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3章
最強の仲間
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地図と鍵を取り返そうと洋館に乗り込んだ俺たちは敵の罠にはまり。落とし穴へと落下していた。底が深く、まだ落下中だ。
「強くなりすぎて油断した」
「どうしよう?」
「取り敢えず下に着いてから考えようぜ」
「手遅れになるだろ!」
「嫌、それはありだ」
リュセラは下を見ながら言った。底が見えてきたからだ。赤い光の底には溶岩が広がっていた。熱が上ってきてとても熱い。身構えた時に俺は自分がドラゴンであることを思い出した。
溶岩にドボンと沈んだ後に、俺は浮かび上がる。凄い熱いけど、なぜか耐えられる。ドラゴン、やっぱドラゴンだな。
そんな俺の頭に重い蹴りが炸裂した。三度もだ。のし掛かった足を持ち上げて上を見ると、ドラク、リュセラ、凛音の順番で直列に立っていた。
「さすがドラゴンだな」
「やるな、悠人」
「私もドラゴンに成ってみたい!」
「降りてから言ってくれ……」
「「「降りたら危ないだろ!」」」
話している間にぐらついて、三人が溶岩に落ちた。
みんなが危険だと思ったが、みんな立ち上がる。
「意外といけるな!」
「泳いでもいい?」
「溶岩はやめとくんだ。魔法が解けるかもしれないし。ジャリジャリが服に入るぞ」
「なにそれ面白そう!」
「そう言えば服も溶けるんじゃ……」
「服にも多少魔法の影響があるみたいだ。悠人も火の魔法食らった時に燃えなかっただろ」
「なるほど。それはそれとして、どうやって脱出しよう」
落とし穴は深く、その底にいる俺たちは上らなくてはならない。
「そこで僕の飛行魔法が……」
「猫だから壁を蹴りながら登れない?」
「そうか。脚力も上がっているし、鹿のジャンプする力もある」
「おのれ悠人!」
リュセラは俺を睨む。
「俺、そう言う器用なの苦手だぜ」
「そこはリュセラに頼ろっか。お願いできる?」
「やるぞ!」
俺たちは跳び跳ねた、落とし穴の岩の壁に張り付くと蹴りあげながら登っていく。多少猫の爪があるのか、短い時間は張り付いて休むことが出来た。リュセラとドラクは飛行魔法により上昇した。
落とし穴の入り口は閉じていたが、頭突きしたら出られてしまった。唖然とした顔の縦ロールと廊下に立つ少女。
「化物がきたー!」
怯える縦ロールに対して、落ち着いている少女。彼女は見覚えのあるローブを着ているから、悲劇教団だと分かる。
「地図と鍵を渡して貰おうか」
「それは出来ないね。もしかして、あなたたち。自分たちが有利だと思っている?」
「不利な要素がねえぞ。人数、魔法による強化、戦闘能力の高さ、そして、リュセラ。今の俺たちに勝てるのは勇者一行くらいだろ」
「事実だね。では、私たちの方も開示しよう。この悲劇教団助けたかっ隊副隊長、ハンネが」
ハンネはローブから写真を取り出した。それを見て驚いたのはリュセラだろう。写って居たのは鍋だ。少女の姿で鎖に繋がれている。
「卑劣な!」
「多勢だからね、策を労しただけ。人質解放の条件は一つ。リュセラ、あなたに私たちへの協力を要請しよう」
「そんなの、でたらめだ。鍋はリュセラの強い仲間だから」
リュセラの仲間は強かった。洗濯板のメイドもかなりの腕力を持っていたから。そして、リュセラが鍋が最も強いと言った。
リュセラは杖を構えた。敵にではなく俺たちに向けて。
「ごめん。今の鍋ちゃんは違うんだ。弱っているから、見過ごせない」
「分かった。ここで倒していくぜ、リュセラ」
「待て、ドラク!」
ドラクは既に斧を持ち、リュセラに切りかかっていた。それに対してリュセラは杖を振る。
「召喚魔法。土」
リュセラの前に土の壁が現れる。この洋館には土などなかった。だが何処にでもある茶色い土は流動し、ドラクの斧を受け止めた。
「押し返したらっ!」
