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2部3章
万全の備え
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食事が終わり、バーベQの片付けをしながら俺は今後について考えてみる。
奇跡の破片の回収。俺はそれが目的でここにやって来た。給料も貰える、いい仕事だと言える。今日一日で受けた攻撃の数を考えなければだが。それもほぼ身内からの攻撃だった。
「そそくさと帰ったカインたちだけど、幾つか洗って行ってくれたな」
「ありがたいね!」
「敵対しちゃったけどな!」
「片付けを終えたら追いかけよう。なに、僕らには二人もコピーがいる」
俺が見ると、凛音二号がブラシなどを用いてきっちり洗っているのが見えた。
「うん。仕上げは任せて私!」
「任せた! みんなはある程度汚れを落としてくれたらそれでいいから」
「分かった」
凛音は真剣に焼き台を洗っている。彼女はトライのために暴走する割にはしっかり使ったものを手入れする。それは良いことだ。
なので俺も急いで藍華を追いかけたいと言う言葉は飲み込もう。凛音が釣られた変な魚の骨を集めているのは自重してほしいが……。
バーベQの片付けが終わり、俺たちはダンジョンの大穴の淵に立った。
滝から来る水しぶきに、ダンジョンから沸き立つ魔力の虹色をしたモヤ。そして、底の見えないほど深いダンジョン。見下ろすと足がすくむ。
「悠人君。装備の点検はした、降下の経験は有りますか?」
「俺は父さんに連れられてやったことが有ります。その際に注意点、手順を習いました」
「そうか。心苦しいが我々は冒険を仕事としていない、知識としては習っても実践経験がない。先頭を頼めますか?」
「はい。恐らくこの作業のために俺はいるんだと思います」
俺は崖の淵に立った。ロープを淵の際も近い木に固定してありそれを幾つも繋げたロープが三ヶ所に。自衛隊に貰った冒険の道具に必要なもの、アンカーにハンマーなど。その場で対応出来るようにだろう。
既にダンジョンの崖に設置されたアンカーにもロープが通してある。
「ここまでの用意があれば安全ですね」
俺たちはハーネス、カラビナをロープに繋げて。俺が崖から降りて淵から手を離した瞬間にアンカーが外れ、ロープが支えてくれると思った。
「あっ、すまない悠人。ゴッドミノタウロスはかなり重い」
「それ、早く言えー!!」
落下する俺は大穴の底を見た。底がない暗闇のダンジョン。俺は気がつくべきだった。確かに装甲車がきしんでたし、地面に足が埋まってたのを気にしなかったのが悪いが。
「ごめん、みんな……!」
見上げた俺が見たのは、空を飛ぶセレストに、凛音とリュセラ、コピーたちに加えエルリックさんに自衛隊の人々。
「みんな飛べるんかい!」
全員が俺を支えて事なきを得た。
「私たちは飛行魔法で」
「我々は部分的に空気に命令して、硬化させました。しかし、魔法を信頼出来ないので非常時にしか使いません」
「ここまで、セッティングする必要って……」
そして、俺たちはエリカ大尉が硬化した空気の上に乗ってゆっくり降りていった。
奇跡の破片の回収。俺はそれが目的でここにやって来た。給料も貰える、いい仕事だと言える。今日一日で受けた攻撃の数を考えなければだが。それもほぼ身内からの攻撃だった。
「そそくさと帰ったカインたちだけど、幾つか洗って行ってくれたな」
「ありがたいね!」
「敵対しちゃったけどな!」
「片付けを終えたら追いかけよう。なに、僕らには二人もコピーがいる」
俺が見ると、凛音二号がブラシなどを用いてきっちり洗っているのが見えた。
「うん。仕上げは任せて私!」
「任せた! みんなはある程度汚れを落としてくれたらそれでいいから」
「分かった」
凛音は真剣に焼き台を洗っている。彼女はトライのために暴走する割にはしっかり使ったものを手入れする。それは良いことだ。
なので俺も急いで藍華を追いかけたいと言う言葉は飲み込もう。凛音が釣られた変な魚の骨を集めているのは自重してほしいが……。
バーベQの片付けが終わり、俺たちはダンジョンの大穴の淵に立った。
滝から来る水しぶきに、ダンジョンから沸き立つ魔力の虹色をしたモヤ。そして、底の見えないほど深いダンジョン。見下ろすと足がすくむ。
「悠人君。装備の点検はした、降下の経験は有りますか?」
「俺は父さんに連れられてやったことが有ります。その際に注意点、手順を習いました」
「そうか。心苦しいが我々は冒険を仕事としていない、知識としては習っても実践経験がない。先頭を頼めますか?」
「はい。恐らくこの作業のために俺はいるんだと思います」
俺は崖の淵に立った。ロープを淵の際も近い木に固定してありそれを幾つも繋げたロープが三ヶ所に。自衛隊に貰った冒険の道具に必要なもの、アンカーにハンマーなど。その場で対応出来るようにだろう。
既にダンジョンの崖に設置されたアンカーにもロープが通してある。
「ここまでの用意があれば安全ですね」
俺たちはハーネス、カラビナをロープに繋げて。俺が崖から降りて淵から手を離した瞬間にアンカーが外れ、ロープが支えてくれると思った。
「あっ、すまない悠人。ゴッドミノタウロスはかなり重い」
「それ、早く言えー!!」
落下する俺は大穴の底を見た。底がない暗闇のダンジョン。俺は気がつくべきだった。確かに装甲車がきしんでたし、地面に足が埋まってたのを気にしなかったのが悪いが。
「ごめん、みんな……!」
見上げた俺が見たのは、空を飛ぶセレストに、凛音とリュセラ、コピーたちに加えエルリックさんに自衛隊の人々。
「みんな飛べるんかい!」
全員が俺を支えて事なきを得た。
「私たちは飛行魔法で」
「我々は部分的に空気に命令して、硬化させました。しかし、魔法を信頼出来ないので非常時にしか使いません」
「ここまで、セッティングする必要って……」
そして、俺たちはエリカ大尉が硬化した空気の上に乗ってゆっくり降りていった。
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