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2部3章
デーモンの力
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俺達は食後の休憩を取っていた。寝転ぶと翼が痛い、座ると尻尾が痛い。皆は慣れたのか各々の体勢で休んでいるが俺は立って考え込んでいた。
「どうした悠人?」
リュセラが俺の側にやってきた、珍しく凛音の側を離れた彼。見ればコピーのリュセラが二人の凛音を相手して魔法を教えている。
「リュセラ。最上級デーモンってどんな魔物なんだ?」
「そうか。そちらの世界には居ないから知らないのも無理はないな。一言で言えば、魔王軍の幹部だ」
「やっぱりすごいヤバイ魔物だな。行動を一日遅らせれば魔法は解けるだろうから、待った方が……」
「いや。このままリヴァイアサンと戦った方がいい。かなりの力を得たから。魔王の側近だった者が最上級デーモンだったらしい」
「らしい? リュセラは魔王を倒したんだよな?」
「僕は倒してないんだ」
「でも、リュセラは勇者一行の魔法使いだろ?」
「付いていきたかったが、その前に……」
「大怪我をしたとかか?」
「いや、エルリックが最大の試練とか言い出して異空間に飛ばされたんだ」
「厄介者だな! エルリックさんの行動的に納得出来るのがなんとも言えない……」
「そうだな。でも、僕は実力不足を感じていたし、行くことを決めた。お陰で召喚魔法の星の海を会得できた」
「でも、魔王は倒せたんだよな?」
「倒したと聞いている」
「そうだよな。世界は救われた訳だし」
でも、父さんは帰ってきていない。母さんとは離婚しているから来ないのは当然なのだが、顔を会わせるくらいはするのではと思ってしまう。セレストの元には来ていたのだから。
「僕が知識で知っている範囲で最上級デーモンについて教えよう。魔界からやってきた、デーモンの支配者たち。召喚魔法を用いたり、他者の用いる魔法すら容易くこなせる。魔法では人間が勝て無いだろう」
「俺も召喚魔法とか、エルリックさんたちの加護魔法とか使えるってことか?」
「そうだな。けれど否定加護は無理だ。僕も仕組みを理解できない。だが、最上級デーモンは理解した魔法を使える」
俺は目の前に手をかざしてみる。
「防御の加護」
光の壁が出現し、俺が手を下ろせば消えた。
「すごいな。俺ですら魔法が使える」
「魔力が多くなったことで、悠人も魔法に慣れてきた。しかもその防御の加護、エルリックに近い硬度となっている」
「これが最上級デーモンの力か」
「恐るべき相手だ。直接に魔王の側近とは戦わなかったが、敵として戦闘したことがある。強敵だった。それも魔王を倒した後の事だ」
「魔王軍の配下は生きているのか?!」
「ああ、戦闘したモンスターはエルリックが見逃したからな」
「優しいのか厳しいのか分からないなあの人!」
「もともと、命を失うような被害は少ないんだ。奴らバトルして金品やお宝を奪うだけだったからな」
「魔王軍より強盗だろそれ……」
「それは知性があるモンスターだけだ。配下の配下たちは残虐な魔物ばかりだった」
「だから、魔王を倒しに行ったんだな」
「ああ。お陰で昔よりは平和だ」
父さんたちの頑張りで世界は救われた。だが、魔王軍たちは生き残っている。恐ろしい事だが、心強い仲間たちが世界を守ってくれている。
麗音さんも、自衛隊として現実世界を。悲劇教団は何しているか分からない所もあるが、セレストは人を助けていた。
そして、父さんももしかしたら……。いや、きっと誰かを助けながら旅をしている。俺もエルドラスたちを助けるために頑張ろう。
そう誓った時だった。近くで大きな光が現れた。見れば凛音の側に大きな紫の黒黒とした渦が現れている。
「最上級デーモンの召喚魔法使ったら、なんか出ちゃった……! しかも消せない」
見るからにおぞましい渦が蠢いた。俺達は臨戦態勢となる。対応に慣れてきたからな!
