修復スキルで無限魔法!?

lion

文字の大きさ
上 下
40 / 49

討伐依頼を受ける

しおりを挟む
 「じゃあこれで依頼受領となります。本当にお気おつけくださいね」

「任してください!ンガハハハハ!」

 ンガハハじゃねぇよ......、結局エンシェントエルフの討伐依頼受けちゃったじゃないか......。

「んじゃ!ありがとうございます!1週間後にまたここにくればいいんスよねぇ~?」

「はい、1週間後のお昼までにはここへいらしてください。集まり次第討伐についての説明があるそうですから」

「了解ッス!じゃあまたぁ!」

 シュタッと右手を上げて颯爽とギルドを出ていくゼニの後を小走りで追いかけオレもギルドを出た。

「お前よぉ……本当に大丈夫なのか?ミズィさんにもやめとけよって言われただろ?」

「あぁん?大丈夫だって!たかがエルフだろエルフ!ミズィさんもエルフは強いからやめとけって言った訳じゃねぇだろぉ?たぶんなんかこう、森が迷ったりしちゃうから面倒なんだって事だよ、たぶん」

 たぶんそうじゃ無いだろ。

「まぁー……受けちゃったもんは今さらだからなぁ。とりあえず後1週間ある。ちゃんと準備だけはしておこうぜ」

「おおよ!さしずめ最初は今日の宿を探す所からだな!風呂に入りてぇ!」

 そうだった!まだ今晩泊まる所すら決めてなかったんだ!てか今何時なんだろ?どこかで時計買っておけば良かった。

「ところで今何時なんだ?」

「んあ?ああー、もう夜の8時か……宿探すなら急がねぇとなぁ」

「よっしゃ、さっそく行くか!」

 気持ちを切り替えて行こう!

 

「じゃあ1週間分まとめてで5万エルになるがいいかい?」

 宿屋のカウンターのおばちゃん、見るからに気前の良さそうな恰幅のいいおばちゃんだ。オレとゼニは宿屋が並ぶ通りを歩き、そんなに高そうじゃなくて、それでいて質の悪くなさそうな宿を外観だけで探してみた。それで1番最初に入ったこの宿がゼニの理想通りだったようで即宿泊が決まった。

「1泊7000エルちょっとでこの宿なら安すぎじゃねぇかぁ!?おばちゃん!?」

「あら、嬉しい事言ってくれるねぇ~!まぁここは私と旦那と、旦那の弟夫婦でやってるからそんなに大したサービスは出来ないのさ。それでもうちの旦那が作る料理はそこいらの宿には負けないよ!楽しみにしときなよ!」

 そう言って快活に笑うおばちゃんはとても良い人そうだ。宿自体も清潔感もあるし、ゼニが譲れないって言ってた風呂も、そこまで大きくは無いが1階に大浴場があるらしい。何より自慢の料理が楽しみだ。

「まぁ値段の分、部屋はちょっとばかし狭いが、男1人寝泊まりするには十分さぁ!女の子連れ込むなら話は別だけどね!」

 おばちゃんはまた笑いながら部屋へ案内してくれた。2階の奥、ちょうど2部屋ならんで空いていたのでそこへ案内してくれた。

「はい、これが部屋の鍵ね。あんたらみたいな駆け出し冒険者でもちゃんと鍵はかけるんだよ。1階のカウンターにはいつでも誰かしらいると思うから、何かあったら言ってくれればいいさ。ご飯は1階の食堂に行けば食べられる。宿代にはご飯の代金は入ってないから都度会計しておくれ。朝は6時から、夜は20時までしかやってないから、それ以外の時間にご飯にするならその辺の飯屋に行くといいさ」

「ありがとうございます。じゃあ明日は朝ご飯からごちそうになろうかな?」

「そうするといい。今日はもう遅いんだ、部屋でゆっくりするといいさ」

「だな、なんか疲れたぜ」

「お前が余計な揉め事起こすからだろ。頼むから今日はもう大人しく寝てくれ。オレの方が遥かに疲れてて眠い」

「ははは!じゃあすぐ寝ちまいなよ!」

 そう言うとおばちゃんは下へと降りていった。

「だな、じゃあお互い部屋でゆっくりするとするか。また明日の朝飯の時にだな。7時ぐらいでいいよなぁ?」

「ああ、じゃあそうしよう、明日の朝7時にな」

 そう言ってオレとゼニはお互い部屋へと入った。あ、7時って言ったけどオレ時計持ってないや。
 部屋に入ると中は6畳程の広さで、そこに簡素なベッドと小さな机、その横にゴツイ化粧台の様な鏡の付いた棚があった。はっきり言って狭い。まぁ不満と言えばそれぐらいだ。別に家具が古い訳でも無く、さらにとても綺麗だ。これでこの値段なら十分お得だ。
 とりあえず荷物を床に放り投げベッドにダイブ。おっと靴を履いたままだった。このアメリカンスタイルにはまだ慣れないなぁ。あ、そうだ、靴脱ぐ前にドアに鍵かけなきゃ。
 ドアに鍵をかけ再びベッドへ。そしてそのまま横になる。そして今日の慌ただしかった1日を振り返り頭の中を整理しなきゃ。

