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2部、2章

もう一人のリュセラ

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 攻撃を受けて装甲車から出た先にはリュセラがいた。隣にいるリュセラと完全に同じ姿。しかし、隣のリュセラの顔は険しくなる。

「魔法による再現だな。完全に僕だ。魔力も武装も」

「さっきの攻撃はなんだった?」

「恐らく僕が殴ったんだな」

「ゴリラかよ! 本当に魔法使いか?」

「勇者パーティーならみんなこれくらい出来る」

「父さんも出来るのかよ!」

「ああ、思出話もしたいが今は無理だな!」

 二人目のリュセラが俺たちに杖を向けた。

「召喚魔法、星の海」

「いきなりか!」 

 俺は水筒を取り出して飲もうとしたが、既に世界は暗転し、星の数の聖霊が俺たちに襲いかかる。

「送還魔法!」

 俺の隣のリュセラがそう唱えると、全ての暗闇がかき消された。

 その隙に俺は水筒からコーヒーを注ぎシナモンを入れて飲み干した。自分の頭に金色の角が生えている。そして、身長が伸びたのか、かなりの高さからリュセラを見下ろしていた。

「俺、何に成ったんだ? 巨人?」

「バカな! ほぼ神域の獣だ。ゴッドミノタウロスになってる!」

「何が出来る、簡潔に教えてくれ?」

 敵のリュセラの方を見ながら、俺は仲間のリュセラに聞いた。

「ああ、試してみるか……」

 敵のリュセラが杖を振る瞬間、味方のリュセラは俺の襟を掴んだ。まるで柔道?

「ぶっとばしてこい!」

 リュセラは俺をぶん投げた。敵のリュセラが呪文を唱える。

「召喚魔法、魔竜鉱床」

 杖から何処までも広がる黒い水晶、空も地面も水晶に満ち、中から這い出てきた巨大なドラゴンの頭、口を開けて襲いかかってきた。

「死んじゃう!」

「大丈夫、多分」

「そこは自信を持ってくれぇー!!」

 飛翔した俺はそのまま黒い水晶のドラゴンの口の中。かしし、俺が触れた瞬間に水晶が全て砕けて消えた。ドラゴンもおらず。俺は空中、なので落下した。地面に叩きつけられたが、特に痛みはない。

「魔法の無効化?」

「そうだな。でなければ魔竜鉱床で水晶になって死んでる」

「危なすぎー!」

「賭けに出て正解だな」

「人の命を賭けんじゃねえ!」

「偽物の僕の姿がない!」

「装甲車だ、行くぞ!」

 俺たちが装甲車に再び入ると、中では……。

「凛音、君を守りに来た」

「ずっと一緒だったのに、今言う?」

「僕は、そうだなリュセラ二号と呼んでくれ」

 装甲車に入ったリュセラ二号は誰も傷付けてはいない。俺たちが入ってきても杖を構えない。こっちのリュセラは構えているがな。
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