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2部、1章

正体

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 自衛隊の基地で八ツ橋を作る俺たち。藍華に忍び寄る悲劇教団どうすればよかっ隊隊長カインは、吸血鬼だった。金持ち気配り上手だろうとも、危険な相手に藍華を委ねてはならない!

 俺はセレストから貰ったコーヒーに自らの鞄からマジカルシナモンを取り出して振りかけて飲み干した。何かの魔法の感触がある。

「え、嘘……!」

「どうした、セレスト?」

「悠人、いま物質を生み出す魔法使えるよ」

「それは本当か?」

 俺は手のひらを上に向けてイメージした、調理で次に必要なものを。

 手から長くて太い気の棒が生成される。

「麺棒作れちゃった」

「最強魔法の使い方! バトルで無敵なのに!」

「いや、これはバトルだ。藍華を守るための!」

 俺は魔法で三つのものを作り出した。一つはニンニク、紐を通した首飾りにした。

 二つ目は水。やたらに流す訳にも行かないので背中で円をつくり、永遠に巡る様に流水を作った。

 三つ目は太陽。かなり規模が小さいが紫外線とかの対策で魔力の層で覆っている。日光だけが届くように。

「これで、カインの正体を暴いて見せる!」

「神様にでもなるつもりなの?」

 ハイドラの多頭、御光、太陽を携えているからセレストの例えも、あながち外れでもない。

「藍華のためならな!」

 俺は藍華たちの元に戻る。俺を見た全員は呆然としたが、これも藍華のため。

「生地が冷えたから、伸ばそう」

「おにーちゃん、まぶしい……」

「ああ、ごめん」
 
 俺は太陽を遮断する魔力の層を狭めた。カインにだけ日光が当たるように。

「まぶしいですね……」

 カインは手で光を遮っている。効いてるな!

 俺と凛音は生地を伸ばす作業に入った。藍華はカインの申し出で力仕事を彼に任せた。俺のとなりに来たカイン。日光を照射しながら、増えた頭の一つに掛けたニンニクを近づける。

「カイン、調子はどうかな? 辛そうなら俺がやっとくぞ!」

「いえ、これくらいは頑張ります。藍華さんに任されたので」

 彼の顔をチラッと見た俺は。彼が苦笑いしているのが分かる。背中のニンニクと流水も効いている。

 しかし、無事に伸ばし終えてしまった。カインがダウンした時に打ち明ける作戦が。ここは粘り強く攻撃を続けるんだ。

 生地がきっちり伸びて。薄く広がったところで、魔法で包丁を作り出す。三人分作り、凛音とカインに手渡した。

 カインの伸ばした生地を見るとやや厚い。ダメージか有るんだ。吸血鬼だから。

 また、調理台に三人ならんで生地を整形していく。包丁でお好きな形にカットするのだ。

「痛っ!」

 カインの指から赤い血が出ている。

「どうした、カイン? 指を切ったなら、休んでいいぞ。そろそろキツくなって来ただろう。吸血鬼だから!」

「いえ、大丈夫ですよ。僕は吸血鬼と人間のハーフなので弱点はむしろ人間と同じですから回復力は有りますが」

「なん、だと!」

「大丈夫、カイン?!」

 藍華がカインに近づいて傷を治療してくれた。俺の努力は無駄だった。むしろ、彼は人間寄りなのか怪我をさせてしまった。

 俺は罪悪感から、ニンニクなどを一旦消して調理工程を残りをやっといてあげる。

 カインが、ほぼ人間なら有りなのではという気持ちと。

 悲劇教団の人間という不信感に苛まれる。安全な相手だとは思えない。悲劇教団の人たち割りと普通の人多かったけど。
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