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2部3章

怒れる岩竜

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 俺たちのもとに凛音たちがやってきた。少女の姿のスマホは、ポケットに戻ってもらい岩竜と対峙する。

「グオッッー!」

 岩竜の咆哮によりダンジョンの全てが揺れた。落石や壁のひび割れが起こり地震のようだ。

「ソフィーナ、お母さんは何て言ってる?」

「分からない。怒りすぎて怒鳴ってるから」

「どうやら本当に戦う羽目に成りそうだな」

 リュセラが杖を構えたが、ソフィーナはリュセラの前に立つ。

「待って! お母さんも話せば分かってくれるから、傷つけないで!」

 岩竜は口を開くと、閃光がこちらに飛んでくる。太く高熱の熱線だ。それはソフィーナに向かって放たれ、回避のまもなく当たってしまう。

「ソフィーナ!」

「あっつ!」

「あれ食らって無事かよ!」

 なお、ソフィーナの周囲の地面は焼け岩が溶岩になりかけているのか、赤く発光している。

「えっ? あれはくしゃみだよ」

 俺は岩竜をもう一度見た。さっきの五倍ほどの大きな光が岩竜の口から放たれる所だった。

 どうにかしないと、皆やられる。俺はリヴァイアサンで水を操れるらしい。なら全力で水を打ち出せば!

 両手を前に構えた俺は水を生み出しその全てを撃った。相手の熱線と同時に放った水は視界の全てを埋め尽くす量だった。熱線どころか岩竜の体を押し退け、転倒させることができた。

 岩竜は地響きと共にダンジョンの底へと落ちていく。

「何それすごい! 悠人の新しい魔法も強いね」

「リヴァイアサンらしい。ここまでするつもりは無かったけどな!」

「お母さん!」

 ソフィーナは背中に羽を生やしダンジョンの底へと飛んでいく。俺も後を追って水を生み出しその上を滑りながら降りた。

 ダンジョンの暗く深い所まで降りた所に岩竜は倒れている。ソフィーナが岩竜の顔に駆け寄り、手を添えている。俺が近づくと岩竜が穏やかな声を出した。

「良い男を見つけたわね……」

「えっ?」

「はい?」

「その、リヴァイアサンは世界を滅ぼす力があるわ。これで岩竜の存続も安泰。他の子の婚約者も良い相手だったけれど」

「私、まだ結婚しないよ?」

「なんだ、男を連れてきたかと思った。ごめんなさいね」

「閉じ込められていたのに無理だよー」

「あの、ソフィーナが逃げたから怒ってたのでは?」

「ああー。閉じ込めてたの忘れてた」

「そっかー」

「大問題ですからね!」

「「十年くらいじゃ気にしないよ」」

「それで良いのか……。本人が納得するなら仕方ないな」

 岩竜は無事だった。怪我がないようで何よりだ。俺が世界を滅ぼせるなら、今度はもっと加減しよう。洞窟ってわりと崩れ易いからな。世界を滅ぼせる奴の加減なんてどうすれば良いんだ……。
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