「どうした悠人?」
リュセラが俺の側にやってきた、珍しく凛音の側を離れた彼。見ればコピーのリュセラが二人の凛音を相手して魔法を教えている。
「リュセラ。最上級デーモンってどんな魔物なんだ?」
「そうか。そちらの世界には居ないから知らないのも無理はないな。一言で言えば、魔王軍の幹部だ」
「やっぱりすごいヤバイ魔物だな。行動を一日遅らせれば魔法は解けるだろうから、待った方が……」
「いや。このままリヴァイアサンと戦った方がいい。かなりの力を得たから。魔王の側近だった者が最上級デーモンだったらしい」
「らしい? リュセラは魔王を倒したんだよな?」
「僕は倒してないんだ」
「でも、リュセラは勇者一行の魔法使いだろ?」
「付いていきたかったが、その前に……」
「大怪我をしたとかか?」
「いや、エルリックが最大の試練とか言い出して異空間に飛ばされたんだ」
「厄介者だな! エルリックさんの行動的に納得出来るのがなんとも言えない……」
「そうだな。でも、僕は実力不足を感じていたし、行くことを決めた。お陰で召喚魔法の星の海を会得できた」
「でも、魔王は倒せたんだよな?」
「倒したと聞いている」
「そうだよな。世界は救われた訳だし」
でも、父さんは帰ってきていない。母さんとは離婚しているから来ないのは当然なのだが、顔を会わせるくらいはするのではと思ってしまう。セレストの元には来ていたのだから。
「僕が知識で知っている範囲で最上級デーモンについて教えよう。魔界からやってきた、デーモンの支配者たち。召喚魔法を用いたり、他者の用いる魔法すら容易くこなせる。魔法では人間が勝て無いだろう」
「俺も召喚魔法とか、エルリックさんたちの加護魔法とか使えるってことか?」
「そうだな。けれど否定加護は無理だ。僕も仕組みを理解できない。だが、最上級デーモンは理解した魔法を使える」
俺は目の前に手をかざしてみる。
「防御の加護」
光の壁が出現し、俺が手を下ろせば消えた。
「すごいな。俺ですら魔法が使える」
「魔力が多くなったことで、悠人も魔法に慣れてきた。しかもその防御の加護、エルリックに近い硬度となっている」
「これが最上級デーモンの力か」
「恐るべき相手だ。直接に魔王の側近とは戦わなかったが、敵として戦闘したことがある。強敵だった。それも魔王を倒した後の事だ」
「魔王軍の配下は生きているのか?!」
「ああ、戦闘したモンスターはエルリックが見逃したからな」
「優しいのか厳しいのか分からないなあの人!」
「もともと、命を失うような被害は少ないんだ。奴らバトルして金品やお宝を奪うだけだったからな」
「魔王軍より強盗だろそれ……」
「それは知性があるモンスターだけだ。配下の配下たちは残虐な魔物ばかりだった」
「だから、魔王を倒しに行ったんだな」
「ああ。お陰で昔よりは平和だ」
父さんたちの頑張りで世界は救われた。だが、魔王軍たちは生き残っている。恐ろしい事だが、心強い仲間たちが世界を守ってくれている。
麗音さんも、自衛隊として現実世界を。悲劇教団は何しているか分からない所もあるが、セレストは人を助けていた。
そして、父さんももしかしたら……。いや、きっと誰かを助けながら旅をしている。俺もエルドラスたちを助けるために頑張ろう。
そう誓った時だった。近くで大きな光が現れた。見れば凛音の側に大きな紫の黒黒とした渦が現れている。
「最上級デーモンの召喚魔法使ったら、なんか出ちゃった……! しかも消せない」
見るからにおぞましい渦が蠢いた。俺達は臨戦態勢となる。対応に慣れてきたからな!
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