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2部、2章
藍華を助けに行こう
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救護テントの中で、エルリックさんは笑顔だ。確かに眠らせる魔法ならセレストを傷つけずに止めることが出来ただろう。
「すみません。疑ってしまって。セレストをいじめて楽しんでいるなんて、あり得ませんよね」
「いや、普通に弄んでいるよ。悠大の世界でも、子供に酸っぱい食べ物を与えて表情を面白がると聞いた」
「前言撤回します。やっぱり悪い奴ですね……」
「ふふ、良識の範囲内ならやっていいって悠大も言ってた」
「魔法で眠らせるのは常識的なのでしょうか……?」
「いいわけ、あるかー!」
セレストの声がした。俺がそちらを見るとエルリックさんに銃口を向けてすでに引き金を引いた。
銃声が鳴り響き、テントの外から大慌てで自衛隊の人や凛音とリュセラ、二号たちが覗いている。
「くそ! ガードが早すぎる!」
弾丸はエルリックさんの目の前で止まっている。魔法なのだろうか。
「その程度じゃ、鳥を仕留めるのも難しいかもね。ナイフを投げた方がいい」
重ねて弾丸が放たれるも、エルリックさんの手前で止まっている。
「無駄に頑丈な魔力装甲使いやがって!」
「落ち着け、セレスト。このエルリックさんはコピーらしいから」
「的にはちょうどいい!!」
「えっ、僕は当たったこと無いけど?」
「火に油ー!!」
セレストがロケランを取り出したので、俺は慌てて押さえた。抵抗するセレストだが、ゴッドミノタウロスなので押さえることができた。今日一番腕力を使ったけど。
「とにかく、セレストが無事で良かった」
「ごめんなさい。藍華ちゃんを追いかけたんだけど、このくそ親父が妨害してきたから」
「そんなことになっていたのか、これは僕の責任だな」
「そうだ、あんたのせいだ! 責任とれ!」
「セレストは落ち着いて」
「助けに行こうか」
「エルリックさんって、敵じゃないんですか?」
「敵対した覚えはないよ、攻撃してきたのはセレストだし」
セレストを足止めするために、エルリックさんのコピーを作ったのはカインの罠だ。掛かるのは相手が巧妙だったから。俺はセレストを責められない。
「この野郎ー!」
「まさかセレスト。救える自信無いの?」
「あんたより早く救出するっての!」
「それはありがたいけど、もう夜だ。今から行くのは危険すぎる」
「いや、今から行こう」
テントの入り口から歩いてきたのはエリカ大尉だ。
「エリカ大尉、俺たちは戦闘して疲弊してますよ?」
「藍華君を連れ去られたのは自衛隊の責任だ。それに行き先も分かっている。大穴のダンジョンだ」
「ああ、その通り。そして、カインの事だから罠を仕掛けるね。僕なら急いで追いかける」
「ありがとうございます!」
「「私たちも行くよ!」」
凛音たちも意気揚々だ。
「「家族を連れ去られたなら、僕も力を貸そう」」
リュセラも同意してくれた。
こうして、急ぎ大穴に向かうことが決まった。だが、疑問もある。カインが罠を仕掛ける?
今までの態度は演技だったのかも知れない。けれど、カインと藍華の優しく親しい関係は偽物には思えなかった。
「すみません。疑ってしまって。セレストをいじめて楽しんでいるなんて、あり得ませんよね」
「いや、普通に弄んでいるよ。悠大の世界でも、子供に酸っぱい食べ物を与えて表情を面白がると聞いた」
「前言撤回します。やっぱり悪い奴ですね……」
「ふふ、良識の範囲内ならやっていいって悠大も言ってた」
「魔法で眠らせるのは常識的なのでしょうか……?」
「いいわけ、あるかー!」
セレストの声がした。俺がそちらを見るとエルリックさんに銃口を向けてすでに引き金を引いた。
銃声が鳴り響き、テントの外から大慌てで自衛隊の人や凛音とリュセラ、二号たちが覗いている。
「くそ! ガードが早すぎる!」
弾丸はエルリックさんの目の前で止まっている。魔法なのだろうか。
「その程度じゃ、鳥を仕留めるのも難しいかもね。ナイフを投げた方がいい」
重ねて弾丸が放たれるも、エルリックさんの手前で止まっている。
「無駄に頑丈な魔力装甲使いやがって!」
「落ち着け、セレスト。このエルリックさんはコピーらしいから」
「的にはちょうどいい!!」
「えっ、僕は当たったこと無いけど?」
「火に油ー!!」
セレストがロケランを取り出したので、俺は慌てて押さえた。抵抗するセレストだが、ゴッドミノタウロスなので押さえることができた。今日一番腕力を使ったけど。
「とにかく、セレストが無事で良かった」
「ごめんなさい。藍華ちゃんを追いかけたんだけど、このくそ親父が妨害してきたから」
「そんなことになっていたのか、これは僕の責任だな」
「そうだ、あんたのせいだ! 責任とれ!」
「セレストは落ち着いて」
「助けに行こうか」
「エルリックさんって、敵じゃないんですか?」
「敵対した覚えはないよ、攻撃してきたのはセレストだし」
セレストを足止めするために、エルリックさんのコピーを作ったのはカインの罠だ。掛かるのは相手が巧妙だったから。俺はセレストを責められない。
「この野郎ー!」
「まさかセレスト。救える自信無いの?」
「あんたより早く救出するっての!」
「それはありがたいけど、もう夜だ。今から行くのは危険すぎる」
「いや、今から行こう」
テントの入り口から歩いてきたのはエリカ大尉だ。
「エリカ大尉、俺たちは戦闘して疲弊してますよ?」
「藍華君を連れ去られたのは自衛隊の責任だ。それに行き先も分かっている。大穴のダンジョンだ」
「ああ、その通り。そして、カインの事だから罠を仕掛けるね。僕なら急いで追いかける」
「ありがとうございます!」
「「私たちも行くよ!」」
凛音たちも意気揚々だ。
「「家族を連れ去られたなら、僕も力を貸そう」」
リュセラも同意してくれた。
こうして、急ぎ大穴に向かうことが決まった。だが、疑問もある。カインが罠を仕掛ける?
今までの態度は演技だったのかも知れない。けれど、カインと藍華の優しく親しい関係は偽物には思えなかった。
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