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3部、1章

湿地森林の恵み

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 俺は湿地森林の中へと分け入って、スパイスの採取を始めた。凛音とリュセラ、コピーたち、エリカ大尉も各々の行動に入った。

「悠人あまり羽目を外さないでね」

「分かっているよ。一応非常時の食料を確保しておくのが目的だから」

「両手いっぱい抱えてるのに?」

 俺は抱えるほどの野菜とスパイスを持っている。すでにリヴァイアサンの能力を使い野菜は洗ってある。俺に抱きつくリヴァイアサンにも手伝ってもらった。

 保存や栽培のために種になるものなどは土ごと栽培用ポット(百均製)に入れてゴールドボーイにも持ってもらっている。分身してもらってるが、もっと欲しい。

「後で畑に持って行って栽培してもらおうかと」

「まあ、今後困らないなら良いけど」

 遠くでは走り回って植物を食いまくるソフィーナの姿がある。

「洗わないで食ってるのか、ソフィーナ……」

「魔法で洗浄してるみたいよ」

「一瞬で洗浄できるのか! すごいな」

「手洗いで一瞬で終わらせた人がよく言うね」

「リヴァイアサンの能力のおかげだ」

「すごいでしょう。今なら母もセットで付きます」

「堪忍してください」

 採取を堪能した俺はみんなと合流した。エリカ大尉を中心に円になって座っているみんな。俺だけが大荷物で帰ってきた。

「周囲は警戒しましたが、目視、魔力感知共に異常なしですが、逆に不安ですね」

「なぜですかエリカ大尉?」

「これだけの森林があるのに生き物が少ない。特に動物が居ないのが気がかりです」

「確かに! でも氷の羽の蝶々とか居たし、生き物がいないわけではないよね!」

「凛音蝶々は逃がしてやれよ?」

「ううっ! なんでバレたの?」

 凛音はアーツによって沢山ものが入るようになった鞄から虫の檻を取り出した。檻の中では青と白の規則的な模様の蝶々が羽ばたいている。蝶が飛ぶと白い粉が舞い落ちては溶けて消えていく。蝶は霜を纏っているようだ。

「凛音ならやるって信じてた」

 物や資源を持っていくのは許せたが(多分麗音大臣が止めてくれるし)生き物は環境が変わるだけで死んでしまう事もある。生態系や外来種とか考えると連れ出さないほうがいい。

「悠人こそ人のこと言える?」

「今回は確かに言えないな……」

 全員が俺を見た。エリカ大尉が頭を抱える。藍華はパッと笑顔になった。ここで消費したほうが良さそうだな。
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