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4章

最強の戦い2

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 壁に穴が空き、広い遺跡の中がさらに広くなる。俺たちはリュセラとセレストの対立を前に、動けずにいた。

「お前、悲劇教団の司教の娘だな?」

「隠したかったけど、その通り」

「なぜ教団を解体したい?」

「あいつがコントロール出来てないから。今の教団はバラバラ。だから、私があいつから全てを奪うの」

「権力争いに悠人と凛音を巻き込むなよ!」

「それ、危険な宝さがしに二人を巻き込んだ人のセリフ?」

 リュセラは杖で床を叩く。

「召喚魔法、水」

 床から溢れでた多大な水が、セレストを押し流そうと、大波になる。

「ひとつの世界の全てを召喚する、すごい魔法ね。私が相手じゃなかったらね」

 セレストは逃げずに波へと歩いた。そして、呪文を唱える。

「沈まずの加護、濡れずの加護」

 波がセレストに当たる瞬間に、逸れてセレストの周囲には隙間が出来た。彼女が歩くと、水の方が弾かれる。

「すごい。あれだけの水があっても濡れないなんて」

「悠人。セレストは無事だけど、私たちはヤバいかも」

 大量の水が俺達目掛けて流れてきた。

「きっと押し流す気だ、大丈夫」

 俺は身構える。セレストがこちらを振り向いて俺を見た。

「スライムって大量の水に触れると溶けるよ」

「マジか!」

 迫り来る大波から走って逃げた。いくら強化されていても、スライム部分が溶けたら不味い。だって、その部分は服だから。

「全裸になりたくない!」

「また、俺を着ろ」

「俺は服を諦めない。服を守ってくれスカーフ」

 スカーフを広げて俺はジャンプした。魔物の力で強化された俺の足は天井まで届く跳躍。そして、スカーフを突き刺してぶら下がる。

「助かった」

「そうだね」

「おお凛音も……、なぜ天井で声が?」

「飛行の魔法を使ったの」

「今度俺にも使ってくれ……」

 魔法万能なんだな。俺も使えたら楽だろうに。

「俺も無事だせ!」

 壁に大剣を突き刺したドラクもいる。筋肉も万能だな。鍛えてない俺には無理だが。ドラクは鍛えただけでは無理そうなことしているが。

 下ではリュセラとセレストのバトルが繰り広げられている。セレストの銃弾により遺跡は壊れていく。リュセラの召喚した水で綺麗に洗い流されて瓦礫はないが。

「避けてばっか。頼みの水が効かない気分はどう?」

「お前、あの親父そっくりだ。いつも笑って人を苦しめる」

「似てません! 私、母さん似だから。あなたこそ、父さんに魔法習ったから、甘ったれた魔法ばっかじゃない!」

「奴とは違う。習いはしたが、あれほど非力でない。試してみるか?」

 リュセラとセレストはにらみ合い、向き合う。リュセラは杖から炎が溢れ。セレストは銃を構え狙いを付けた。

「これ以上はよせ!」

 俺はスカーフを戻し、二人の間に落下した。炎も銃も命が危険だ。止めようと落下した。だが、二人は突然笑い出したのだ。

 落下中の俺は訳が分からずフリーズ。そして、地面にぶつかった。

「ハッハッハ。気が合うなセレスト」

「フフッ、リュセラも。父さんのこと良く分かってるから。ついね」

 敵対していた二人は一変。仲良くなれたのか?

 でも、リュセラには人質の鍋もいる。引くに引けない状況なのに。二人の笑いは止まらない。

 もしかして思っているほど、不仲でない?
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