ドラクは土の壁を丸ごと吹き飛ばした。だが、更なる土がドラクを覆い被さり、固めてしまった。
「おかしい。量が増えている?」
「その通り。世界の土の量など計れるか?」
「なら、私が! 火の剣」
凛音が杖を用いて、あの魔法を使った。食らったから分かる強い攻撃。それに対してリュセラは杖を傾ける。
「召喚魔法。火」
リュセラが放った火は、フロアを全て隠して凛音の魔法を焼きつくした。
「僕の魔法は召喚魔法。世界一つ分の物質を呼んでいる」
静まったフロアに拍手の音が響いた。ハンネが拍手の手を止めてリュセラに近付いた。手に、写真が握られている。
「さすがは世界を救える魔法使い。私の出番もないね。約束するよ。用件が終われば彼女をお返しします」
「リュセラ! ドラクが死んでしまう!」
俺はドラクを固めた土を叩いた。土には隙間がない、呼吸が出来ないかもしれないんだ。だが、その固さはまるで、地面を殴っているようだった。
「召喚魔法。水」
リュセラは杖で地面をつつく。溢れ出る水は俺たちを飲み込み押し流した。海で波に巻き込まれた時と同じ。上下が分からず掴む場所も、仲間の居場所すらも分からない。
俺たちは洋館の外にいた。呆然としている凛音。気絶しているドラク。リュセラは居ない。
ドラクに駆け寄った俺は彼の肩を揺すった。彼は意識を取り戻す。
「ドラク。良かった……」
「良かねえ。また負けた」
「凛音は無事か?」
「うん。なんかね。波に飲まれるの楽しかった」
「無事だな。でも、この先どうしよう。進むべき道が分からない……」
「そんな時こそ。スマホがあるじゃない!」
俺のポケットからスマホが飛び出した。電子機器なのに。
「何で水に浸かって壊れてない?」
俺の鞄からカメラが出てくる。
「悠人さま。あれを」
カメラが指差すその先には古びた紙と鍵。
「俺の地図と鍵じゃねえか!」
「もしかして、リュセラ逃がしてくれたの?」
「そうです。私たちに水が触れないように押し流してくれたんです」
「やることは決まったな」
「ああ。二人を助けて、回復の杖を目指す」
俺たちは進む。ダンジョンの回復の杖を目指して。それはそうと、鞄の調味料を確認したいのだが。
「強くなりすぎて油断した」
「どうしよう?」
「取り敢えず下に着いてから考えようぜ」
「手遅れになるだろ!」
「嫌、それはありだ」
リュセラは下を見ながら言った。底が見えてきたからだ。赤い光の底には溶岩が広がっていた。熱が上ってきてとても熱い。身構えた時に俺は自分がドラゴンであることを思い出した。
溶岩にドボンと沈んだ後に、俺は浮かび上がる。凄い熱いけど、なぜか耐えられる。ドラゴン、やっぱドラゴンだな。
そんな俺の頭に重い蹴りが炸裂した。三度もだ。のし掛かった足を持ち上げて上を見ると、ドラク、リュセラ、凛音の順番で直列に立っていた。
「さすがドラゴンだな」
「やるな、悠人」
「私もドラゴンに成ってみたい!」
「降りてから言ってくれ……」
「「「降りたら危ないだろ!」」」
話している間にぐらついて、三人が溶岩に落ちた。
みんなが危険だと思ったが、みんな立ち上がる。
「意外といけるな!」
「泳いでもいい?」
「溶岩はやめとくんだ。魔法が解けるかもしれないし。ジャリジャリが服に入るぞ」
「なにそれ面白そう!」
「そう言えば服も溶けるんじゃ……」
「服にも多少魔法の影響があるみたいだ。悠人も火の魔法食らった時に燃えなかっただろ」
「なるほど。それはそれとして、どうやって脱出しよう」
落とし穴は深く、その底にいる俺たちは上らなくてはならない。
「そこで僕の飛行魔法が……」
「猫だから壁を蹴りながら登れない?」
「そうか。脚力も上がっているし、鹿のジャンプする力もある」
「おのれ悠人!」
リュセラは俺を睨む。
「俺、そう言う器用なの苦手だぜ」
「そこはリュセラに頼ろっか。お願いできる?」
「やるぞ!」
俺たちは跳び跳ねた、落とし穴の岩の壁に張り付くと蹴りあげながら登っていく。多少猫の爪があるのか、短い時間は張り付いて休むことが出来た。リュセラとドラクは飛行魔法により上昇した。
