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3部、1章

同感。

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 目の前に現れた巨大なドラゴン。リヴァイアサン。巨大な体に大きな角、生物らしからぬ金属の装飾品を腕や指輪角に巻きつけている。どれも金で出来ているのは水中生活をするため、錆が出にくい黄金を用いたのだ。

 リヴァイアサンは水中で静止したまま俺を眺めている。

「あのー?」

「……」

「我々に敵意はないので、話し合いをー」

 リヴァイアサンは大きな手を、俺の方へ向けた。だが、手から氷が放たれる。慌てて俺は回避したが、慣れない水中移動で片腕だけ凍ってしまった。しかも水筒を持っていた右手だ。

 俺は慌てて水の温度を変えて氷を溶かす。だが、なかなか溶けない。かなり低温なのだ。俺の体が持ってくれたのは助かる。水筒が心配だけど……。

 水筒に気を取られていた俺は再びリヴァイアサンを見た。だが、その姿は無く目の前に広がるのは暗い闇と牙。リヴァイアサンの大きな口が目の前にあった。

「死ぬー!」

 迫り来る牙に身構えた俺だが、牙の代わりに腕によって挟まれた。抱きしめられてる?

「息子に似てる……」

 耳元で囁いたのは大人の女性だ。豪華なドレスを纏い、長い髪を綺麗にまとめた切長の目をした女性。

「俺は魔法でリヴァイアサンに変身しているだけですよ?!」

「謙虚なところも似ている」

 リヴァイアサンは涙を流し始めたので、俺は振り払い難い。彼女の涙は水の中でも見える。氷の粒となって水底へと沈んでいくから。

「申し訳ありません。私としたことが……」

「大丈夫です。恥ずかしいので、そろそろ……」

「はい。恥ずかしがりなところも似てる……」

「性格似すぎ! リヴァイアサンだからかと思ってました」

「常識を大事にしているところも似てる……」

 俺を離してくれたリヴァイアサンは俺をもう一度見るとさらに涙を流し出した。

「もしかして息子さんを探しているんですか?」

「そうです。息子のリュートは私に楽をさせようと真面目に修行して強くなったのに、恐ろしい勇者エルリックにより……」

「多分生きていると思います。探せばきっと……」

 エルリックさんの事だからきっと生きている。リュセラも言ってたし。

「きっと攫われて、十年間も試練を与えられ続けているのです!」

「俺もそんな気がします……」

 エルリックさんならやる。涙を流すリヴァイアサンを前に、困る俺。エルリックさん、今上にいるんだよな……。
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