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2部、2章
再度
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装甲車の中で俺たちは席に着いた。運転手のアキラさんは運転を再開し、目的地を目指している。
俺とエリカ大尉、ユウキさんの前に座るのは二人のリュセラに囲まれた凛音だ。
「お前は何なんだ! どうして凛音に取り入ろうとする?!」
激しい口調で責め立てる本物リュセラ。
「ふ、本物はこんなにも臆病だとはな。凛音、安心しろ。僕が来たからには最後まで守り抜こう。作戦を成功させて、あの麗音の束縛から君を解放する」
「惑わされるな! 敵の罠だ、凛音!」
「お父さん強いけど、リュセラが二人いれば勝てるかな?」
「「勝てる!」」
「見てみたーい!」
「止めてやれよ……。それより、リュセラ二号。自分が何者か、どうやって生まれたか分かるか?」
「分かるぞ。僕は恐らく、魔法で作られたコピーだ」
「カインの魔法、コピーって有ったはず。やはり敵なのか? でも、セレストもいるし」
「しかしな、悠人。僕は精神操作を受けてない。きっとそこまでの強制力はない。魔法はある程度常識に帰属するからな」
「人物のコピーの時点で常識的じゃないがな! でも、リュセラ二号が敵である可能性は消えたか」
「この偽物が嘘を着いている可能性は……。無いな。嘘探知したがダメだ」
「でもでも、リュセラ二号。私を守るって言っていたけど、誰から?」
それを聞いたリュセラ二号は杖を持ち直した。
「呼称するなら、凛音二号だな」
「えー。でも、精神操作されないのに、自分に攻撃しないよー」
「じゃあ凛音、もし自分と戦えるとしたらやらない?」
「やる! 超トライしたい!」
「トライ狂いめ。 命を大事に……!」
装甲車が急に停車した。だが、川に着いたわけではない。まだ、風景は巨大な林のままだ。
「どうしました、エリカ大尉?」
「前に居るのは、先程話していた凛音君二号ではないか?」
俺は装甲車の前方の窓から外を見た。巨大な足が立ち止まっている。俺が顔を確認しようと目を上げたところで、背後から二発叩かれた。
「痛い、何しやがるリュセラども!」
「「凛音を下から見上げるな! し、下着が見えるかも知れないだろ!」」
「危なかった。同じ過ちを犯すところだった。でも、どっちか一人で制止してくれ……。コブが出来そうだ」
「大丈夫だ、悠人。ゴッドミノタウロスになっているお前が杖で殴られたくらいで、どうと言うことはない。全力で殴ったがな」
「加減しろ!」
「バカ、騒ぐな!」
外で凛音二号の足が動き、足先をこちらへと向けた。
「見つけた!」
リュセラ二号の言う通り、凛音のコピーだけはヤバイ。散々トライに付き合わされるだろう。本人もいつもそうなのだが……。
俺とエリカ大尉、ユウキさんの前に座るのは二人のリュセラに囲まれた凛音だ。
「お前は何なんだ! どうして凛音に取り入ろうとする?!」
激しい口調で責め立てる本物リュセラ。
「ふ、本物はこんなにも臆病だとはな。凛音、安心しろ。僕が来たからには最後まで守り抜こう。作戦を成功させて、あの麗音の束縛から君を解放する」
「惑わされるな! 敵の罠だ、凛音!」
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「でもでも、リュセラ二号。私を守るって言っていたけど、誰から?」
それを聞いたリュセラ二号は杖を持ち直した。
「呼称するなら、凛音二号だな」
「えー。でも、精神操作されないのに、自分に攻撃しないよー」
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「トライ狂いめ。 命を大事に……!」
装甲車が急に停車した。だが、川に着いたわけではない。まだ、風景は巨大な林のままだ。
「どうしました、エリカ大尉?」
「前に居るのは、先程話していた凛音君二号ではないか?」
俺は装甲車の前方の窓から外を見た。巨大な足が立ち止まっている。俺が顔を確認しようと目を上げたところで、背後から二発叩かれた。
「痛い、何しやがるリュセラども!」
「「凛音を下から見上げるな! し、下着が見えるかも知れないだろ!」」
「危なかった。同じ過ちを犯すところだった。でも、どっちか一人で制止してくれ……。コブが出来そうだ」
「大丈夫だ、悠人。ゴッドミノタウロスになっているお前が杖で殴られたくらいで、どうと言うことはない。全力で殴ったがな」
「加減しろ!」
「バカ、騒ぐな!」
外で凛音二号の足が動き、足先をこちらへと向けた。
「見つけた!」
リュセラ二号の言う通り、凛音のコピーだけはヤバイ。散々トライに付き合わされるだろう。本人もいつもそうなのだが……。
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