落とし穴の入り口は閉じていたが、頭突きしたら出られてしまった。唖然とした顔の縦ロールと廊下に立つ少女。
「化物がきたー!」
怯える縦ロールに対して、落ち着いている少女。彼女は見覚えのあるローブを着ているから、悲劇教団だと分かる。
「地図と鍵を渡して貰おうか」
「それは出来ないね。もしかして、あなたたち。自分たちが有利だと思っている?」
「不利な要素がねえぞ。人数、魔法による強化、戦闘能力の高さ、そして、リュセラ。今の俺たちに勝てるのは勇者一行くらいだろ」
「事実だね。では、私たちの方も開示しよう。この悲劇教団助けたかっ隊副隊長、ハンネが」
ハンネはローブから写真を取り出した。それを見て驚いたのはリュセラだろう。写って居たのは鍋だ。少女の姿で鎖に繋がれている。
「卑劣な!」
「多勢だからね、策を労しただけ。人質解放の条件は一つ。リュセラ、あなたに私たちへの協力を要請しよう」
「そんなの、でたらめだ。鍋はリュセラの強い仲間だから」
リュセラの仲間は強かった。洗濯板のメイドもかなりの腕力を持っていたから。そして、リュセラが鍋が最も強いと言った。
リュセラは杖を構えた。敵にではなく俺たちに向けて。
「ごめん。今の鍋ちゃんは違うんだ。弱っているから、見過ごせない」
「分かった。ここで倒していくぜ、リュセラ」
「待て、ドラク!」
ドラクは既に斧を持ち、リュセラに切りかかっていた。それに対してリュセラは杖を振る。
「召喚魔法。土」
リュセラの前に土の壁が現れる。この洋館には土などなかった。だが何処にでもある茶色い土は流動し、ドラクの斧を受け止めた。
「押し返したらっ!」
ドラクは土の壁を丸ごと吹き飛ばした。だが、更なる土がドラクを覆い被さり、固めてしまった。
「おかしい。量が増えている?」
「その通り。世界の土の量など計れるか?」
「なら、私が! 火の剣」
凛音が杖を用いて、あの魔法を使った。食らったから分かる強い攻撃。それに対してリュセラは杖を傾ける。
「召喚魔法。火」
リュセラが放った火は、フロアを全て隠して凛音の魔法を焼きつくした。
「僕の魔法は召喚魔法。世界一つ分の物質を呼んでいる」
静まったフロアに拍手の音が響いた。ハンネが拍手の手を止めてリュセラに近付いた。手に、写真が握られている。
「さすがは世界を救える魔法使い。私の出番もないね。約束するよ。用件が終われば彼女をお返しします」
「リュセラ! ドラクが死んでしまう!」
俺はドラクを固めた土を叩いた。土には隙間がない、呼吸が出来ないかもしれないんだ。だが、その固さはまるで、地面を殴っているようだった。
「召喚魔法。水」
リュセラは杖で地面をつつく。溢れ出る水は俺たちを飲み込み押し流した。海で波に巻き込まれた時と同じ。上下が分からず掴む場所も、仲間の居場所すらも分からない。
俺たちは洋館の外にいた。呆然としている凛音。気絶しているドラク。リュセラは居ない。
ドラクに駆け寄った俺は彼の肩を揺すった。彼は意識を取り戻す。
「ドラク。良かった……」
「良かねえ。また負けた」
「凛音は無事か?」
「うん。なんかね。波に飲まれるの楽しかった」
「無事だな。でも、この先どうしよう。進むべき道が分からない……」
「そんな時こそ。スマホがあるじゃない!」
俺のポケットからスマホが飛び出した。電子機器なのに。
「何で水に浸かって壊れてない?」
俺の鞄からカメラが出てくる。
「悠人さま。あれを」
カメラが指差すその先には古びた紙と鍵。
「俺の地図と鍵じゃねえか!」
「もしかして、リュセラ逃がしてくれたの?」
「そうです。私たちに水が触れないように押し流してくれたんです」
「やることは決まったな」
「ああ。二人を助けて、回復の杖を目指す」
俺たちは進む。ダンジョンの回復の杖を目指して。それはそうと、鞄の調味料を確認したいのだが。
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