとすると、ルナは慌ててその手を両手で握った。
「ルナ嬢?」
ダドリーがルナを見上げると
「とりあえず、お友達から」
ルナはにっこりと笑って言った。
「ええ、デイジーちゃん結婚しちゃうの!?」
ダドリーが驚いて言うと、ハリジュは
「何だダドリー知らなかったのか?」
と言う。
二人は今、薬学研究所で木の実から有効成分を抽出するため、溶媒へ浸漬させ加熱中だ。
「薬剤師資格が取れたら結婚しようって約束してたらしい。マックスって居ただろ?薬局の息子」
薬学研究所には何人かの薬剤師を目指す者が試験勉強と実地研修を兼ねて在籍していた。
町医者の娘であるデイジーもその一人で、数年前までは薬局の息子のマックスも在籍していたのだ。
「マックス!いたね!あいつか…畜生、デイジーちゃんとお似合いだ」
悔しがるダドリーを見てハリジュは笑う。
「殿下、自分が二十も年下の娘と婚約して幸せだからって余裕の笑みはやめろ。俺は自力で結婚相手を探さないといけないんだよ。何故なら子爵家の三男だから!」
「悪い悪い。そういえば、リリアの知り合いの令嬢から薬剤師試験に合格した人への合格祝いは何が良いか相談されたんだが…」
「はじめまして。ルナ・プレスコットと申します。この度はお手数をお掛けして申し訳ありません」
薬学研究所の応接室で、ルナはダドリーとハリジュ、リリアの前で礼を取る。ダドリーは呆然としてルナを見つめていた。
「ルナ様はアリシア様のお友達なのよ」
リリアはルナをダドリーとハリジュに紹介する。
ハリジュとリリアを応接室に残して、ダドリーとルナは研究所の廊下を歩いて行く。
「薬剤師試験に合格したのってデイジーちゃん?」
「そうです。学園の同級生でお友達です」
「デイジーちゃんへのお祝いなら、オリジナルのハンドクリームはどうかなと思うんだけど。薬剤師って薬品や水や紙を扱うから手荒れするんだ。だから薬効成分たっぷりの」
ダドリーが一室のドアを開けた。
「良いですね!」
「そこで、ハンドクリームに着ける香りをルナ嬢に選んでもらおうと思って。ここは色々な香料などを置いてある部屋なんだ」
壁沿いに棚があり、ビンや試験官などが並んでいる。光が当たらないようにカーテンのある棚や、冷蔵庫や保温庫もあるようだ。
「すごく沢山…選べるかしら」
「先ずは、ベタにデイジーの花の香りから試してみて」
「ふふ。はいお願いします」
「沢山嗅ぎ過ぎてわからなくなって来たわ…」
ルナが呟くとダドリーは「じゃあ休憩しよう」とルナを伴って部屋を出る。
「ルナ嬢は伯爵家の令嬢だっけ?ごめんね俺子爵家の三男で格下なのにこんな態度で」
応接室でダドリーがルナにお茶を淹れる。
「いいえ。ちっとも気になりませんわ。ダドリー様は気さくな方ですね」
「無礼者なだけだよ…どこかにこんな無礼者でも婿に欲しいって家はないかな?心当たりがあったら教えて」
ダドリーが微笑みながら言うと、ルナは苦笑いをする。
「ダドリー様も、私みたいに行き遅れかけの令嬢でも良いという方がおられたら、是非紹介してくださいね」
ルナは結局何種類かあるデイジーの花の香りの中から一つを選んだ。ダドリーは出来上がったら伯爵家へ届けると約束をする。
「ダドリー、どうした?」
ハリジュは、出来上がってかわいらしいピンクの入れ物に詰めたハンドクリームを机に置いて黙って眺めているダドリーに声を掛ける。
「うん…俺、爵位欲しいなって…まあ子爵じゃ上位貴族の令嬢は結局娶れないんだけどさ」
「ルナ嬢?」
「…うん」
「ルナ、久しぶり。来てもらってごめんね」
街角の薬局でデイジーがルナを迎える。
「いいのよ。買い物ついでよ。久しぶりね、デイジー」
「あ、あの。自分デイジーの婚約者のマックスと申します!」
カウンターの向こうでマックスが頭を下げる。ルナが伯爵家の令嬢なので緊張しているらしい。
「はじめまして。ルナです。あの、畏まらないでね。デイジーだって私に畏まった事ないから」
「あら、だって学園で友達になったんだもの。今更令嬢に接する様にはできないわ」
「確かにデイジーに今更畏まられたら気持ち悪いわ。デイジー薬剤師試験合格おめでとう。これお祝い」
ルナがデイジーにリボンを着けた紙袋を手渡す。
「ありがとう。開けて良い?」
「もちろん」
デイジーが袋からハンドクリームの入れ物を取り出す。
「いい香り…」
「薬効成分たっぷりのハンドクリームよ。デイジーの香り付き」
「これ市販品じゃないわよね?」
「そう。ダドリー様に作って戴いたの。アリシア伝でリリア様からハリジュ殿下経由よ」
「何て豪華リレー…」
その時、薬局の入り口のドアが勢い良く開いた。
「ルナ嬢!あ、デイジーちゃん、マックス久しぶり」
「ダドリー様!?」
薬局に飛び込んで来たのはダドリーだった。
「今日、ルナ嬢がデイジーちゃんに会いに行くって聞いて…あの、ルナ嬢、俺、栄典制度で褒賞目指すから!」
ダドリーはルナの前に立つと一気に言う。
栄典制度とは、著しい功績を挙げた者や、武勲を挙げた者に国王から褒賞を与えられる制度で、褒賞には爵位や勲章などがある。
「今研究してる厄病の特効薬を完成させて、爵位を手に入れる!だから…」
ダドリーはルナの前に跪く。
「俺と結婚してください」
右手を差し出すと、ルナの隣りに立つデイジーが聞く。
「ルナ、ダドリー様とお付き合いを?」
「ううん」
ルナは首を横に振る。
「やっぱり駄目か…」
ダドリーが俯いて手を下げようとすると、ルナは慌ててその手を両手で握った。
「ルナ嬢?」
ダドリーがルナを見上げると
「とりあえず、お友達から」
ルナはにっこりと笑って言った。
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