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2部、1章
危機が去って
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林を照らす太陽は、依然としてそのままにしてある。他のメンバーを探さないとならないから。
相手が気づいてこちらに来てくれるかもしれないし。俺だったら突然現れた太陽とか近づきたくないけど。
「藍華、良かった。無事で!」
藍華は隠れた木の後ろから上半身のみを出した。
「カインが助けてくれたの。あの大きな熊を撹乱してくれたから隠れて逃げようと思ってた。その必要無かったけど……」
俺は藍華の体を確認したが怪我もない。衣服の乱れもない。良かった。何もされてないみたいだ。心配ないかもだか、カインも奥手そうだし。
「あの、ありがとうございます。今の僕では倒すのが難しい相手でしたので。僕も助かりました」
「別にカインを助けたわけではないからな。仲間だから助けただけだ。それと、藍華を庇ってくれてありがとう」
俺は藍華に近づいた。その時に藍華がカインと手を繋いでいるのに気がついた。その瞬間に俺は叫んだ。
「グオッー!!」
咆哮した俺。大気が大地に振動が響き渡り、林の木々が揺れ、隠れた動物やモンスターが勢い良く飛び出して、逃げていく。
「どうしたの悠人、とうとうモンスターになっちゃった?」
「俺は人間だ! カイン、藍華から手を離せー!」
俺はハイドラの頭を全てカインへと向け、牙を見せる。物質を創造する魔法で熱線ビームでも照射しようと思っていた。
カインの怪我を見つけるまでは。
「カインは私を守ってくれたの、ネズミに流されて木にぶつかりそうだった時も熊に攻撃されたときも!」
「そうだったのか。俺の誤解だった。すまない」
ハイドラの頭をおろした俺。カインは素直に藍華の手を離した。
「いえ。藍華さんが無事ならそれで良かったので。でも藍華さんと手を繋ぐとドキドキしてしまいますね」
「グオッー!!」
再度の咆哮。木々以外には動くものがない。モンスターも全部逃げたみたいだ。慣れたのか、誰も反応はしなかったのだが。
「とにかく良かった。一緒にみんなを探そう」
「うん。今ので逃げてないと良いけど……」
「大丈夫。リュセラとセレストは強いから、きっと……」
風を切る音と共に、何かが飛来した。俺は慌てて藍華の前にハイドラを集めたが。狙いは藍華でなかった。
俺の腹に何かが突き刺さり止まった。それは剣だった。いかにも勇者が使いそうな金色で、きれいな模様の剣。俺は剣の飛んできた方向を見た。
「悠人だったのか。すまない。今抜いてやる」
「リュセラ。確認してから攻撃してくれ。すごい痛い……」
「明らかに神話の怪物の声だったからつい、心臓に……」
「それ大丈夫かな!? 俺、死んでない?」
「平気だ。神話の怪物なら即死する」
「絶対大丈夫じゃないやつじゃん!!」
リュセラと合流することが出来た。死にかけた気がしたが、そんなことはなく。剣を抜いて、ヒールもかけてもらった。剣が抜けたら再生したけど。
相手が気づいてこちらに来てくれるかもしれないし。俺だったら突然現れた太陽とか近づきたくないけど。
「藍華、良かった。無事で!」
藍華は隠れた木の後ろから上半身のみを出した。
「カインが助けてくれたの。あの大きな熊を撹乱してくれたから隠れて逃げようと思ってた。その必要無かったけど……」
俺は藍華の体を確認したが怪我もない。衣服の乱れもない。良かった。何もされてないみたいだ。心配ないかもだか、カインも奥手そうだし。
「あの、ありがとうございます。今の僕では倒すのが難しい相手でしたので。僕も助かりました」
「別にカインを助けたわけではないからな。仲間だから助けただけだ。それと、藍華を庇ってくれてありがとう」
俺は藍華に近づいた。その時に藍華がカインと手を繋いでいるのに気がついた。その瞬間に俺は叫んだ。
「グオッー!!」
咆哮した俺。大気が大地に振動が響き渡り、林の木々が揺れ、隠れた動物やモンスターが勢い良く飛び出して、逃げていく。
「どうしたの悠人、とうとうモンスターになっちゃった?」
「俺は人間だ! カイン、藍華から手を離せー!」
俺はハイドラの頭を全てカインへと向け、牙を見せる。物質を創造する魔法で熱線ビームでも照射しようと思っていた。
カインの怪我を見つけるまでは。
「カインは私を守ってくれたの、ネズミに流されて木にぶつかりそうだった時も熊に攻撃されたときも!」
「そうだったのか。俺の誤解だった。すまない」
ハイドラの頭をおろした俺。カインは素直に藍華の手を離した。
「いえ。藍華さんが無事ならそれで良かったので。でも藍華さんと手を繋ぐとドキドキしてしまいますね」
「グオッー!!」
再度の咆哮。木々以外には動くものがない。モンスターも全部逃げたみたいだ。慣れたのか、誰も反応はしなかったのだが。
「とにかく良かった。一緒にみんなを探そう」
「うん。今ので逃げてないと良いけど……」
「大丈夫。リュセラとセレストは強いから、きっと……」
風を切る音と共に、何かが飛来した。俺は慌てて藍華の前にハイドラを集めたが。狙いは藍華でなかった。
俺の腹に何かが突き刺さり止まった。それは剣だった。いかにも勇者が使いそうな金色で、きれいな模様の剣。俺は剣の飛んできた方向を見た。
「悠人だったのか。すまない。今抜いてやる」
「リュセラ。確認してから攻撃してくれ。すごい痛い……」
「明らかに神話の怪物の声だったからつい、心臓に……」
「それ大丈夫かな!? 俺、死んでない?」
「平気だ。神話の怪物なら即死する」
「絶対大丈夫じゃないやつじゃん!!」
リュセラと合流することが出来た。死にかけた気がしたが、そんなことはなく。剣を抜いて、ヒールもかけてもらった。剣が抜けたら再生したけど。
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