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2部、1章

傷だらけ

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 壊れた自衛隊の基地にたどり着いた俺たちは装甲車から降りた。

「木村、伊藤、周囲の確認! 鈴木は救護の用意を」

 自衛隊の大人たちは滞りなく降りた。木村さんたちは銃を手に握っている。エリカ大尉もアサルトライフルを取り出して、周囲の様子を見ながら進む。

「俺たちも行きます!」

「悠人君、藍華君は一般人だ。待機していろ」

「魔法を使える一般人が居ますか?」

 エリカ大尉は頭を抱えたが、手招きしてくれた。俺はコーヒーを飲み干して後に続く。後ろに藍華、ミホさんが最後尾になってくれた。

「なぜ、今飲んだ?」

「俺はスパイスを食べて魔法を使います。マジカルシナモンを入れました」

 俺の体に早速変化が現れる。首の横から二つの蛇の頭が生えてきた。肌は鱗に変化する。蛇には角が生えていて、俺と目が合うと会釈してくれた。

「変身の魔法か」

「今日のは頭のいっぱい有る蛇みたいです」

「おそらくハイドラだな、再生能力がある」

「異世界について知っているんですか?」

「訓練の際にダンジョンに入った。それなりに魔物と戦ったからな」

 前に進んでいた木村さんが手招きをする。前身の合図だ。

「大臣の他に誰が居ますか?」

「娘さんの凛音君、異世界の協力者リュセラに、悲劇教団の隊長が二人いると聞いた」

「凛音たちは分かるけど。なぜ、悲劇教団が?」

「大臣が悲劇教団の司教に頼まれたらしい」

「大丈夫なのでしょうか?」

 悲劇教団は今バラバラだとセレストが言っていた。
 
「私は大臣の判断を信じる。大臣は立派なお方だ。そして、強い」

「確かに強いけど、自衛隊の基地にこれ程の被害が及ぶなんて、強敵と戦っているに違いない」

 壊れた小屋の間を進むと、開けた場所にたどり着いた。そこにはボロボロの大臣の姿がある。

「大臣! いったい何が」

 エリカ大尉と共に大臣に近づいた俺たちは目にした。ボロボロのリュセラの姿を。彼は大臣に接近し、杖で殴った。

「リュセラと戦っていたんかい!」

「お前のような臆病者に凛音は任せん!」

「止めろって」

 俺は二人の間に立った。だが二人は止まらなかった。リュセラの杖と麗音さんの剣が当たる。

「痛い!」

 切られた俺の体は再生し、二人の武器を掴んだ。

「「なんだと?!」」

 遅れてエリカ大尉たちと藍華がやってくる。

「大臣、他の皆は?」

「避難して貰った」

「それにしても、やり過ぎでは?」

「大丈夫、私が直すよ」

 瓦礫の端から凛音が出てきた。

「凛音、二人を止めてくれよ」

「二人とも強かったから、間に入れなくて。私が見たいって言ったばっかりに」

「凛音がやらせたんかい!」

 二人の戦いは終わり、自衛隊の施設は一瞬で治った。ようやく本題に入れる。リュセラと大臣はまだ、戦いたいみたいだが。
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