ゴムとワンピース

「あの頃私はどうしようもなくゼロだった。ゼロだということが直視できるので、私はとにかくなにものかに染まりたかった。なにものかに染まって、もう行き着くところまで染まりきってしまって、それまでの私のことなんて思い出せないところまで行きたかった。」
 高校生だった私は、偶然出会って恋人になったアミを通して、それまでとは全く別の自分を見出していく。
 近づこうとすればするほど遠ざかっていくようなアミの存在と、アミのことを意識すればするほど分からなくなっていく私自身のこと。
 私とアミが一緒にいた、遠い昔のようなあの頃のこと。
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