177 / 210
2部3章
更なる試練
しおりを挟む
リリックさんは懐中時計を用い、何度も黒い炎の槍を突き刺し攻撃した。エルリックさんはその間も、笑顔でこちらに歩いてくる。いくつもの黒い炎の槍が突き刺さっているのに。
「素晴らしい! 時を止めるなんて並みの魔法使いでは出来ない。僕でも二時間はかかった」
「数百年の研鑽なんじゃけどー!」
そして、俺たちの前に立ったエルリックさん。
「あり得ん。今度は急所も狙ったのに」
「約束は?!」
「すまない。儂も命が惜しい。だが、ここまでしても死なんとは……」
「大丈夫。死んでいたとも。臓器の時を止めてヒールしてから時を動かした。君のと同じにね。ドライでいい時止めの使い方だ」
「一瞬! 儂の五十年無敗の戦法が一瞬で対処に応用されたんじゃけどー!」
リリックさんの嘆きは放置し、エルリックさんは周りを見てから俺に目を向ける。
「みんなも寝ているし、今のうちに悠人くんには更に上の試練を与えようか」
「味方ですよね?!」
「うーん。でも、このままじゃみんな潰れちゃうかもよ?」
エルリックさん天井を指差した、そもそもここは縦穴で天井など無い。だが、知らぬまに現れた天井が壁に擦りなから落ちてくる。針つきで。
「時を止めて、魔法で吊り天井作っちゃった!」
「儂より高度!!」
「罠ってさ。頑張れば、ギリギリ生き残れそうな感じがいいよね」
「「死ぬわ!!」」
俺は水を氷の柱に変質させて吊り天井を止めようとした。重さに耐えきれずに氷の柱はどんどん砕けてしまう。床一面に作ったのに。
だが、氷の柱を作っている途中に味方の側の氷だけ丸く削れているのを見た。
「魔法で守ってくれているのか。なら乗ってやる」
これからリュセラたちと共に旅をするには、強い必要がある。どんな時でも味方を守れるように。主にエルリックさんからかもだが。
すると懐中時計を開いたリリックさんが叫んだ。
「五重時間障壁!」
呪文のあと何かが起きたようには見えなかったが、吊り天井が停止している。
「天井の時間を五重の魔法で止めた」
「すごい、これなら……!」
直ぐに吊り天井は落下し始めた。
「なぜじゃ!」
「ああ、時間を動かす魔法を使ったんだ。時間停止を鍛えようか、リック?」
「その呼び方は! 魔法帝国の特別クラスの時の!」
「そうだよ。たしかその時代はこんな顔だったかなあ?」
エルリックさんは自分の顔を撫で下ろした。するとリリックさんは驚きの表情となる。顔が変身し老けた男性になったからだ。
「特別クラスの意地悪で試練大好きな邪悪な先生!」
「今と変わらないんかい!」
恐るべきエルリックさんの魔法。リリックさんが時間を止めたのにそれをものともしない。というかこのハイレベルな魔法合戦。俺、役立たずでは?
「素晴らしい! 時を止めるなんて並みの魔法使いでは出来ない。僕でも二時間はかかった」
「数百年の研鑽なんじゃけどー!」
そして、俺たちの前に立ったエルリックさん。
「あり得ん。今度は急所も狙ったのに」
「約束は?!」
「すまない。儂も命が惜しい。だが、ここまでしても死なんとは……」
「大丈夫。死んでいたとも。臓器の時を止めてヒールしてから時を動かした。君のと同じにね。ドライでいい時止めの使い方だ」
「一瞬! 儂の五十年無敗の戦法が一瞬で対処に応用されたんじゃけどー!」
リリックさんの嘆きは放置し、エルリックさんは周りを見てから俺に目を向ける。
「みんなも寝ているし、今のうちに悠人くんには更に上の試練を与えようか」
「味方ですよね?!」
「うーん。でも、このままじゃみんな潰れちゃうかもよ?」
エルリックさん天井を指差した、そもそもここは縦穴で天井など無い。だが、知らぬまに現れた天井が壁に擦りなから落ちてくる。針つきで。
「時を止めて、魔法で吊り天井作っちゃった!」
「儂より高度!!」
「罠ってさ。頑張れば、ギリギリ生き残れそうな感じがいいよね」
「「死ぬわ!!」」
俺は水を氷の柱に変質させて吊り天井を止めようとした。重さに耐えきれずに氷の柱はどんどん砕けてしまう。床一面に作ったのに。
だが、氷の柱を作っている途中に味方の側の氷だけ丸く削れているのを見た。
「魔法で守ってくれているのか。なら乗ってやる」
これからリュセラたちと共に旅をするには、強い必要がある。どんな時でも味方を守れるように。主にエルリックさんからかもだが。
すると懐中時計を開いたリリックさんが叫んだ。
「五重時間障壁!」
呪文のあと何かが起きたようには見えなかったが、吊り天井が停止している。
「天井の時間を五重の魔法で止めた」
「すごい、これなら……!」
直ぐに吊り天井は落下し始めた。
「なぜじゃ!」
「ああ、時間を動かす魔法を使ったんだ。時間停止を鍛えようか、リック?」
「その呼び方は! 魔法帝国の特別クラスの時の!」
「そうだよ。たしかその時代はこんな顔だったかなあ?」
エルリックさんは自分の顔を撫で下ろした。するとリリックさんは驚きの表情となる。顔が変身し老けた男性になったからだ。
「特別クラスの意地悪で試練大好きな邪悪な先生!」
「今と変わらないんかい!」
恐るべきエルリックさんの魔法。リリックさんが時間を止めたのにそれをものともしない。というかこのハイレベルな魔法合戦。俺、役立たずでは?
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。
突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。
「あと、三ヶ月だったのに…」
*「小説家になろう」にも掲載しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる