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4章

助けるために出来ること

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 病室で凛音の家族と会った俺たち。病室内は自然豊かな場所となっている。咲いている花や苔から魔力を感じることが出来る。

「お母さん、私。沢山冒険してきたの」

「無事に帰ってきて偉いわね。怪我はなかった?」

「うん。ヒールを習ったから、治せた!」

「凛音ちゃん怪我したのか? やったのはどこのどいつだ!」

「擦り傷とかだから平気だよー!」

 久しぶりの家族の再会。凛音にとってはかなり時間が経っている。三日から四日ほどの体感時間をダンジョンで過ごしたのだから。

「友達も出来たの! 悠人とリュセラ」

 凛音か俺たちの方を向いて、紹介した。

「悠人は調味料を使ってお菓子をくれたの、リュセラは魔法を教えてくれた」

「ありがとう。凛音のお世話、大変だったでしょう」

「いえ、凛音はしっかりしていますよ。トライさえなければ」

「ふふっ、凛音は危なっかしいよね」

 俺たちと凛音のお母さんは笑った。凛音は不服そうだが。そして、凛音は俺たちの紹介を終えたので本題に入った。

「お母さん、この回復の杖で助けてあげるからね」

 笑顔だった凛音のお母さんが、困ったように凛音のお父さん、麗音さんを見る。

「凛音、母さんには回復の必要がないんだ」

「なんで? まだ、お母さん調子悪そうなのに」

「精霊は魔力の有る食べ物を食べれば自然治癒するのだ」

「そうだったのか。だから、悲劇教団が現代の武器を持っていたのか」

「気がついたのか悠人くん、軍事機密に」

 凛音のお父さんから強い魔力を感じたが、すぐに抑えてくれた。

「ここまで来れば隠せない。俺は妻を助けるために、あのダンジョンを封鎖し単独で取引をした」

「食材を仕入れるために、武器を輸出したんですね」

「妻は少しづつ回復した。だが、奴はわざと魔力の少ない食材を渡していた」

「だから、お母さんずっと病院に居たんだ……」

「エルリックの奴、僕が行って叩きのめしてやる!」

「それはいい、俺は妻が無事ならそれでな。エルリックが、優男の割には天然クズである事はいつも通りだからな」

「それはそうだが……」

「それに俺は単独で移動するために、小さい単車で移動していた。持てる荷物も多くはない」

 ダンジョンに有った一本の筋はタイヤの跡だった。麗音さんはバイクに積める荷物を積んで往復したんだ。

「もう一度、私が食材を取りに行って……」

 不安げな凛音の肩に麗音さんは手を置いた。

「凛音ちゃんを危険な目に会わせたくない。それはトライの時の約束だったろう?」

 悔しがる凛音。彼女の両親の気持ちも分かる。ダンジョンは魔物も居るし、罠だってある。これ以上無為に歩かせるわけには行かないのだ。だから、俺は手を上げた。

「俺の持っている異世界の調味料を貰ってください」

「いいの? あんなに楽しみにしていたのに」

「凛音だけ目的が果たせないなんて、かわいそうだから」

「僕の保存食も提供する」

「リュセラお前、備えを失って良いのか?」

「僕も凛音が苦しむのを望まない」

「ありがとうみんな。でも、私が一番持っているけどね」

「え?」

「悠人は氷の魔法が使えないし、リュセラは備えを持っているけど。私はほら、行列で宿に帰る時に沢山買って冷凍したの」

「あー。まあ、少しは貸すよ」

「僕の備えは味、微妙だしな……」

「でも、ありがとう。みんなで料理だー」

 俺たちは凛音に連れられ、病院の調理場へと行った。そこで沢山の料理を作り、凛音のお母さんは無事に立てるようにまで回復した。治るの早いな。
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