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2部3章

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 俺たちが降り立った岩場から周りを見れば浮遊した岩を伝って流れ落ちる水が、光る魔力のモヤにより景色は明るく美しく見えた。

 大穴の底に向かうほど暗いことに変わりはないので、エリカ大尉に用意してもらったヘッドライトを付ける。

「当分は、上からの水に注意しながら進みましょう」

「そうですね、それと。我々から、お伝えしたい大事なことがあります」

「エリカ大尉から。何でしょうか?」

「我々も奇跡の破片の争奪戦に参加します」

「ええっ!」

 エリカ大尉の発言に驚いた俺は、彼女の真剣な面持ちで、冗談ではない事を理解した。エリカ大尉は冗談とか言わなそうだが。

「ああ、敵対はしません。先に手に入れたなら我々は手を引きます」

 水筒に手を出した俺にエリカ大尉は待ったをかける。

「今すぐ何かしようとはしません。取り敢えず安全圏を探して拠点を作るまで、協力しましょう」

「そうですか。分かりました。出来れば藍華のことも気にかけてやって欲しいです」

「はい。藍華君の安全も我々の仕事の内です。お話したいこともあるので」
 
「エリカさんの望みって、お父さんの捜索だね?」

「はい。元々私の部隊は父の部隊でした。ダンジョンの探索で行方不明になった父の居場所を見つけるために使いたいです。ですが、我々は別に自分で探すことも出来るので……」

「大尉。多忙だから出来ないのは承知しているでしょう?」

 参加するのに迷っているエリカ大尉に、タケシ中尉がたしなめる。

「隊長を探す事は我々の総意です。ですので、全力で妨害をします。その際はお覚悟を」

「分かりました! エリカさんとも戦ってみたかったから、嬉しい」

「凛音、ほどほどにな。取り敢えず安全圏の探索に……」

 俺の肩に触れるものがいた。また盾にされるのかとびく付いた俺が振り返ると、凛音二号とリュセラ二号だった。
 
「私たちも、離脱するね」

「何か望みがあるのか? 悪いことは全力で止めるぞ」

「私の望みは不老不死だよ!」

「ラスボスの動機! エルリックさん、それ大丈夫なんですか?」

「問題ないよ。一人の不老不死で滅びるなら既に滅んでるからね」

「永遠に全てにトライし続けたいの!」

「何それ素敵だね……! でも、お父さんに怒られそうだから私は無理かー!」

「良かった。でもそうか、麗音大臣の監視がないから出来ちゃうのか……」

「大丈夫だ、悠人。危険な望みは僕が止める」

「リュセラ二号が監視するなら良いのか」

「良くない! ずるいぞ僕二号!」

「僕たちには何もない。家族も仲間もいない、所詮コピーだからな……」

「そうか。二号たちにはお互いしか居ないんだな」

「僕二号……」

「それはそれとして僕は凛音とデートだから、安全圏に着いたら、さよならだ!」

「おのれ! 絶対に妨害するからな!」

「リュセラはエルフだから寿命長いよね。私が永遠に生きているのはいや?」

「ぐぅ。確かに生きてて欲しい……」

「落ち着け。取り敢えず安全圏を探そう」

 共に歩き出した仲間たち。だが味方は減り、俺、凛音にリュセラ、セレスト、エルリックさんのみとなった。エルリックさんは味方してくれるかどうか怪しいのだが。
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