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2部、1章

拠点

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 俺とセレストはリュセラたちと合流し、エリカ大尉の元へと帰った。

「モンスター出なくて良かったな。林から物音が結構聞こえた気がするが」

「そうね。逃げてったよ、悠人を見た瞬間に」

「弱いモンスターだったってことか」

「多分ドラゴンでも逃げるよ、その風体」

 ハイドラとなった俺の頭の数は、数えられない。一つだけ確かなのは俺の隣に人が立てないこと。

 それと木々の間を通るのにハイドラの頭の位置を動かさないとならないこと。頭の重さでふらつくし。地面に踏ん張るため足がやや埋まる。

 エリカ大尉は装甲車がある場所にて、野営の準備を整えていた。大きなテントが中央に一つあり、周りに四つのテントがある。周囲を鉄線で囲み、監視カメラなどが置かれている。

 俺に気か付いたエリカ大尉が手招きして俺たちを呼んだ。

「拠点を立てておいた。悠人君たちにテントを一つ割り当てるから荷物を置いてきなさい」

「ありがとうございます」

 全員で用意してもらったテントに入り荷物を置いた。俺を除いてなのだが。

「ハイドラ過ぎてテント入れなかったね、おにーちゃん……」

「荷物は入ったから大丈夫、だよね悠人?」

「寝る場所は困るがな……」

 荷物を置いた俺たちは、エリカ大尉の元へと向かった。自衛隊の人々もみんな揃っている。

「揃ったな。これから作戦について軽くブリーフィングを行う。先行隊は私のもとへ。待機隊はタケシの元へ集合」

「分かりました」

 俺は藍華の方を見た。待機隊の彼女はカインと一緒だ。セレストもいるが、カインを応援する可能性もある。悩ましいが、自衛隊の大人たちに任せるしかない。

 エリカ大尉の元へと集まると、エリカ大尉は地図を提示した。

「地図の上の部分に有る山に向けて、川をたどって進んで行くと滝の側に大穴が現れる。そこが今回の目的地だ」

「滝の水が大穴に流れ込んでいるんですよね?」

「そうだ、そのため川が渇れている。歩きやすいように思えるが、まだ、多少の水があるために淀み沼地になっている。落下に注意しよう」

「じゃあ、私たち先行隊で最初に向かうのは恐らく川の側、滝を眺める展望台だよね?」

「凛音君の言う通り、展望台が最初の目的地です」

「了解した。僕の方でも魔法を使うモンスターを警戒して進もう」

「にしても距離が有りすぎるっす。装甲車を使用できますか?」

「林で走るのは厳しくないですか?」

「ふふん! 我らがアキラの魔法の出番っすよ」

 意気揚々としたユウキさんはアキラさんを見たが、胸に手を当てて。喋らすにいた。

「……」

「アキラの魔法は伸縮魔法。装甲車ごと小さくして林を進むことも出来るが、途中までだ。沼地にはまると動けない、しかも、小さいサイズになったら、私たち自衛隊でも脱出不能な深い沼になる」

「そっか。縮んだ私たちにとっては大きな沼に足を踏み入れる感じになっちゃうもんね」

「ダンジョンの侵食で異常が出ているかもしれない。だから、徒歩で向かう」

「残念っす」

「おおむね伝えた。各自明日に備えて早めに寝ること。解散!」

 ブリーフィングは終わった。目的地は滝を望む展望台。ダンジョンの侵食という、未知の危険がある異常万全を期したい。

 割り当てられたテントで藍華たちに合流した。俺は入り口で座っているんだが。

「ねえねえ。せっかくだから、バーベキューしようよ!」

「「ダメだ!」」

 俺とリュセラは同時に叫んだ。

「凛音。冒険でそんな用意が有るわけないだろ」

「そうだぞ凛音。野営では、目立ちすぎるのは危険だ」

「えー。みんなでバーベキューしたいのに。記念に!」

「ううっ! 確かに凛音との再開だし、僕も……」

「流されるなリュセラ! 冒険の安全を……」

「おにーちゃん。私もやったことないからやりたいかも……」

「藍華。でもだな、食材はないだろ」

 話をしている俺の肩に手を置いた人がいる。ユウキさんだった。

「有るんだな、これが!」

 手にはクーラーボックス一杯の肉。奥では焚き火にバーベキューグリルを幾つか用意してある。

「税金の無駄遣い!」

「なに言ってるんすか。大事な任務の前は、しっかり準備するっす。大臣からの差し入れですし」

 用意が有るならと、バーベキューが始まった。自衛隊は厳しそうな印象有ったが、エリカ大尉の部隊は思ったより緩いようだ。藍華の思い出になるなら、それでも良いか。
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