 討伐依頼に出発するまでは後1週間ある。それまでにやる事は、まずは体力作りか……。まだ少しお金に余裕もあるから、もっと動きやすい服と靴を買わなくちゃな。筋肉痛はヒールで回復出来ることが分かったから、普通の人よりはキツめのトレーニングもありだな。後は今日買ったスクロールを試さないと。使用感や威力、射程距離なんかはちゃんと把握しておかなきゃ。たぶん1週間なんてあっという間だ。とは言え1週間、この世界へ来て初めての大きな街だ。この世界の事や常識なんかを知るいい機会だ。とにかく時間を無駄にしないようにしよう。
 そんな事を考えていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。

「あれ……?寝ちゃってたのか」

 窓から差す朝日で目が覚めた。カーテンすら閉めていなかったみたいだ。服もそのままだったけど、辛うじて靴は脱いでいたみたいだ。

「いや本当、良く寝た」

 昨日はよほど疲れていたんだな。夢すら見ないで一気に朝になってた。この世界に来てから夜はものすごく熟睡出来ている。たぶん前の世界では1日中ベッドの上で過ごす事も多かったし、こんなに歩いたり走ったり戦ったりする事も無かったからな。そりゃあ疲れるか。いや普通戦うなんて事無いだろ。なんか感覚麻痺して来てる。にしても転生なんだから、体も体力ももうちょっと強くしといてくれても良さそうなものなのにな。なんで前の世界とそっくりそのままの姿で転生なんだよ。そこはもっとこう、めちゃくちゃイケメンとかにしといてくれるサービスは無いもんかね?

「どうでもいいけどお腹空いたな……」

 ゼニ起きてるかな?てか今何時なんだ?反射的に部屋の壁に時計を探す。この辺は前の世界から体に染み付いた習慣なんだなあ。壁に時計がかかっている、それはこの世界でも普通なのかも知れない。昨日は疲れすぎてて気が付かなかったが、想像通り壁には時計がかかっていた。

「6時過ぎたところかぁ」

 ちょっと早い気もするけどお腹空いたしな。6時から食堂開いてるって言ってたな?ダラダラする必要も無いからもうこのまま起きちゃおう。
 ベッドの横で靴を履き、化粧台の鏡で顔と寝癖を確認。うん、これぐらいの寝癖ならまぁ食堂行くぐらいはいいだろ。そして部屋を出た。
 まずは隣のゼニの部屋をノックしようと思ったら、ちょうど階段を登って来たゼニと出くわした。

「お?起きたか?おはよう」

「おはよ。ゼニはもう起きてたんだ?どこ行ってたんだ?」

「あぁ、毎日の日課だよ。朝イチの鍛錬だ」

 あ、よく見たら剣を1本持ってる。こいつこう言う所は変に真面目なんだよなぁ。

「トウゴはもう朝飯行くのか?」

「んあ?ああ、そうそう、ゼニは朝ご飯食べたのか?」

「いんや、まだだ。一緒に行こうぜ。ちょっと準備してくるから先に食堂行ってていいぞ」

 そう言って部屋に戻ったゼニ。じゃあ先に食堂に行くとするかね。

 1階に降りて食堂へ着くとカウンターの向こうから、いかにも寡黙そうな男性がチラリとこちらを見た。

「おはよう、飯にするのかい?」

 寡黙な男性は短く用件だけを聞いてくる。もしかしてこの人があの明るいおばちゃんの旦那さんなのかな?

「あ、ええっと、そうなんですけど、連れが来るまで待っててもいいですか?」

「構わんよ、来たら注文してくれ」

 そう言って男性はまた仕込みに戻ったみたいだ。周りを見ても客は1人もいない。さすがに少し時間が早いのかな?でもカウンターの向こうからいい匂いが漂ってくる。ゼニ早く来ないかなぁ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ゴブリンに棍棒で頭を殴られた蛇モンスターは前世の記憶を取り戻す。すぐ死ぬのも癪なので頑張ってたら何か大変な事になったっぽい

竹井ゴールド
ファンタジー
ゴブリンに攻撃された哀れな蛇モンスターのこのオレは、ダメージのショックで蛇生辰巳だった時の前世の記憶を取り戻す。 あれ、オレ、いつ死んだんだ? 別にトラックにひかれてないんだけど? 普通に眠っただけだよな? ってか、モンスターに転生って? それも蛇って。 オレ、前世で何にも悪い事してないでしょ。 そもそも高校生だったんだから。 断固やり直しを要求するっ! モンスターに転生するにしても、せめて悪魔とか魔神といった人型にしてくれよな〜。 蛇って。 あ〜あ、テンションがダダ下がりなんだけど〜。 ってか、さっきからこのゴブリン、攻撃しやがって。 オレは何もしてないだろうが。 とりあえずおまえは倒すぞ。 ってな感じで、すぐに死ぬのも癪だから頑張ったら、どんどん大変な事になっていき・・・

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...