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2部、2章

強要

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 影の中で、俺は俺二号と対峙していた。さっきまでの戦いは終わり。互いにコーヒーを飲んでいた。シナモンはマジカルシナモンでないものを入れている。もう大分魔法まみれだからだ。

「藍華は無事なんだな」

「ああ、俺の方はな。本物俺、カインの狙いだが、恐らく奇跡の破片の大結晶だ」

「てことはカインは大穴を探索するんだな」

「恐らくな。俺も藍華が居る限りあっちの味方をしないとならない」

「俺二号。それは仕方ない。でも、凛音たちを巻き込まないでやってくれ。二号たちも」

「分かっている。倒すつもりは無かった。逃げてほしかったからな。次からは加減する」

「「あの二人じゃ、どうにか出来そうだけどなー」」

 揃ってコーヒーを飲んだ。相手も俺だけあって穏やかな感じが馴染む。もはや仲良し兄弟みたいな気分に。

「取り敢えず俺は逃げるか。文句は言われるだろうがな」

「カインめ、卑劣な!」

「いや、藍華に……」

「何やってるの藍華!」

「カインは奇跡の破片で自分の願いを叶えるつもりだ」

「それで、藍華を誑かしたんだな、許せん!」

「ああ。魔法を教えてやるってな」

「うう。かつての優しく穏やかな藍華なら、そんなのに乗らないだろうなぁ」

「「おのれ凛音……!」」

「確かに藍華は寂しい日々を送ったから、色々やりたいのは分かる」

「でもだ、一番ヤバい奴のやり方を学んでしまった」

「警戒しないとな」

「凛音にもな!」

「適度に藍華が暴走しないように出来るか、俺二号?」

「やるしかない。そっちは凛音を押さえておけるか?」

「大丈夫だ纏まっていれば二人で高めあって過ごすだろうし。何も見つけなければだが」

 俺二号は影の中で立った。上下分からないけど、上にある光に向けて泳ぐ。

「俺は行くぞ。外では監視されているからな。本物俺、監視に気を付けろよ」

「分かった。そうだ、これ持ってけ!」

 俺は鞄から三つの袋を取り出して手渡す。

「エンチャント八つ橋だ。食べれば書いてある魔法を使える」

「ありがとう。じゃあ、これを貰ってくれ」

 俺二号が自身の鞄から取り出したのはカラフルなグミの入った袋だ。

「透明グミだ。グミに色は付いてるが、食えば一日の間、透明になれる」

「グミか。俺はまだ作ったこと無かったが、美味しそうだな。使ったのはマジカルシュガーなのか?」

「そうだ、あと、異世界の果物で作ったジュースだ」

「良く手に入ったな、それ」

「カインが用意した。必要だって言ったら即な」

「金持ちだな。俺二号に嫉妬しそう……。未知の調味料、良いなあ!」

「役得すまない。でも、分けあってこそだろ?」

「そうだな!」

 俺と俺二号は固い握手をして、マジカルシュガーも頂いた。影から出ていく俺二号を見送った。同時に出たら怪しまれるしな。別の場所から出れば良いのだが。
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